CBDはうつや不安障害の症状を改善する
まず、セロトニン不足によって起きる代表的な病気として、うつ病や不安障害などの精神疾患が挙げられます。CBDは精神疾患の症状への効果が期待されています。実際に、上に紹介した研究の研究者たちは、CBDはセロトニン受容体を活性化することによって、抗うつ薬と同様の効果をもたらすのではないかと考察しています。
CBDやCBDオイルは活力をもたらす?うつ病や不眠症に効果的?
また、同じくセロトニンの欠乏が原因の一つと考えられているパニック障害や社会不安障害などの不安障害にも、CBDの効果は示されています。
CBDやCBDオイルはパニック障害に効果がある?摂取量や副作用は?
また、2011年のブラジルの研究者らによる報告では、社会不安障害の患者にCBDを経口投与すると不安レベルが有意に減少するという結果がみられたとのことです。
さらに2015年までに世界各国で行われている研究を集めた論文では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック障害、強迫性障害(OCD)、全般性不安障害などといった不安障害への効果も示されています。
CBDは不眠症や睡眠障害にも効果がある
セロトニンが適切に働かないと、入眠物質であるメラトニンとのバランスが悪くなり、睡眠にも影響が出てしまいます。これによって起きる不眠などの睡眠障害にも、CBDは効果を発揮することが知られています。
1981年に発表された海外の研究では高用量のCBD (160 mg) が、不眠症の方の睡眠時間の延長をもたらしたという報告があります。
また、2016年のアメリカでの研究では、PTSDなどの不安障害に起因して起こっている睡眠障害にもCBDの効果が確認されました。
このように睡眠を促進する効果があるCBDですが、日中は逆にセロトニンを活性化させ、覚醒を促し集中力を高めるとされています。
とはいえ、CBDの効果は個々人で違いがあり、人によっては副作用として日中の強い眠気が出るという報告もあります。
そのような場合は、摂取する量や時間帯など摂取の仕方を調整してみましょう。
CBDは睡眠の質を上げて睡眠障害や不眠を緩和する?睡眠薬とは違う?CBDは吐き気や嘔吐を抑え、下痢の症状も抑制する
CBDはセロトニン受容体を活性化するばかりではなく、抑制的に働く場合もあります。
その働きとして代表的なものは、消化管での作用の仕方です。
セロトニンは腸などの消化管にも存在し、活性化すると吐き気や嘔吐、下痢などの原因にもなると説明しました。
しかし、2010年には、アフリカツメガエルの卵母細胞を用いた実験がアメリカの研究者らによって行われ、CBDはセロトニン受容体のタイプである5-HT3受容体に対して、阻害的に働くことが、示されました。
5-HT3受容体は腸などの消化管に広くみられる受容体であり、CBDはこの活性を抑えることで嘔吐や下痢に対して抑制的に働いていると考えられます。
このように、CBDはセロトニンの働きを単に促進するだけではなく、その働きのバランスを取ることによって、心身の状態が適切になるようサポートしているといえるのです。
次章ではセロトニンを効果的に増やせる成分をご紹介します。
関連文献