CBDやCBDオイルを猫や犬に与えても大丈夫?癌との関係性も解説

CBDやCBDオイルを猫や犬に与えても大丈夫?癌との関係性も解説

CBDやCBDオイルをペットにも与えたいという人が増えています。本記事では、CBDやCBDオイルが猫や犬にも効果があるか、猫や犬にCBDを与えても副作用がないのか、また猫や犬の癌やてんかんに効果があるのかなどを説明しています。

CBDやCBDオイルとは?CBD入りのペットフードもある?

CBDとは、大麻草の茎や種子などから抽出されるカンナビジオールとも呼ばれる化合物の一つで、CBDオイルとは、CBDが主成分として含まれているサプリメントオイルです。

大麻草の成分の一つということで、CBDを摂取するとハイになったりするのではないかと不安になる人も中にはいますが、CBDには精神活性作用は一切なく、むしろ安全性が高い成分として知られています。

多くの人が抱いている大麻草のイメージは、人をハイにする作用がある危険な植物だというものでしょう。実は大麻草の精神活性作用は、葉や花穂から抽出されるTHCという化合物の作用によるもので、CBDとは全く関係がありません。

ちなみにTHCを所持すると大麻取締法違反になるのに対し、CBDの所持、使用、摂取は合法ですので、くれぐれもCBDとTHCを間違えないようにしましょう。

最近、CBDの健康効果や治療効果が注目され、CBD製品を買い求める人が増えてきました。

そのような中、CBDを大切なペットにも与えたいという人が、CBD入りのペットフードを買い求めることも多くなってきています。

また、ペットの食品や水に加えて摂取させられるように、ペット用のCBDオイルやCBDカプセルなども販売されています。

アメリカでは犬や猫にCBD入りのペットフードをあげている?効果や危険性は?アメリカでは犬や猫にCBD入りのペットフードをあげている?効果や危険性は?

CBDやCBDオイルは猫や犬に効果・効能がある?

CBDと猫
私たち人間にはエンドカンナビノイドシステム(ECS)と呼ばれる身体の機能があります。

ECSとは、身体を外部環境の変化から守るシステムのことで、体外環境に変化が起きても体内環境を調節しながら一定に保とうとする身体の機能のことです。

たとえば、ウイルスやバクテリアなどが身体の中に侵入してきたとしても、ECSが働くことによって身体が元の正常な状態に戻ろうとし、健康な状態に回復することができます。

また、ECSは、呼吸器系、循環器系、消化器系、排泄系、神経系、内分泌系、骨格系、免疫系など全身のあらゆる系統の調節・維持をしていて、身体を健康に保つための非常に重要な役割を果たしています。

CBDやCBDオイルは、このECSの働きを高める作用があることが報告されています。
エンド・カンナビノイド・システム(ECS)とは?最新研究も紹介!エンド・カンナビノイド・システム(ECS)とは?最新研究も紹介! つまり、CBDによるいくつかの健康・治療効果はECSを活性化させた結果がもたらしていると考えられるということです。

全ての哺乳類はECSを持っている

犬や猫を含む全ての哺乳類には、人間と同じようにECSが存在していることが分かっています。

このことから、CBDが人間と同じようにECSを活性化して、ペットにおいても健康・治療効果をもたらす可能性があることが予測されます。

実際に、CBDをペットに使用した多くの飼い主が、CBDがペットの疼痛や発作、不安、睡眠、食欲の改善に役立ったという口コミもあります。

CBDやCBDオイルを猫や犬に与えても大丈夫?副作用はない?

CBDの犬の摂取
CBDやCBDオイルは犬や猫に比較的安全に使うことができると考えられていますが、人間における研究がまだ不十分であるように、動物に対しての研究もあまり進んでいないのが現状です。

アメリカの獣医学研究所ではCBDの研究が行われ、CBDがペットに安全であるという報告も出ているのに対し、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、CBDはペットに与えても安全なものとは認めていないという事実もあります。

また、海外で行われた研究ではCBDを犬に投与したところ、副作用として下痢と一部の肝臓の酵素の上昇が見られただけで安全だと判断されましたが、猫には下痢と酵素上昇に加えて舐めや首の揺れが見られたと報告されました。
犬にCBDやCBDオイルを与えても大丈夫?効果や副作用についても解説!犬にCBDやCBDオイルを与えても大丈夫?効果や副作用についても解説! アメリカでは犬や猫にCBD入りのペットフードをあげている?効果や危険性は?アメリカでは犬や猫にCBD入りのペットフードをあげている?効果や危険性は? このように、同じ哺乳類とはいえ犬と猫ではCBDの代謝方法に違いがあり、現れる副作用も異なるため一概に安全だと言えないのが実際のところです。

ペットに対するCBDの安全性を示す十分な研究結果やエビデンスがない限り、リスクがあることや副作用が現れる可能性があることは頭に入れておく必要があるでしょう。

CBD以外の物質がペットに害を与える可能性も

CBD自体だけではなく、CBD製品に含まれている可能性のある有害物質やTHCがペットに悪影響を与える場合もあります。 

たとえば、0.3%未満のTHCは、人間では微量とされますが、ペットに与えた場合は微量のTHCでも害を及ぼす可能性があります。

フルスペクトラムのCBDは微量にTHCを含んでいることがほとんどですので、フルスペクトラムのCBDをペットに与えることは避けてください。

また、マリファナが合法とされている外国の地域において、大麻が医学的にも娯楽的にも摂取できるからとペットに飼い主のマリファナを使用した結果、ペットがマリファナ中毒になり獣医院に運び込まれる事故も起きています。

その一方で、THCフリーのCBDを適切な用量で投与した場合には、ペットの関節炎や炎症、疼痛、不安などを緩和できたという口コミもあります。

いずれにせよ、確かな安全性が確認されたわけではありませんので、ペットにCBDを試す際はできる限りリスクを回避するためにまず獣医師に相談するようにしてください。

また、摂取可能と判断された場合にはTHCの悪影響が出ないようTHCフリーのCBDを選ぶようにしましょう。

CBDのペットの使用と癌に関する研究事例とは

CBDやCBDオイルは人間に対する抗腫瘍効果や抗けいれん作用があることが示唆されていますが、果たしてペットの癌にも効果があるのでしょうか。

犬や猫にECSが存在している以上、人間と同じようにCBDが癌による痛みの緩和に役立ち、ペットの生活の質を改善する可能性は十分に考えられます。

マサチューセッツ州ボストンのメディカルセンターの研究によると、試験管内の研究においてCBDが正常な細胞の損傷を最小限にしながら癌細胞を死滅に導いたことが報告されました。

またマウスの研究では、CBDが乳がん細胞の増殖を遅らせたという結果が指摘されています。

さらに、皮膚癌の研究では、カンナビノイド受容体がマウスの健康な皮膚細胞と癌化した皮膚細胞の両方に存在することが発見されており、CBDがこの受容体に作用することにより皮膚癌の進行を遅らせることが示唆されています。

まだ研究段階ではありますが、試験管内やマウスの実験で証明されたということは、猫や犬の癌細胞に対してもCBDが効果を現す可能性があると言えるでしょう。

猫に対する癌との関係性は?

猫に対する科学的研究ではありませんが、実際に癌などの疾患を患っている猫にCBDを使用した飼い主の次のような報告はあります。

  • リンパ腫と診断された8歳の猫にCBDを試したところ、腫瘍が縮小し始め、体力や食欲が改善した
  • 骨のがんと診断され、痛みや嘔吐、腫れを患い、獣医師から安楽死を提案された猫にCBDを摂取させたところ不快な症状が軽減し、寿命が延びた
  • リンパ腫の主要切除手術を受け、歩行も食事もできなくなっていた猫にCBDを摂取させたところ歩行が改善し、食事も始められるようになった

これらはあくまでも個人の飼い主の感想であり科学的研究結果ではないため、必ずしもCBDが猫の疾患に作用するという保証はありませんが、試してみる価値はあると言えるのではないでしょうか。

犬に対する癌との関係性は?

猫同様に実際に癌を患っている犬の痛みを緩和するために、CBDやCBDオイルを長い間使用している例もあります。

CBDのペットの癌への作用における研究の将来性

このように癌に対する疼痛緩和作用が高く評価されているCBDですが、CBDがペットの癌の治療薬として証明されたわけではありませんし、CBDとペットの癌の研究がまだ初期段階であることから今後のさらなる研究が必要です。

ペットの癌治療は、多額の費用がかかります。また、抗がん剤を服用すれば嘔吐や食欲不振などの副作用が起こることも多く、ペットにとってもかなりの負担になることは避けられません。

今後の研究によりCBDの抗腫瘍効果や癌の治療効果が証明され、CBDがペットの癌治療に活かされることが期待されます。

CBDのペットの使用とてんかんに関する研究事例とは

CBDやCBDオイルの抗腫瘍効果は示唆されていますが、果たしてペットの抗けいれん作用やてんかんへの作用あるのでしょうか。

猫とてんかんの関係は?

CBDの抗けいれん作用については猫の科学的研究はありませんが、てんかんを患った猫にCBDを摂取させた飼い主の報告はあります。

1日2回のてんかん発作があった猫にCBDの摂取を開始したところ、10日後に発作が2日に1回に減少し、生活の質が確実に向上したとのことです。

CBDが猫のてんかんを完治させることはできませんが、発作の軽減など生活の質を向上させることは期待できるかもしれません。

犬とてんかんの関係は?

2019年にアメリカでCBDが犬の治療に効果があるかどうかの実験を行ったところ、CBDによって犬のてんかんの症状が改善されたという結果がみられました。

また、CBDと抗てんかん薬を併用することにより、犬のてんかん発作の回数と頻度、また発作後の不快感が減少したとの報告もあります。

将来、ペットのてんかん薬としてCBDを使用できるようになる可能性はあるのか

CBDがてんかん発作に対して治療効果があることが多くの研究で示唆されています。
CBDやCBDオイルはてんかんに作用する?CBDの薬は日本で合法?CBDやCBDオイルはてんかんに作用する?CBDの薬は日本で合法? また、個人差がありますが、CBDは従来の抗てんかん薬よりも副作用が起きにくいため、てんかん発作の優れた治療補助になる可能性が高いです。

さらに、CBDはCBD自体が持っている抗けいれん作用だけでなく、ペットのECSを活性化することでてんかん発作の持続時間を短くするとも言われています。

ただし、CBDがどの程度てんかん発作を減少させるのかは個体差があり、CBDの使用がてんかん発作の完全な治療法になるということはまだ言えません。

ご自身のペットがてんかんや癌を患っている場合は、必ずかかりつけの獣医に相談するようにしましょう。

犬や猫にとって最適なCBDの摂取量や摂取方法は?

人間においては、CBDを最初に使用する場合、高濃度のものを多めの摂取をすることが良いと言われていますが、犬や猫にとって適切な摂取量や摂取方法はあるのでしょうか。

ペットにとって最適な摂取量

犬や猫におけるCBDやCBDオイルの適切な摂取量は個体によって大きな違いがあるため、猫の様子に応じて少量から始めることをお勧めします。

期待する効果が現れるまで少しずつ増やすようにしてください。

ちなみにペット向けCBD製品を発売している海外メーカーが推奨しているCBDの投与量はペットの体重1kgあたり、一日CBD2mgです。

体重4kgの猫に10ml、5%のCBDオイル(500mg)を摂取させることを考えると、CBD8mgが推奨量になるため、一日約3滴が適量と考えられます。

ただし、猫によっては少ない量でも効果を示すことがあるので、一日1、2滴から様子を見るのもよいでしょう。

ペットにとって最適な摂取方法

CBDオイルの中にはわざと麻の香りをつけているものがあり、麻特有の土臭いにおいがすることがあります。そのため、多くのペットはCBDオイルの摂取を嫌がるかもしれません。

また、フレーバーがついていないCBDオイルはキャリアオイルの香りがしますが、キャリアオイルの匂い自体が苦手なペットもいるでしょう。

そのため、ペットフードに混ぜるなどしてCBDオイルの匂いを猫に感じさせないように工夫したほうが簡単に摂取させられる可能性が高いです。

犬や猫にCBDを与える際は、用量や摂取方法を考えることも大切ですが、製品を選ぶ際に有害物質が含まれていないことをしっかり確認することも重要です。

できるだけ安全にペットにCBDを摂取させるために、製品のパッケージや検査結果を注意深くチェックすることを忘れないようにしてください。

関連文献

CBDをペットに使用することに関して皆様から頂いた質問

現在CBDを愛用しているものです。自分のペットにも与えることは可能ですか?(30代女性)

CBDは犬や猫にも安全に使うことができると考えられています。しかし、犬や猫に対しての実証実験はあまり進んでいないのが現状です。人間と同じ哺乳類ではありますが、犬と猫ではCBDの代謝方法に違いがあり、現れる副作用も異なるため一概に安全だと言うことは判断できません。ペットに対するCBDの安全性を示す十分な研究結果やエビデンスが発表されるまでは、リスクがあることや副作用が現れる可能性があることを念頭に入れ、責任を持ってCBDの投与量を管理しましょう。

CBDを愛犬に与えることで、副作用などの危険性はないのでしょうか?(30代男性)

海外の研究において、犬にCBDを投与した際に現れた副作用は、口渇、血圧低下、傾眠傾向、下痢、嘔吐などがあります。現段階では犬を対象にした研究は多くないですが、CBDを犬に投与した場合に重篤な健康被害があったという報告もされていません。したがって、現段階ではCBDを犬に与えることで健康を脅かす心配はないと言えます。

ペット用のCBD製品に興味があります。ペット用のCBD製品も人間同様の作用がありますか?(40代女性)

現段階では、CBDのペットへの有効性を証明する正式な研究はほとんどありません。しかし、ペットにも体内の恒常性を保つエンド・カンナビノイド・システム(ECS)が存在しています。CBDはECSに関与することで、様々な作用をもたらすと言われているため、ペットにも人間に現れるような作用が期待できます。ただし、人間でもCBDの適正使用量や作用の現れ方に個人差があるように、犬も個体によって反応が違います。ペットを飼っている方は責任を持って、CBDの投与量を管理しましょう。