CBDやCBDオイルとは?安全なの?
CBDはカンナビノイドと呼ばれる麻などの植物から抽出される成分の一種です。
CBDの主な原料である大麻や産業用ヘンプなどには、THCという向精神作用をもたらすカンナビノイドが含まれています。大麻の吸引などで「ハイ」になるのはこのTHCが脳に作用することで引き起こされます。
原料となる植物そのものやTHCを含有する製品は日本では規制対象となりますが、CBDとTHCは体内で全く違う作用をするため、THCフリーのCBDやCBDオイルを使用しても精神を興奮させる効果はありません。
CBDを含有する製品は様々なタイプがありますが、その中で最も広く普及しているCBD製品がCBDオイルです。CBDオイルは体内への吸収が速く効果持続時間も長いことが特徴です。
ヘンプオイルとCBDの違いは?
ヘンプオイルはヘンプシードオイルとも呼ばれ、その名の通りヘンプの種子から抽出されたオイルです。イメージとしてはオリーブオイルやセサミオイルと同様に原料そのものから生成されています。
ヘンプオイルにはCBDやTHCなどのカンナビノイド類は含まれていません。
ヘンプオイルは様々な栄養成分が豊富に含まれており、健康や美容に非常に効果的です。皮膚に直接塗ってボディケアとしても使用できますし、オリーブオイルやセサミオイルなどのように調理にも使用されることもあります。
一方のCBDは、原料はヘンプオイルと同じ麻などの植物ですが、CBDが多く生産されるアメリカやカナダなどでは麻からCBDだけを分離して抽出します。
日本では、麻などの茎および種子のみからCBDを抽出することが可能です。
植物からCBD成分だけを分離して精製したものは「CBDアイソレート」と呼ばれ、成分の約99%以上がCBDである粉末状の物質です。
この約99%以上のアイソレートを様々な製品に加工してCBD製品は作られます。アイソレートをココナッツオイルやオリーブオイルなどのキャリアオイルと混合して濃度を調節したCBD製品がCBDオイルです。
CBDオイルとヘンプオイルは何が違う?効果や含まれる栄養素も紹介!CBDは皮膚炎やその他美肌効果あり?CBDと皮膚の関係について解説!
私たちの体内には様々な身体機能の調節を行うエンドカンナビノイドシステム(ECS)があります。CBDはECSに働きかけて活性化することで疼痛、炎症、ストレス、不安、睡眠、食欲などを改善をします。
ECSはもともと、アナンダミド(AEA)や2-AGなどの内因性カンナビノイドが、全身に発現するCB1やCB2というカンナビノイド受容体に作用することで機能しています。
CBDはCB1やCB2に直接作用するのではなく、AEAや2-AGを破壊する酵素を抑制して分泌量を増加させたり、また神経や組織を破壊する活性酸素を除去する作用などがあります。
CB1は脳や中枢神経系に主に発現し、CB2は免疫細胞や末梢神経系、皮膚、臓器、眼球など全身に発現します。またCBDはECS以外の体内の様々な神経伝達物質の受容体に作用する特性もあります。
皮膚炎
皮膚炎は特定の疾患名ではなく、かゆみや赤み、腫れなどを伴う皮膚症状全般を指します。アトピー性皮膚炎(AD)も含まれますが、アトピー性皮膚炎については後述します。
多くの方が虫刺されやアレルギー、衣類の擦れ、化粧品や薬剤による刺激など様々な原因で皮膚炎を経験したことがあると思います。
皮膚炎の症状である「かゆみ」に対し私たちは対処行動として無意識に皮膚を掻くことがあります。
掻くことによって「痛み」を発生させて拮抗することで一時的にかゆみは収まりますが、血管が拡張されてさらにかゆみを強めたり、皮膚を傷つけて治りが遅くなったり場合によっては傷痕が残ることもあります。
かゆみの原因は主に肥満細胞や白血球などから放出されるヒスタミンという化学伝達物質です。
過去に行われた研究により、CBDと同様の作用がある作動薬を使用して皮膚に発現するカンナビノイド受容体を活性化させると、ヒスタミンによって誘発されたかゆみが改善されたことが報告されています。
つまり、原因がわかっている蕁麻疹や湿疹など、ヒスタミンによって引き起こされるかゆみにはCBDの摂取は有効であると考えられます。しかし、ヒスタミン以外による湿疹や蕁麻疹などもありますのでご注意ください。
ニキビ
ニキビはアクネ菌が毛穴の中で増殖することによって引き起こされる毛穴の炎症です。アクネ菌は過剰な皮脂や汚れ、古い角質などを栄養として増殖します。
抗炎症作用に加えてニキビの原因となる過剰な皮脂やアクネ菌の増殖を抑制する効果がCBDにあることが報告されています。
また、CBDはニキビそのもの治療だけではなく、ニキビ痕や肌の全体の状態を改善する可能性も高いとされています。
CBDオイルやCBDクリームはにきびや湿疹に効く?塗り方は?過去の研究より、尋常性乾癬やアトピー、傷などの様々な問題を抱える20人の被験者がCBD軟膏を一日に2回塗布し3ヶ月間続けたところ、3ヶ月後には保湿性や弾力性などを含む皮膚の状態が向上したと報告されました。
また、CBD軟膏によるアレルギー反応や新たな皮膚トラブルなどはなかったということです。
この研究では、CBDによる肌トラブルの改善は見られましたが、傷痕などが完全に消失するということを証明するものではありません。
現段階では、CBDやCBDオイルの効果を最大限得るには、ニキビなどが重症化する前になるべく炎症の初期段階で使用するように推奨されています。
また、CBDには抗炎症作用や抗菌作用などがあることは報告されていますが、CBDは傷薬ではありません。ニキビが潰れて出血している場合などは直接傷にCBDを塗布することは避けるようにしてください。
肌の老化(しわ、たるみなど)
老化の原因の一つには活性酸素があります。活性酸素は皮膚のコラーゲンや皮脂などの酸化を引き起こし、しみやしわ、たるみなどの原因となるとされています。
活性酸素を発生させるのは、身体的・精神的ストレスや喫煙習慣、生活習慣、紫外線などです。活性酸素の除去には、これまでビタミンCやビタミンEなどが注目されてきました。
植物由来のCBDには活性酸素を抑制する抗酸化作用があります。その効果はビタミンCやビタミンEなどよりも強力と言われています。
また、直接的な肌への効果ではありませんがCBDは心身をリラックスさせ、睡眠の改善に有効であるため活性酸素の発生の原因となる身体的・精神的ストレスの軽減に繋がるのではないでしょうか。
アトピー性皮膚炎(アトピー)
肌(皮膚)は気温の変化や乾燥、アレルゲンなどの様々な外的要因から身体を守る機能(バリア機能)がありますが、アトピー性皮膚炎の患者はバリア機能が低下することで、免疫が作用し皮膚に炎症反応を生じさせます。
アトピーはアレルギー性疾患の一つですが、花粉症などのように特定のアレルゲンに対して発症するのではなくいくつもの要因が重なっています。
アトピーを誘発する要因には空気中のアレルゲン、特定の食品、化粧品、気温、湿度、汗、衣類による刺激などがあります。
アトピー以外の皮膚炎では、かゆみに対してヒスタミンを抑制することで軽減出来ると説明しましたが、アトピー患者の皮膚は正常な皮膚と比較すると「かゆみを知覚する神経」が非常に増加しています。
そのため、些細な刺激でもかゆみが生じてしまい、アトピーのかゆみはヒスタミン抑制剤だけでは改善されないことが多いです。
近年の研究では、アトピーのかゆみは炎症性物質(サイトカイン)によって引き起こされることがわかっています。
そして、皮膚症状の不快感から多くのアトピー患者は睡眠障害を抱えており、身体的ストレスや精神的ストレスはアトピーをさらに悪化させる要因となります。
ニキビの項目で説明したように、CBDやCBDオイルはアトピーによる炎症を鎮静させたことが報告されていますが、他にもいくつかの効果的な作用があると考えられています。
CBDはバニロイド受容体(TRPV1)という痛みのコントロールに関わる受容体に作用しますが、このTRPV1は皮膚を過敏にさせてかゆみを増長する抹消神経の増殖の阻害に関わっていることが報告されています。
さらに、ヒスタミン以外でアトピー患者のかゆみを引き起こす炎症性物質(サイトカイン)の抑制効果も報告されています。
そして、CBDやCBDオイルはアトピーに悩む患者にとって深刻な問題である睡眠障害の改善も期待できるため、アトピーの治療には理想的であると言えるでしょう。
CBDクリームやCBDオイルはアトピー性皮膚炎や乾癬に効果がある?CBDに副作用の心配はある?
美容や美肌を目的にCBDやCBDオイルを摂取する場合、CBDオイルやCBDカプセルを経口摂取や舌下摂取などで内服する方法と、CBD入りクリームやCBD入り軟膏などを外用する方法があります。
CBDは内服しても副作用が少ない物質です。これまでに報告されている主な副作用の症状は、下痢や口渇、食欲の変化、強い眠気、吐き気などがありますが大量に摂取しない限りは重篤な副作用が起こる可能性は低いです。
また、皮膚に直接CBDを塗布する場合は全身へ作用しないため、上記のような全身への副作用はさらに少ないとされています。
WHOによってもCBDは安全性が高いことが発表されていますが、CBD製品を購入する際には注意すべき点があります。
まずは、製品に書かれている表記をしっかりと確認するようにしましょう。現在、日本ではCBD製品の表示に関するルールが制定されていないため、CBD製品のラベルの内容などが曖昧であることがあります。
THCや重金属などの検出がないということが第三者機関によって証明されていること、アルコールや自身にとってアレルギー反応が出る成分が含まれていないことなどをしっかりと読んで確認してください。
実際にCBD製品を皮膚に使用する前には少量から試用し、炎症などがないことを確認してください。そして、皮膚トラブルが生じた場合はすぐに使用を中止し、炎症が治らない場合は皮膚科などを受診するようにしてください。
また、CBDは他の薬剤との相互作用があります。薬を内服している場合はCBDやCBDオイルの服用を開始する前に必ず医師や薬剤師などに確認をしてください。
そして、アトピーなどですでにステロイド外用薬を長期間使用している場合は、CBDの使用を開始する際に特に注意が必要です。ステロイド剤は急に使用を中止してしまうと皮膚の状態が悪化することがあります。
また、ステロイド剤を長期使用している皮膚は、見た目には炎症が起こっていなくてもステロイドの副作用で皮膚が薄くなっていたり弱くなっていたりすることがあります。
トラブルを避けるためにも、ステロイド剤は医師と相談しながら徐々に減らすことが大切です。
CBDはステロイド剤の代用として使用できる可能性が高いですが、医師の指示なしに自己判断でステロイド剤を中止してCBDに切り替えたり、CBDとステロイド剤を同時に使用したりすることは避けるようにしてください。
CBDそのものは安全性の高い成分とされていますが、研究数はまだ十分ではありません。内服する場合も外用する場合も慎重に行いましょう。
肌に直接塗るタイプのCBD製品の効果や摂取方法とは?
CBDを肌に塗ることの第一のメリットは、局所的な効果の高さです。CBDやCBDオイルを舌下摂取したり経口摂取したりすると一度消化器官や血管に吸収されてから全身に作用します。
そのため、経口摂取や舌下摂取したCBDの大部分は尿中へ排出されます。
しかしCBD製品を肌に塗った場合、CBDは皮膚から吸収されて塗った部分の皮膚や末梢神経などにあるカンナビノイド受容体を間接的に活性化することでCBDの効果がもたらされます。
上述したようなCBDの抗炎症作用や鎮痛作用、抗酸化作用、抗菌作用などは全身ではなく塗布した範囲にだけ局所的に現れます。
皮膚にCBDを塗布した場合、体内へのCBDの吸収率が高く効果持続時間は5時間ほどとされています。しかし、効果を感じるまでに最大2時間ほどかかる可能性があるため、それを計算して塗布を行うと良いでしょう。
皮膚に塗るCBD製品(トピカル)の使用例として、蕁麻疹や湿疹、ニキビなどの局所的な皮膚の炎症に対してはCBD入りのバームやクリームを炎症部位やかゆみの強い部位だけに塗布するようにします。
必要なCBDの塗布量は炎症範囲の大きさやかゆみの程度によって変わるため、一概にどの程度塗れば効果が出るということを提案する事は難しいです。
またCBDの効果の感じ方は個人差が大きく、効果出現時間や効果持続時間はあくまでも目安になります。
まずは少量の塗布でどのくらいの時間で効果が出現して、また効果が持続するかを確認し、その後は効果出現時間を計算して塗りなおすのが良いでしょう。
最初に使用量が少なすぎて効果を感じなかった場合は少しずつ塗布量を増加させ、副作用や新たな皮膚トラブルの出現に注意しながら使用するようにしてください。
関連文献
- Histamine induced responses are attenuated by a cannabinoid receptor agonist in human skin
- Differential effectiveness of selected non‐psychotropic phytocannabinoids on human sebocyte functions implicates their introduction in dry/seborrhoeic skin and acne treatment
- A therapeutic effect of cbd-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars
- Sensitization of Itch Signaling
- Th2 Cytokines and Atopic Dermatitis
CBDやCBDオイルの皮膚への作用に関して皆様から頂いた質問
CBDには美肌作用がありますか?(20代女性)
CBDには抗炎症作用や、過剰な皮脂やアクネ菌の増殖を抑制する作用が期待でき、さらに老化の原因の一つである活性酸素を抑制する抗酸化作用が期待できると報告されています。しかし、CBDの美肌作用に関する研究数は十分でないため、今後の研究に期待しましょう。
CBDやCBDオイルは皮膚炎に作用しますか?(30代男性)
CBDはバニロイド(TRPV1)という痛みのコントロールや、皮膚を過敏にさせてかゆみを増長する「抹消神経の増殖の阻害に関わっている受容体」に作用すると過去の研究で報告されています。さらに別の研究では、アトピー性皮膚炎のかゆみを引き起こす炎症性物質(サイトカイン)の抑制作用も期待できると示唆されています。まだ世界で研究中ではありますが、今後さらに研究が進むことで、皮膚炎への作用が明らかになるかもしれません。
肌に塗るタイプのCBD製品はどのくらいの量を塗布すれば良いでしょうか?(20代男性)
必要なCBDの量には個人差があるため一概にどの程度塗れば良いかということを提案する事は難しいです。CBDの感じ方で摂取量を調節して、自分にあった摂取量を探すことをおすすめしています。