アメリカにおけるCBD製品の浸透とヘンプ産業の爆発的な拡がり

アメリカにおけるCBD製品の浸透とヘンプ産業の爆発的な拡がり

アメリカでは2015年のヘンプ栽培の規制解除およびCBDの規制緩和を受けて爆発的に市場が拡大しました。調査では、現在アメリカ人の7人に1人はCBDを毎日使用し、使用したことのある人の大半は効果を実感しています。アメリカのCBD製品を取り巻く現状および今後の動向について解説します。

THCとCBDの違いとは?CBDの効果・効能はなにがある?

THC (テトラヒドロカンナビノール) とCBD (カンナビジオール) は大麻草等に含まれる主要な生理活性物質です。麻薬として知られるマリファナはTHCを多く含み、摂取することで多幸感や酩酊感などを感じ気持ちを「ハイ」にする効果があります。

一方でCBDには、THCのような精神作用や依存性はありません。このことは多くの研究によって証明されています。

アメリカでもCBDは大麻草の成分の一つとしてTHCと同様に規制を受けてきましたが、規制緩和によりCBDを取り巻く産業が急成長しています。

コンシューマー・レポートによるCBD動向調査

アメリカは世界で最もCBDを消費している国であり、その消費量は現在でも爆発的に増えています。コンシューマー・レポートがアメリカにおけるCBDの動向をまとめております。

コンシューマー・レポートは非営利の消費者組織であるコンシューマーズ・ユニオンが発行する月刊誌であり独自の調査を行い、企業や政府に対しても意見する消費者を守る団体です。

企業と利害関係を作らないために企業の広告を一切掲載されておらず、アメリカ人にとっては商品を購入する上で非常に信頼のおけるソースになっています。特に車が有名ですが、車に限らずありとあらゆる商品がレビューされています。

アメリカ人のCBD製品の使い方は様々です。ある母親は子どものてんかん発作の予防のために使用したり、慢性の痛みを持っている人が痛みの緩和を期待したりしています。

またある人は寝付きを良くする目的で使用し、心配性のペットを落ち着かせるために使用する人もいます。

特にてんかんの分野で研究が進んでおり、CBDが含まれる製剤であるエピディオレックスが難治性のてんかん患者に処方されており、日本での臨床試験 (治験) も計画されています。

CBDの効果を実感した人はどれくらいいるの?

2019年1月の全米の調査によると、過去24ヶ月間にCBDを試したアメリカ人は6,400万人にもおよび米国の人々の4分の1以上がCBDを試していることになります。そのうち7人に1人が毎日使用していると答えています。

アメリカ人のあらゆる年齢層がCBD製品を使用しています。特に20代の若者に最も人気があり、40%の人がCBDを試したことがあると答えています。一方で60歳以上の人でも15%の人がCBDを試したことがあると答えています。

CBDの効果を裏付ける結果が出ています。さまざまな理由でアメリカ人はCBD製品を使用していますが、CBDを使用した人のほぼ4分の3が、少なくとも中程度以上の効果があったと回答しており、48%は非常に効果があったと回答しています。

特にCBDを使用することで、ストレスや関節痛の緩和、睡眠の改善などに効果を感じたようです。また今回の調査では、約4分の3が副作用を経験していないと回答しています。

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アメリカではCBDがオピオイドに対抗できる手段になると期待されている

CBDには有望な結果も出ています。調査の結果によると自身の健康問題を理由にCBDを服用した人の22%が、処方薬やOTC薬 (ドラッグストア等で処方せんなしで購入できる薬) の代わりにCBDを使用したと回答しています。

また3分の1以上の人がオピオイドの代わりにCBDを使用し、オピオイドを含む市販薬や処方箋薬を使わなくて済むようになったと答えた人もいます。

オピオイドとは、麻薬性鎮痛薬のことでアメリカでは乱用が社会問題となっています。オピオイドは鎮痛薬として医師が処方する薬ですが、鎮静作用や陶酔作用といった精神作用も持っており、本来の処方意図を逸脱した使用が危惧されています。

さらに耐性や依存性があり長期使用で依存が形成され、効かなくなることで使用量が増えます。製薬会社のPRもあり医師は処方を連発した結果、乱用による死亡事故が問題になっています。

このような現状を危惧して政府はオピオイド危機として2017年には非常事態宣言を出しています。オピオイド関連死は2000年度からの統計で50万人を超えています。アメリカの研究者の中には、CBDがオピオイドの危機に対抗する手段になることを期待しています。

CBDの働きとCBD研究の進捗状況

いくつかの研究では、CBDがカンナビノイド受容体 (CB2受容体) などに影響を与える可能性が示唆されています。

THCが作用するCB1 受容体は主に神経細胞に分布していますが、CBDが作用するCB2 受容体は中枢神経外の非神経細胞、特にリンパ球やマクロファージに分布しています。

CBDは、CB2受容体などに働きかけて炎症を抑えることで膝や股関節だけでなく、中枢神経系や脳を含む全身の炎症を抑える効果があると考えられています。

2018年のレビューでは、CBDの効果は、不安やうつ病、てんかん発作、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を軽減し、脳震盪の後遺症のある人にも恩恵を与える可能性があると述べられています。

マリファナ乱用の歴史から、大麻の使用だけでなく研究も世界的に制限された結果、CBDの研究はほとんどされてきませんでした。CBDにはまだ分かっていないことも多いため、さらなる研究の進展が期待されます。

アメリカでのCBD製品とヘンプ栽培の拡がり

アメリカでは様々な商品が開発され、錠剤やオイル、チンキ剤、外用ローション、さらにはボトル入りの水、コーヒー、ビール、化粧品など、その数は数百にも及びます。

最近、アメリカで合法的にヘンプ (麻) を栽培できるようになったこともあり、CBDの市場規模は急速に拡大しています。市場調査会社によるとヘンプだけのCBD市場は、2017年の3億2,700万ドルから2022年までに220億ドルに成長すると予想しています。

現在、ヘンプは米国の農業で最も急速に成長している作物と言えます。アメリカでヘンプは、THCが0.3%以下の大麻と定義されており、それ以上はマリファナとみなされ連邦政府により厳しく規制されています。

2015年以前は、麻を含むすべての大麻植物は規制を受けていたため、アメリカでヘンプの栽培は事実上存在していませんでした。

2015年には約6,100㎡のヘンプが植えられ、今日ではUSDA (アメリカ農務省) によると、アメリカでのヘンプの農地は約100倍になっています。今では37の州でヘンプが植えられており、21の州で4,000㎡以上のヘンプが植えられています。

さらにヘンプの種 (ヘンプシード) も重要な農作物になっております。ヘンプシードには、豊富な栄養を含みスーパーフードとして売り出されています。さらにヘンプから採れるヘンプオイルも人気の商品です。

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アメリカでのCBDの法規制

アメリカにおけるCBDの法的規則の整備はまだ整っておらず、まだ曖昧なところがあります。

47の州では、ある程度の範囲でCBDを合法化する法律が成立しています。同時にCBDのような麻の派生物も合法化しています。麻由来の場合は、THCの濃度は0.3%以下に低くなければなりません。

さらに法案ではヘンプから抽出されたCBDを、麻薬取締局が指定する最も規制が厳しいスケジュールIの薬物のリストから削除しています。マリファナとTHCはスケジュールIのままです。

また、FDA (アメリカ食品医薬品局) は、CBDを含むクッキーや蜂蜜、コーヒー、水などの食品に対してCBDを食品添加物と見なしています。

現時点では、安全性が確立されていないとしてCBD入の食品を認可していません。そのためそれぞれの州では、CBD入の食品の取締を保健局は強化しています。

アメリカでは、CBDをオンラインでも、地元の健康食品店やCBD専門店でも手に入れることができます。調査では、グミなどのエディブル (食べられるもの) が最もポピュラーなCBDの摂取方法であり、オイルやベイプなども人気があります。

CBDを購入する上での注意点

エディブルは手軽さゆえに摂りすぎてしまう危険性があります。微量に含まれる可能性のあるTHCを摂りすぎて高用量になる可能性があるので、使用には十分な注意が必要です。

CBDクリームやパッチなども販売されており、膝などの関節の痛みを和らげる目的で皮膚に塗ったり貼ったりして使用されています。

このような外用での用途は局所的な効果が主であり、成分が全身に移行しにくいため微量に含まれるTHCが脳に作用する可能性は低いです。

現在のところ、オンラインや小売店で販売されているCBD製品の検査を義務付けている州はほとんどありません。

THCのレベルがどれほど入っているか、また重金属や農薬などの汚染物質が含まれているか知るためには試験成績書や分析証明書を確認し安心安全な商品を選択するようにしましょう。

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