CBDは神経因性疼痛に効果がある?カンナビノイド系の疼痛治療剤とは?

CBDは神経因性疼痛に効果がある?カンナビノイド系の疼痛治療剤とは?

神経因性疼痛は、神経の損傷が原因で起こる慢性的な痛みの総称で、治りにくいのが特徴です。長く続く痛みは、生活にも支障をきたします。本記事では、CBDの神経因性疼痛に対する効果について解説します。また、海外で承認されている医薬品についても紹介します。

CBDやCBDオイルとは?効果・効能も解説!

CBDは、カンナビジオール(Cannabidiol)の略称で、植物の麻(学名:カンナビス・サティバ)などに含まれている成分です。麻に含まれている有効成分を総称してカンナビノイドといいますが、CBDはその一種です。

CBDオイルは、ヘンプシードオイルやオリーブオイルなどのベースとなるオイルに、CBDの成分が希釈され製品として販売されているものです。

舌の裏に数滴垂らして舌下からCBDの成分を吸収したり、飲み物に混ぜて飲み経口摂取したりという使い方をします。

CBDやCBDオイルには様々な効果・効能があるといわれており、健康や美容の業界で注目度が高まってきています。

CBDが働く仕組みとして、人間を含む動物の体にはエンド・カンナビノイド・システム(ECS)というものが元々備わっています。ECSは、私たちの体の免疫機能や気分の調整、痛みの制御などに関わっているといわれています。

そのため、CBDには抗炎症作用や鎮痛作用、抗不安作用などが期待されており、世界中で研究が進められています。

神経因性疼痛とは?どのような症状?

神経因性疼痛とは、神経の圧迫や損傷、脳や脊髄などの中枢神経系の機能障害などが原因で起こる痛みです。

具体的には、腫瘍や椎間板ヘルニアで神経が圧迫されたり、糖尿病や帯状疱疹などにより神経が損傷されたりすることが原因となります。脳や脊髄では、痛みの信号を処理する仕組みに異常や障害が起きている状態です。

人は一般的に、ケガをするなど体に傷がつくとそこに痛みを感じ、傷が治れば痛みも治ります。しかし、神経因性疼痛では全身に渡る目に見えない神経が機能障害を受けるため、慢性的な痛みとなりなかなか治りにくいのが特徴です。

痛みの種類としては、焼けるような痛みといわれる灼熱痛やチクチク感が続く痛みが特徴といわれます。また、触覚や低温などの刺激に反応して、急激な強い痛みを感じることもあります。

このような痛みが続くと、神経系が痛みに敏感になってしまい、痛みの原因がなくなった後も(例えば、帯状疱疹が治った後も)長い間痛みが続くことがあります。

神経因性疼痛は、このような特徴から生活の質を著しく低下させるといわれており、罹患している患者にとっては深刻な問題となっています。

CBDやCBDオイルは神経因性疼痛に効果がある?

それでは、CBDやCBDオイルは神経因性疼痛に効果があるのでしょうか。

アメリカでのアンケート調査になりますが、2,000人以上にCBDの使用状況を聞いた結果が2018年に論文で発表されています。

この調査では、アンケートに答えたCBD使用者のうち約62%が自身のもつ症状を治療するためにCBDを使用していると答えました。どのような症状に対して使用しているかというと、トップ3の回答は、痛み、不安、うつ病でした。

CBDは前述したECSに働きかけることにより、様々な痛みを緩和する効果があることが示唆されています。ECSでは、カンナビノイド受容体のうちCB1受容体とCB2受容体が作動することにより、鎮痛効果を発揮するといわれています。

カンナビノイドの鎮痛作用は、ケガなどによる侵害受容性疼痛だけでなく、今回注目している神経因性疼痛や心因性の疼痛にも効果があると報告されています。

CBDやCBDオイルは痛みを和らげるのに効果的?塗るタイプもある?CBDやCBDオイルは痛みを和らげるのに効果的?塗るタイプもある?

痛みの治療では、まずは痛みの原因を治すように努めます。しかし、原因の治療が長引く場合や痛みが我慢できない場合には、鎮痛薬を使って痛みを取り除く対症療法を同時に行っていきます。

現在、痛みの治療によく使われている鎮痛薬は大きく分けて2種類あります。

1つ目は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)です。アスピリンやロキソニンなど、名前を聞いたことのある鎮痛薬の多くはこのNSAIDsに該当します。一部はドラッグストアでも購入できるようになっています。

NSAIDsは、痛みの発生場所から出ている発痛物質を抑えることにより一時的に鎮痛効果を発揮します。

神経因性疼痛では、痛みが慢性化している場合が多いため、NSAIDsでは持続的な効果を得られず、痛みをコントロールできない場合が多いといわれています。

もう1つは、オピオイドと呼ばれる鎮痛薬です。麻薬性鎮痛薬ともいわれます。全身の神経に存在するオピオイド受容体に働いて、痛みの伝達を抑制し強い鎮痛効果を発揮するといわれています。

オピオイドは麻薬性の鎮痛薬ですので、正しい使用方法でないと中毒や依存性が出てしまう場合があり、処方や廃棄については厳しい取り決めがあります。

また、吐き気や便秘といった消化器系の副作用が高い頻度で発生するため、それらの管理も難しくなっています。

オピオイドは強い鎮痛作用を発揮しますが、神経因性疼痛にははっきりとした効果が得られない場合もあるようです。

このように、現在鎮痛薬として広く使われているNSAIDsやオピオイドでも、神経因性疼痛の治療は難しくなっています。これらに代わる鎮痛薬として、CBDの効果が期待されているのです。

これまでに大規模な臨床試験で、CBDが神経因性疼痛に効果的であると証明されたエビデンスは発表されていません。

しかし、CBDが効果を発揮するメカニズムは、NSAIDsやオピオイドとは異なるため、新しい痛みの治療法として確立される可能性は十分にあると考えられます。今後、さらに研究が進むことが期待されます。

サティベックス(Sativex)は神経因性疼痛の効果がある?そもそも合法?

CBDを含む医薬品として、イギリスやカナダなどの海外諸国ではサティベックス(Sativex)という医薬品が国から承認されています。サティベックスは、多発性硬化症の治療薬として使用されています。

多発性硬化症は、自身の免疫細胞が中枢神経や視神経に炎症を起こして、神経組織が障害される病気です。神経が障害されることで、痛みや運動障害など様々な症状が発生するといわれています。

サティベックスは、イギリスのGWファーマシューティカルズ(GW社)という製薬メーカーが開発している医薬品です。

GW社が行った臨床試験の結果により、サティベックスは2005年にカナダで初めて、多発性硬化症に伴う神経因性疼痛に対して適応を取得しました。

サティベックスはこれまでに、海外で多くの患者に投与されており、カンナビノイド系医薬品の先駆けとして、様々な疾患領域で期待されている医薬品です。

それでは、サティベックスは日本で使用できるのでしょうか。結論から言うと、日本ではサティベックスを使用することはできません。日本での所持や使用は違法となっています。

実は、サティベックスにはCBDとTHC(テトラヒドロカンナビノール)が1:1で含まれています。THCは違法薬物である大麻の主成分で精神活性作用や依存性があり、日本では大麻取締法により厳しく取り締まられています。

日本ではこのような背景があり、THCを含むものは海外で医薬品として承認されている製品であっても、研究や臨床試験ですら禁止されています。

CBDは法律上違法な成分ではありませんが、THCと同じような取り扱いとなっており、日本人での研究や臨床試験はなかなか進んでいないのが現状です。

この分野を専門とする医師や患者会からの要望もあり、カンナビノイド系医薬品の研究や臨床試験が日本でも進む方向性にはなってきているようですが、まだまだ承認や実用化までには時間がかかる印象です。

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ここまで解説してきたように、サティベックスは多発性硬化症に伴う神経因性疼痛に効果があるとされ、海外では承認されています。

しかし、現時点で日本での所持や使用は違法です。くれぐれも、輸入等で入手しようとしたり、所持・使用したりしないでください。

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