CBDグミはどんな痛みに作用する?生理痛や神経痛、炎症にも良い?

CBDグミはどんな痛みに作用する?生理痛や神経痛、炎症にも良い?

日常的に様々な疼痛に悩まされて鎮痛剤が手放せないという人は少なくないと思います。痛みによってうつや不安などの精神症状が顕著になることも珍しくありません。本記事では、CBDやCBDグミによる痛みや精神症状に対する作用について解説します。

CBDグミって何?メリットやデメリットをご紹介!

近年世界的に人気が爆発的に広まっているCBDですが、どのような物質であり、またどのような製品が販売されているのでしょうか。

CBDとは?

CBD(カンナビジオール)はカンナビス・サティバ・エル(産業用大麻)やカンナビス ・インディカ(マリファナ)などの植物から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一種です。

カンナビノイド類は今の段階で100種類以上発見されています。その中には大麻の精神活性作用の原因と知られているTHC(テトラヒドロカンナビノール)というカンナビノイドも含まれています。

CBDとTHCの体内での作用は全く違うものであるため、CBDだけを摂取しても「ハイ」になるようなことはありません。むしろ、CBDは心身に多くのメリットをもたらす成分として注目されています。

原料となる大麻などの植物から抽出されたCBDは以下のような様々な製品に加工されます。

代表的なCBD製品には、CBDオイル(舌下摂取、経口摂取)、CBDリキッド(吸入摂取)、CBDトピカル(経皮摂取)、そして今回の記事で注目するCBDグミなどを含むCBDエディブル(経口摂取)などがあります。

CBDグミは私たちにとってなじみのあるお菓子のグミにCBDを含有する製品ですが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

CBDグミのメリットは?

CBDグミのメリットとして第一に挙げられるのは摂取の手軽さでしょう。

場所を選ばずに摂取することができ、フルーツ味などの甘いグミなので麻の成分特有の苦味などを気にせずに摂取することができます。

また、CBDエディブル(CBDを含有する食品)は消化された後に脂肪組織に蓄積される特徴があります。脂肪組織から少しずつCBDが血中に溶け出すため、CBDの効果は長時間持続します。

CBDエディブルの効果持続時間はおよそ12時間とされており、舌下摂取(4〜8時間)や吸入摂取(30分〜1時間)などの他の摂取方法と比較しても長いことが分かります。

CBDグミのデメリットは?

CBDグミの効果持続時間は長いですが、体内でのCBDの吸収率は他の摂取方法と比べると非常に低いです。

小腸から吸収されたCBDは肝臓を通過して血管内に吸収されますが、CBDの大部分は肝臓で酵素(CYP450)によって代謝され、体外へ排泄されます。そのため、CBDエディブルの吸収率は6〜20%程度です。

またCBDの効果を感じるのはCBDが血管内に吸収されてからですが、一度消化器官を通過するため直接血管に吸収させる方法と比べると効果が現れるまでに時間がかかり、最長で2時間ほどかかる可能性もあります。

CBDやCBDグミはどんな痛みに作用する?

CBDが疼痛を緩和する仕組みには、私たちの身体に存在するエンド・カンナビノイド・システム(ECS)が深く関わっています。

ECSとは、AEAや2-AGなどの内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド )がCB1やCB2などのカンナビノイド受容体を活性化することで疼痛や炎症、ストレス、不安、睡眠、食欲などを調節する仕組みです。

CB1は主に中枢神経系(脳・脊髄)に多く発現し、CB2は末梢神経系や免疫細胞などに多く見られます。また、皮膚や骨、全身の臓器にもCB1やCB2の発現が確認されています。

CBDはCB1やCB2に対する親和性はほとんどありませんが、内因性カンナビノイドであるAEA(アナンダミド)や2-AGを破壊する酵素(FAAH)を阻害することで体内での分泌量を増加させます。

中枢神経系には疼痛を身体に伝える経路が複数あり、CBDによって中枢神経系のCB1が間接的に活性化されることで、痛みを身体に伝える神経伝達物質の分泌が抑制されます。それによって疼痛が緩和されます。

また、CBDは多くのECS以外の神経伝達物質受容体に作用することも分かっています。疼痛のコントロールに関わる受容体では、バニロイド受容体(TRPV-1)、セロトニン受容体(5HT-1)などに働きかけます。

CBDグミとその他のCBD製品では、摂取方法によって効果発現時間や効果持続時間などの違いはありますが、上述したようなCBDの体内での作用には違いはありません。

効果持続時間の長いCBDグミが有効であると考えられる疼痛の特徴として、慢性的であったり突発的であったりする疼痛の予防に適していると考えられます。

そもそも、一口に疼痛(痛み)と言っても様々な分類方法・種類があります。

ここでは侵襲受容性疼痛と神経障害性疼痛(神経因性疼痛)、そしてそのどちらにも当てはまらない場合の3種類に分けてCBDがどのように作用するのかを見ていきましょう。
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侵襲受容性疼痛とは?

侵襲(しんしゅう)とは病気や怪我、医療処置、手術など重症度や内容に関係なく「身体の細胞が傷つくこと」を意味します。侵襲受容性疼痛によって身体に異常が起きている、危険であるということを知らせるサインです。

侵襲受容性疼痛は病巣や損傷部位などの原因がはっきりとしていることが多く、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が有効であったり外科的治療によって身体の異常が取り除かれると痛みがなくなることがほとんどです。

CBDの抗炎症作用や鎮痛作用は侵襲受容性疼痛に対して幅広く作用することが期待されています。いくつかの例を紹介します。

生理痛

女性のためのCBD
生理痛(月経困難症)は多くの女性が経験する月経時の代表的な症状です。月経が始まると体内で子宮収縮作用のあるプロスタグランジンという生理活性物質の分泌が多くなることで引き起こされます。

プロスタグランジンはCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素から生成され、子宮を収縮させることによって経血を排出する作用がありますが、分泌量が多すぎると動けなくなるほどの強い痛みを下腹部に引き起こします。

生理痛がある際に摂取するロキソニンやアスピリンなどのNSAIDsは、このプロスタグランジンの素となるCOXの産生を阻害することでプロスタグランジンの分泌を減少させて痛みを緩和する作用があります。

しかし、プロスタグランジンには胃粘膜の細胞を保護する役割もあるため、プロスタグランジンを抑制しすぎてしまうと、副作用として胃潰瘍となるため問題となっていました。

COXにはCOX-1とCOX-2、COX-3が存在し、COX-2が主に炎症を起こしCOX-1が胃粘膜の保護の役割があることがわかっています。

現在では、COX-2だけを抑制する選択的COX-2阻害薬も開発されていますが、副作用として血栓症のリスクが増加することが報告されています。いずれにしてもNSAIDsの常用はあまり望ましくないと言えるでしょう。

CBDにはNSAIDsのようにCOX2を抑制する作用がありますが、COX1に対する抑制作用はほとんどないとされています。そのため、子宮の痛みを軽減しながらも副作用が少ないとされています。

また、CBDの作用はあくまで「調節」であるため、NSAIDsなどのように「抑制しすぎる」ということは少ないと考えられます。

生理痛の重さや期間は個人差がありますが、副作用が生じる可能性の高いNSAIDsを6〜8時間に一度摂取する代わりに、CBDグミによって副作用の心配をすることなく鎮痛作用を得られる可能性は高いです。

CBDグミは摂取してから効果を感じるまでに時間がかかるので、即効性が欲しい場合は効果の発現が速いCBDオイルなどと組み合わせるとより効果的でしょう。

関節痛

多発性硬化症や関節リウマチなど、自己免疫疾患の代表的な症状である関節痛でもCBDの有効性が示唆されています。

自己免疫疾患は、本来は怪我やウイルス感染などに対して機能するはずの免疫システムが誤作動を起こし、自己の正常な組織を異物とみなして攻撃する疾患です。

関節リウマチの場合、関節を守る関節滑膜に慢性的な炎症が引き起こされて強い痛みや腫れ、むくみ、熱感などが生じます。関節痛は持続的ではなく、関節を動かしたり患部を押さえたりすると急に引き起こされます。

人の免疫細胞にはCB2が発現し、AEAや2-AGなどによってCB2が活性化することで免疫細胞の過活動を抑制することで炎症を抑制することがわかっています。

これまでに行われた数々の研究より、CBDによって関節の炎症や疼痛が抑制されたことが報告されています。

CBDグミは長時間効果が持続するため、関節リウマチの特徴である突然生じる痛みなどの予防に有効であると考えられます。

また、疼痛に対して即効性が欲しい場合はCBDオイルを併用したり、局所的な鎮痛作用にはCBDバームなども組み合わせるとより良い効果が得られるでしょう。
 

神経障害性疼痛(神経因性疼痛)

神経障害性疼痛は、神経そのものや脳、脊髄などが障害されたり機能異常が起きたりすることよって引き起こされる痛みです。

炎症からの回復後の慢性疼痛(1ヶ月以上続く痛み)の一つであり、すでに身体に炎症などの異常がないにも関わらず疼痛が持続することで知られています。

身体に炎症が起こっていないため、炎症性物質(サイトカイン)を抑制することで疼痛を軽減するNSAIDsの効果があまり感じられないことが多いです。

ここでは帯状疱疹後神経痛を例に見てみましょう。帯状疱疹は、過去に水疱瘡にかかったことがある人は誰でもかかる可能性がある疾患です。

水疱瘡が治癒すると、水痘帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルスの一種)は人の神経節に潜在します。

普段は免疫によって不活化していますが、疲労やストレスなどによって免疫が低下することでウイルスが活性化し、神経に沿って炎症を引き起こします。

帯状疱疹の炎症が起こっている間の疼痛(侵襲受容性疼痛)は数日から数週間ほどで軽減されますが、炎症が完全に回復した後にもおよそ3割の人は炎症部位に疼痛が残ることが多いです。

これは、帯状疱疹のウイルスによって神経が損傷されることで痛みを伝える経路に異常が生じるためとされています。

断続的な針で刺すような痛みや焼けるような痛みや、衣服などの擦れや洗顔行為など軽く触れただけでも激痛を感じる痛覚過敏もあります。

CBDは帯状疱疹後神経痛に対してどのように作用するのでしょうか。

まず、CBDは前述したように疼痛を身体に伝える中枢神経系のCB1へ間接的に作用します。神経障害性疼痛において、このCBDの鎮痛作用は最も重要とも言えるでしょう。

そして、CBDには活性酸素から神経のダメージを保護する抗酸化作用があるため、神経保護や神経の修復において有効であるとされています。

また、神経組織がウイルスによって破壊されると神経細胞を構成するミクログリア細胞が活性化し、サイトカインや神経新生のための神経栄養因子(BDNF)を分泌します。

BDNFは破壊された神経の修復において必要ですが、水痘帯状疱疹ウイルスによってBDNFの作用が過剰に促進されることが確認されており、これが痛覚過敏の原因の一つとされています。

ミクログリア細胞にはCB2が発現し、CBDによって間接的に活性化されることでミクログリア細胞の活性化は抑制されるという研究結果があります。

帯状疱疹後神経痛は長ければ数年間苦しむ人もいます。副作用が少なく効果持続時間の長いCBDグミは、効果がわからなかったり副作用が強かったりする鎮痛剤などの代わりに、大きな助けになる可能性があります。
CBDは神経因性疼痛に効果がある?カンナビノイド系の疼痛治療剤とは?CBDは神経因性疼痛に効果がある?カンナビノイド系の疼痛治療剤とは?

侵襲受容性疼痛にも神経障害性疼痛にも当てはまらない疼痛

疼痛の原因として考えられるような既往歴がなく、また炎症などの身体的所見が確認されないにも関わらず急に疼痛が生じることがあります。

「線維筋痛症」はその代表的な疾患で、病院などでレントゲンやMRI、血液検査などをしても異常が見つかりませんが、関節や筋肉、骨などに激しい痛みを感じる疾患です。

以前は精神的な要因から来る痛み(心因性疼痛)と考えられていました。

現在でも原因は完全には解明されていませんが、脳や神経が身体に疼痛を伝える経路に何かしらの異常があり、ささいな刺激でも増幅されてしまい激痛として伝わっているのではないかと考えられています。

現段階では、CBDとTHCの組み合わせが最も有効とされていますが、アメリカの線維筋痛症の専門家によるとCBDだけでも症状の軽減が見られたとの逸話があります。

THCは中枢神経系などのCB1を直接活性化する作用があるため、鎮痛作用においてはCBDよりも強力とされています。しかし、THCは日本では大麻取締法において禁止されている成分です。

THCと比較すると、CBDによる鎮痛作用はやや弱いかもしれませんが、原因不明で治療法が確立されていない疾患の治療法の一つとして副作用の少ないCBDやCBDグミを試す価値はあるのではないでしょうか。

以上のように、CBDやCBDグミは幅広い疾患や症状に効果的である可能性が高いです。

実際にCBDやCBDグミの摂取を開始する前には、薬の服用の有無にかかわらず担当の医師に相談をしてから服用を開始するようにしてください。自己判断では摂取をしないように注意しましょう。

CBDやCBDグミは痛み以外にも効果的?不安やうつにも作用する?

疼痛を抱える患者の多くは不安や抑うつ、睡眠障害などの附随症状を抱えています。また、精神症状の悪化は疼痛をさらに強くすることもあるため、鎮痛作用や抗炎症作用とともに精神症状の改善は必須とも言えます。

CBDやCBDグミには疼痛や炎症の緩和だけでなく、このような精神症状にも良い作用をもたらす可能性が高いです。

CBDは体内でセロトニンやGABAなどの抑制系の神経伝達物質の分泌を促進しストレスや不安を緩和したり睡眠障害を改善したりすることにおいて有効であることが示唆されています。

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