- CBDオイルは日本で合法なのか気になる方
- CBDはハイになったりキマることがあるのか不安な方
- CBDの効果や使用の安全性が心配な方
CBDやCBDオイルとは?キマる?やめたほうがいい?
CBDはカンナビジオール (Cannabidiol) の略称で、CBDオイルはCBDをパームオイルやココナッツオイルなどに配合した製品です。
CBDやCBDオイルは近年、身体に良いと言われ世界中で注目されており、日本でも使用する方が増えてきました。
しかし、CBDについてはその安全性や合法性を懸念する方もいます。それは、CBDが大麻草などに含まれる大麻成分 (カンナビノイド) であるためです。
大麻と聞くと、多くの著名人が所持や使用の疑いで逮捕されたといった報道から、警戒される方が多いのが実情です。
しかし、大麻で問題とされる成分は、THC [テトラヒドロカンナビノール; Tetrahydrocannabinol] と呼ばれるものです。
THCはマリファナの主成分であり、摂取すると俗に言う「キマる」「ハイになる」といった精神活性がもたらされます。
しかしCBDにはそのような精神活性の作用はなく、身体への悪影響もほとんどないとされています。
CBDやCBDオイルを摂取するとハイになる?気分や効果・精神作用を解説!
CBDやCBDオイルは病気への作用が期待されている
CBDにはさまざまな病気の症状を改善する効果があるということが、イギリス・アメリカなどのさまざまな国の検証実験から明らかになっています。
現在日本人の死因1位と言われているがんも、CBDによる改善効果が期待されている病気のひとつです。
がんは、遺伝や生活習慣が要因となって発生したがん細胞が、生体に必要な栄養素を奪いながら増殖し、やがて全身へと転移する病気です。
また、一度手術で取り除いても再発する可能性が高く、完治は非常に困難です。治療に抗がん剤の投与など化学療法が用いられることがあり、身体への負担や副作用が高い問題点もあります。
がんによる痛み、抗がん剤治療による苦しみ、長期間治療しても根治できるかどうか分からないという不安から、患者が精神的に落ち込んでしまうという可能性もあります。
このようながんの症状やがん治療の問題点について、CBDが有効なのではないかという説があります。
2011年9月に行われたイギリスの研究者らによる試験管研究や動物実験の結果から、CBDはがん細胞の細胞死を誘導したり、転移を抑えたりする働きが示されました。
また、CBDががん患者の抱える痛みや、抗がん剤など化学療法による吐き気や嘔吐感にも効果をもたらすことが2009年に行われた同国での研究で明らかになりました。
さらに、CBDは脳内のアナンダミドやセロトニンという物質の働きを促進し、気分を高めたりリラックス効果をもたらしたりすることが知られており、治療中のがん患者の気分を前向きにする効果も望まれます。
CBDやCBDオイルにはリラックス効果がある?不安解消にも期待!
とはいえ、CBDのがんに対する効果の研究は、まだ初期段階であり臨床研究はあまり進んでいないという現状があります。そのため、CBDががんに対してどれだけ効果があるのかを解明するには、もっと多くの検証が必要です。
しかしながら、CBDはさまざまな症状への効果が実証されていることから、医療の現場でも注目を集めており、国によっては医療大麻として使用されることもあります。
残念ながら、日本ではまだ医療大麻は認可されていません。しかし、CBDオイルなどのCBD製品を、病気の症状の改善を目的に使用を検討される方は近年増えています。
医療用のCBDやCBDオイルは合法?喘息に作用する?
CBDにはストレスや不安軽減、睡眠の質改善の効果も
CBD(カンナビジオール)には、身体調整機能であるエンドカンナビノイド系との相互作用により、ストレスや不安を軽減し、睡眠の質を改善する効果があります。
また、セロトニン受容体に影響を与えることでリラックスを促し、気分を高めて不安が軽減されます。それだけではなく、CBDは睡眠を妨げる不安や痛みなどの要因に対処し、睡眠サイクルに影響を与える可能性があるため、睡眠の改善に役立つ可能性もあります。
CBD商品の種類は豊富!オイル、グミ、タブレットや電子タバコなど
CBD製品には様々な種類があり、摂取方法もそれぞれ異なります。
先ほどから度々名前が挙がっているCBDオイルは濃縮されたエキスであり、舌下で摂取することが可能です。CBDの効果を早く実感することができることに加え、コーヒーや他の飲み物・食べ物に混ぜることもでき、アレンジが効きます。
CBDグミは、CBDを配合した噛みごたえのある風味豊かなグミやキャンディです。使い方は、一般的なグミやキャンディーのように噛んで飲み込むだけ。オイルタイプなどと比較すると、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。ただ、味を楽しみながらお菓子感覚でCBDを摂ることができるのが最大のメリットでしょう。
CBDタブレットやサプリメントは、通常の錠剤と同じように、水と一緒に飲み込むことでCBDを摂取できる方法です。グミやキャンディーと同様、効果が出るまでに多少は時間がかかりますが、持ち運びにも便利で日常生活に取り入れやすいことがポイントでしょう。
CBD電子タバコは気化したCBDを吸引することができるタイプです。CBDを吸うことで摂取できるため即効性があり、効果を感じやすいです。デバイスから蒸気を吸い込むだけなので、CBDの効果を最も早く感じられる方法の一つです。フルーツ系のフレーバー付きのリキッドで吸うこともできるため、味も楽しめるのが魅力的です。
CBDやCBDオイルは日本では合法?厚生労働省の規制や見解は?
日本ではCBD自体は規制されておらず、また病気の改善にも効果が期待されていると説明しました。
しかし、本当にCBDオイルなどのCBD製品は合法と言えるのでしょうか。
実を言うと、この問題には少し気をつけなくてはならない部分があります。
CBDやCBDオイルが日本で販売禁止ではない理由
CBDやCBDオイルは合法というより「現在の日本の法律で違法にすることができない」と考えた方が良いかもしれません。
日本では大麻の使用は大麻取締法によって厳しく制限されています。大麻草やそれから作られた製品のことを「大麻」と分類し、行政から許可を得た人しか扱うことができません。
それは、もちろんマリファナ (の主成分であるTHC) を取り締まる観点からです。しかし、一方で大麻はマリファナ以外のさまざまなことに利用されてきた歴史もあります。
日本でも、しめなわ、大幣などの神具、繊維用品、食用など、太古から麻の恩恵を受けています。そのため、大麻だからとすべて規制してしまうと、不都合が生じます。
そこで、大麻草の中でもTHCの含有量が少ない成熟した茎や種子といった部位、それらから作られた製品は大麻の分類から除外しています。
CBDオイルなどのCBD製品が使用できるのも、実はそういった背景があります。
法律上大麻に分類されない部位から作られ、THCが含まれていないCBDオイルは、規制対象にならないのです。
逆に、茎や種子以外の部位からCBDを抽出していたり、THCが検出されるようなCBDオイルは、使用はおろか所持しているだけで逮捕される危険があります。
THCの含有率が0.3%以下なら大丈夫?
CBDオイルをはじめとしたCBD製品について、よく「THCの含有率が0.3%以下なら大丈夫」という話を聞きます。
しかし、これは厳密には正しくありません。
CBD製品がよく流通しているアメリカでは、産業利用で栽培される麻 (産業用ヘンプ) はTHCが0.3%以下であれば良いと定められており、THCの基準値を下回るCBD製品は違法にはなりません。
しかし、日本ではその事情は少し異なります。日本のTHCに対する解釈は「微量でも検出できれば違法」となります。
海外製のCBDオイルが日本で流通することはあります。しかし、それは必ずしも「THCが完全にゼロだった」のではなく「THCが検出されるレベルまで至らなかった」という可能性も否定はできません。
つまり、そのCBDオイルが合法であるという意味ではなく、違法であるという証明ができなかった、という意味合いがあるということです。両者の意味は似ているようで大きく違います。
もちろん、海外製のCBDオイルの中にも、日本の法律に反していないと証明されているものもあります。ただし、そういったものばかりではないことは、ご注意いただきたいところです。
大麻に対する基準は、各国の法律や団体によってさまざまで、どこまでが良くてどこからが悪いのか、見解が曖昧な部分があるのが実情です。
しかし、法律は曖昧というわけにはいきません。使用者が責任をもって、購入使用してもいいものなのかどうかを見定める必要があります。
CBDとTHCの違いは?相乗効果はある?そもそも日本で合法なの?
CBDオイルの精製方法や種類は3つ!THCフリーの安全なCBDを
CBDオイルは、抽出プロセスと他のカンナビノイドや化合物の存在によって、CBDアイソレート、ブロードスペクトラムCBD、フルスペクトラムCBDという3つに分類されます。
CBDアイソレートはCBDの最も純粋な形態で、他のカンナビノイド、テルペン、または植物化合物を含まない99%の純粋なカンナビジオールを含んでいます。通常、CO2抽出や溶媒抽出のような方法で製造され、さらに精製工程を経てCBD以外のものを取り除きます。ハイになる成分であるTHCが一切含まれておらず、日本でも販売規制の対象ではないので、安心して摂取できます。
ブロードスペクトラムCBDは、ヘンプ植物に含まれる幅広いカンナビノイドとテルペンを含みますが、THCは含まれていません。このタイプはCO2抽出で作られることが多く、最初の抽出の後にTHCが選択的に除去されます。THCに伴う精神作用はないため、CBDアイソレートよりもより効果を実感できるでしょう。
一方で、フルスペクトラムCBDは微量のTHC(通常0.3%以下)を含む、ヘンプ植物由来のすべてのカンナビノイド、テルペン、植物化合物を含んでいます。2024年現在では、日本でTHC成分は精神作用に影響を及ぼす可能性があることから、フルスペクトラムは規制対象です。製造や所持、使用は処罰対象となりますので、ご注意ください。
CBDやCBDオイルに対する厚生労働省の見解は?今後の法整備にも注目
厚生労働省はこのような現状を鑑み、CBDの製造業者や輸入業者、CBDの使用者や使用を検討している方に対して注意を呼びかけています。
CBD製品の輸入に際しては、製品の詳細な情報を提出し、承認を受けるよう求めています。
また認可を受けても、届いたCBD製品にTHCが検出された場合は処罰の対象になる可能性があること、そのような商品であっても大麻取締法の観点から返送ができないといったリスクがあることも示しています。
また、2020年の2月には、オーストラリアの会社が製造販売している日本でも流通していたCBD製品に、微量のTHCが検出されたと発表し、購入者に使用の取りやめと保健所への提出を求めました。
以上のように、日本でも近年注目されているCBDやCBDオイルですが、まだ大きな課題が残されています。
これ以上問題が大きくならないよう、CBDやCBDオイルの取り扱いについて、法律でしっかりとした基準を作らなければならないという意見もあります。
2024年12月にCBD成分に関する大麻取締法が改正されます
2024年12月12日に大麻取締法が改正され、日本で販売されているCBD製品内のΔ9-THC(大麻の精神活性成分)の規制が強化されます。従来は、主に大麻の栽培や使用を禁止することに焦点を当てていましたが、今回の改正では、たとえ微量であったとしてもCBD製品に含まれるTHCに対してより厳しく具体的な規制が行われます。
THCが検出されるCBD製品は違法ですので、THCが含まれていないTHCフリーと明記されている製品を選びましょう。また、CBD製品によっては、第三者機関による成分の分析調査が行われたことを証明する検査報告書や検査証明書の記載もあります。製品ラベルや製品紹介欄をしっかりと確認しましょう。
CBDやCBDオイルを日本で購入使用、持ち込みをしてもよい?
CBDやCBDオイルを実際に使ってみたいと思われる方は多く、また海外旅行に行った時に、CBDオイルをおみやげとして買って帰りたいと思う場合もあるかと思います。
結論から言えば、CBDオイルを日本で購入使用したり、持ち込んだりといった行為は、法律に違反していない範囲であれば可能です。
日本で購入使用する場合は、先に説明したように「成熟した茎や種子のみからCBDが抽出されている」「THCが含まれていない」といった基準が守られていればOKです。
店頭で購入する場合は、きちんとラベルを見るなどして、そのCBD製品の詳細を確認しておきましょう。通販サイトを利用される場合は、ウェブサイトの商品情報や口コミを閲覧して、安全性を確かめます。
また、CBDオイルの製造元や販売している業者が、信用できるところなのかを調べることも大切です。
一方で、海外で購入したものを日本に持ち込む場合は、日本の法律だけでなく、その旅行先の国の法律、飛行機に持ち込めるかどうか、という2点を含めて考える必要があります。
まず、当然ですが滞在先の国で認められている商品か、という問題があります。
また、空港で税関を通らないという場合もあります。実際に、CBD配合のグミが税関を通らなかった、という事例が多々あります。CBD製品の購入時には、お店で証明書を発行してもらい、税関に提出する必要がある場合があります。
最後に、海外で使用が認められているからといって、国内で認められているかは別問題です。事前にそのCBD製品が日本の法律に引っかからないかどうかは調べておきましょう。
また、逆に日本から海外へCBD製品を持ち込む場合も同様です。
責任感をもち、法律に反していないかどうかをしっかり見定め、購入・使用するようにしてください。
CBDやCBDオイルはクルーズ船や飛行機に持ち込める?国際線は?関連文献
- Multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled, parallel-group study of the efficacy, safety, and tolerability of THC:CBD extract and THC extract in patients with intractable cancer-related pain
- Cannabidiol as a novel inhibitor of Id-1 gene expression in aggressive breast cancer cells
- Cannabidiol induces programmed cell death in breast cancer cells by coordinating the cross-talk between apoptosis and autophagy
- Preliminary efficacy and safety of an oromucosal standardized cannabis extract in chemotherapy-induced nausea and vomiting