CBDやCBDオイルのアイソレートとブロードスペクトラムはどちらが良い?原料から徹底比較!

CBDやCBDオイルのアイソレートとブロードスペクトラムはどちらが良い?原料から徹底比較!

日本で合法的に使用することができるアイソレートとブロードスペクトラムはどちらの方が良いのでしょうか。本記事では、アイソレートとブロードスペクトラムの原料や抽出方法、効果、価格など、様々な点から比較し最後におすすめのCBD製品をご紹介します。

CBDやCBDオイルにはどんな種類がある?アイソレートやブロードスペクトラム、フルスペクトラムとは?

CBDのフルスペクトラムとブロードスペクトラムとアイソレートの違い
近年日本でも話題となっているCBD(カンナビジオール)は、大麻草の一種であるヘンプ(産業用大麻)から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる生理活性成分の一種です。

CBDは食品から化粧品まで様々な製品に使用されており、中でも最も製品数が多いのがMCTオイルやオリーブオイルなどにCBDを溶解したCBDオイルと呼ばれる製品です。

CBDの原料であるヘンプは精神活性作用をもたらすTHC(テトラヒドロカンナビノール)というカンナビノイドを含有することから、日本では大麻取締法の下で栽培や所持が規制されている植物です。

しかし、CBDとTHCの作用は全く違うものであり、CBDだけを摂取したところで「ハイ」になることはありません。

ヘンプにはCBDやTHC以外にも100種類を超えるカンナビノイド類や、テルペンやフラボノイド、ビタミンといった様々な栄養が含まれており、THC以外の成分はヘンプから抽出されたものでも合法になります。

CBDやCBDオイルのパッケージやラベルを見ると「アイソレート」「ブロードスペクトラム」「フルスペクトラム」と表記されていることがあります。

簡単に言えば、これらの表記はCBDやCBDオイルに「ヘンプのどの栄養成分が含まれているか」を表しています。

アイソレートと書かれていればCBDのみ、ブロードスペクトラムと書かれていればTHC以外のヘンプの成分、フルスペクトラムと書かれていればTHCも含むヘンプの成分が含まれていることを示しています。

THCを含有するフルスペクトラムのCBDやCBDオイルの販売や購入、所持等は本来であれば日本では違法となります。

しかし、現在CBD製品の製造や販売等に関する厳密なルールがないため「THCフリーフルスペクトラム」などと言った表記でブロードスペクトラムとフルスペクトラムが区別されていない製品も数多く流通しています。

フルスペクトラムの表記があるCBDやCBDオイルはTHCが入っている可能性が高いことを念頭に置き、安全性が曖昧なCBD製品は購入の際に選択肢に入れないようにしましょう。

フルスペクトラムについては以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
フルスペクトラムCBDは違法?ブロードスペクトラムとの違いは?フルスペクトラムCBDは違法?ブロードスペクトラムとの違いは?

CBDやCBDオイルのアイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムの違いを原料から徹底比較!

アイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムを様々な点から比較してみたいと思います。

原料

CBDアイソレート
アイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムの原料には、アメリカやヨーロッパなどで栽培されている0.3%以下のTHCを含有するヘンプが使用されています。

加えて、日本に輸入することができるCBDやCBDオイルはヘンプの「茎」および「種子」から抽出された成分が使用されている製品に限ります。

ヘンプの花穂や葉などから抽出された成分が使用されたCBDやCBDオイルは大麻に該当する場合があり規制の対象となることがあります。

抽出・精製方法

アイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムの製造工程は途中まで共通しています。

まず、第一段階では原料となるヘンプから全成分を抽出します。

近年では安全性が高く効率良く純度の高いCBDを抽出することができる「超臨界二酸化炭素抽出法」を採用している大手メーカーが増えています。

超臨界二酸化炭素抽出法は、超低温で液化した二酸化炭素に原料であるヘンプを浸し、ヘンプからカンナビノイドやビタミン、テルペンなどを含む全栄養成分を抽出します。

オイルやエタノール、安価なブタンやヘキサンなどの溶媒を使用した抽出方法を採用しているメーカーもありますので、購入を考えているCBDやCBDオイルはどのように抽出されているかを確認してみると良いでしょう。

第二段階では、抽出されたヘンプの成分にエタノールなどを加え、抽出物に含有されるワックスや脂肪分などの不純物を除去します。

その後、第三段階では第二段階でできた抽出物に含まれる不活化状態のカンナビノイド類(CBDAやTHCAなど)を加熱によってCBDやTHCに変化させます(脱炭酸)。これでフルスペクトラムの完成です。

アイソレートやブロードスペクトラムはここからさらに工程が重ねられて作られます。

アイソレートを作るには、第三段階で完成したフルスペクトラムを蒸留(沸点の違いを利用することで混ざり合った2種類以上の物質を分離する方法)することでCBDのみを分離します。

分離されたCBDを再結晶化させ、白いパウダー状になったものがアイソレートと呼ばれます。

一方でブロードスペクトラムは第三段階で完成したフルスペクトラムからTHCのみを除去して作られます。

フルスペクトラムからTHCを除去する方法は「クロマトグラフィー」と呼ばれる分離方法で行われるのが最も一般的です。

クロマトグラフィーとは、2種類以上の性質の異なる成分が混合された状態の物質を、様々な溶媒を使用して各成分ごとに分離する方法の総称です。

クロマトグラフィーの分かりやすい例として、緑色のインクが付着した紙の先端を水(溶媒)に浸けておくと、紙が吸水するとともにインクが滲んで徐々に紙の上の方へ移動する事象が挙げられます。

水に溶けたインクは移動しながら緑のインクを構成する黄色や青色、緑色などの色素ごとに分離していきます。これは、それぞれの色素が持つ性質(水に溶けやすい、吸着しやすいなど)が違うために起こります。

フルスペクトラムを水やエタノールなどの溶媒に溶かすと同じような反応が起こり、CBDやTHCが溶媒の中を移動しながら分離され、ここで分離されたTHCのみを除去して残った成分がブロードスペクトラムになります。
CBDやCBDオイルの抽出方法は? オススメのCBD原料も紹介!CBDやCBDオイルの抽出方法は?オススメのCBD原料も紹介!

成分

それぞれに含まれる成分は以下の通りです。

  • アイソレート:ヘンプから抽出された成分からCBDのみを分離したもので、99%以上CBDで構成されている(取り除ききれないヘンプの組織などが1%未満含有されることがある)
  • ブロードスペクトラム:ヘンプから抽出されたCBDを含む様々なカンナビノイド類やビタミン、テルペン、フラボノイドなどの成分を含有しているが、THCは除去されている。組成は製品による
  • フルスペクトラム:ヘンプから抽出されたCBDを含む様々なカンナビノイド類やビタミン、テルペン、フラボノイドなどの成分を含有し、0.3%以下のTHCも含まれている。組成は製品による

見た目

抽出・精製後のアイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムは以下のような色や形状をしています。

  • アイソレート:白色(無色)でパウダー状である
  • ブロードスペクトラム・フルスペクトラム:黄色〜褐色でワックスやシャッター(ガラス状)、クランブル(そぼろ状)などの形状をしている

価格

原料の段階ではアイソレートの方が値段が安く、ブロードスペクトラムやフルスペクトラムの方が値段が高い傾向にあります。

アイソレートはフルスペクトラムよりも抽出・精製の工程が多いのに、なぜアイソレートの方が安いのかというはっきりした理由は分かりかねますが、含有される成分(CBG、CBNなど)が多いほど高価になっています。

使い方

アイソレートやブロードスペクトラム、フルスペクトラムには様々な使い方がありますが、アイソレートの用途が最も多いです。

  • アイソレート:粘膜(舌下・鼻粘膜など)から体内へ吸収させる、料理や飲み物に加える、手持ちのボディクリームなどに加える、CBDオイルや電子タバコのリキッドに加えて濃度を高める、など
  • ブロードスペクトラム・フルスペクトラム:ジョイントやヴェポライザーで吸入する、皮膚に直接塗る(ワックスなど)、など

効果

アイソレートを使用した場合に得られるのはCBDの効果のみですが、CBD以外に複数の栄養成分を含有するブロードスペクトラムやフルスペクトラムは「アントラージュ効果」が期待できるとされています。

アントラージュ効果とは、成分を単体で摂取するよりも複数の成分を同時に摂取すると、それぞれの成分が相互作用を引き起こして効果が増強されることを指します。

そのため、CBD以外のカンナビノイドやテルペンなどを含有するブロードスペクトラムやフルスペクトラムはアイソレートと比べて強い効果が期待できるとされています。

ただし、2021年にアメリカで行われた研究において、市販のCBD製品におけるアントラージュ効果はそこまで大きくない可能性が示唆されました。

こちらの研究については次の項目で詳しく解説します。

海外での製品数

世界のCBD市場
現在販売されているCBD製品は莫大な数であり、具体的にどの種類がどれだけ販売されているかを調査することはほぼ不可能ですが、最も多いのはフルスペクトラムであると推測されます。

その理由として、日本にも多くのCBDやCBDオイルを輸出しているアメリカでは、一部例外はありますがほとんどの州で大麻やTHCが含有されているCBD製品の所持や使用が合法、もしくは罪に問われないとされています。

そのため、身体に作用しないレベルとされている0.3%以下のTHCをわざわざ除去する必要がなく、アイソレートやブロードスペクトラムの製品数は少なくなるのが自然でしょう。

アイソレート ブロードスペクトラム フルスペクトラム
原料 ヘンプ(0.3%以下のTHC)
抽出方法 超臨界二酸化炭素抽出法
成分 CBDのみ THC以外のヘンプの成分 ヘンプの全成分
効果 CBDの効果のみ アントラージュ効果
見た目 無色のパウダー状 黄色〜褐色
価格(相対比較)

アイソレートとブロードスペクトラムは結局どちらが良いの?

CBDアイソレート
アイソレートは使い勝手が良い、THCの混入を避けられる可能性が高い、比較的値段が安いといったメリットが多くあります。

そして、一般的にアイソレートのデメリットといえばCBDしか入っていないためアントラージュ効果が期待できないことが挙げられます。

しかし、後ほど詳しく解説する研究結果を見ると分かりますがアイソレートとそれ以外のCBD製品の効果に有意差は無いため、アントラージュ効果の有無はそれほど気にしなくても良いデメリットと言えるでしょう。
ブロードスペクトラム
一方で、ブロードスペクトラムのメリットはアントラージュ効果の一点のみで、それ以外は値段が高い、フルスペクトラムと見分けがつきにくいためTHC混入のリスクが高い、などのデメリットの方が多く挙げられます。

ブロードスペクトラムの謳い文句とも言えるアントラージュ効果が有る場合と無い場合で、あまり効果に差がないというものの具体的にどの程度数値として違うのか、多くの方が気になるポイントではないでしょうか。

そこで、今後CBD製品を選ぶ際に参考になりそうな研究結果をご紹介します。

2021年にアメリカで約3,000人の成人が参加し、13種類の市販のCBD製品を用いてCBDの効果を検証する大規模な研究調査が行われました。

13種類の市販のCBD製品の中から1種類が1人の被験者に配布され、4週間に渡って使用した場合の幸福感、QOL、痛み、睡眠、不安の5点におけるCBDの効果を調査するものです。

この研究では一般的なCBDの効果を検証するだけでなく、13種類のそれぞれのブランドごとの効果も分析されます。

研究のために提供された13種類のCBD製品はアイソレート、ブロードスペクトラム、フルスペクトラムなど様々です。

2022年6月の段階ですでに結果を公表している濃度10%のアイソレートの製品を提供したA社の製品と、濃度8.3%のフルスペクトラムのCBDオイルを提供したB社の製品を比較してみたいと思います。

A社が公表した結果によると、A社のアイソレートCBDオイルを4週間使用した被験者グループにおいて、平均で幸福感は70%、不安は49%、睡眠の質は27%、痛みは25%改善されたとのことです。

一方でB社が公表した結果では、B社のフルスペクトラムCBDオイルを4週間使用した被験者グループにおいて、平均で幸福感は72%、不安は54%、睡眠は33%、痛みは26%改善されたとのことです。

どちらの会社もQOLの結果については公表していません。

フルスペクトラムを使用したグループの結果が若干数値的には上回っていますが、アイソレートとフルスペクトラムでもそこまで効果に大きく差があるわけではないことが分かります。

アイソレートとブロードスペクトラムであればさらに効果の差が小さくなることが予想され、費用対効果を考えると、絶対にブロードスペクトラムの方が良いとは断言できないのではないでしょうか。

それでも消費者心理としては少しでも効果が高いブロードスペクトラムを選びたくなるかもしれません。

しかし、日本でCBDの原料を製造できない現状では海外から輸入するしかなく、日本の大麻取締法に則っていない「グレー」なブロードスペクトラムが多く存在するのも事実です。

いくら効果が高く高品質な製品でも大麻取締法に抵触してしまっては元も子もありません。

また、近年はプロ・アマに関わらずスポーツをされる方にもCBDやCBDオイルが注目されています。

例えTHCが入っていないとしてもCBD以外のカンナビノイドがドーピングテストに引っかかってしまう可能性があります。

以上のようなことから、弊社ではブロードスペクトラムよりもアイソレートのCBDやCBDオイルを選ばれることをおすすめしています。

CBDやCBDオイルのアイソレートとブロードスペクトラムは本当に安全?

THCの入っていないアイソレートとブロードスペクトラムは日本で合法的に使用することができます。しかし残念ながら絶対に安全であるという保証はなく、消費者である私たちが購入時に確認するしかありません。

まず、THCの混入が発覚するとどれだけ微量であっても「大麻に該当する」と判断されてしまう可能性が高いです。

アイソレートでもブロードスペクトラムでも第三者機関によって検査が行われており、THCが検出されていない製品であることを確認しましょう。

また、なるべくアイソレートを選ぶようにするとTHCが含有されている可能性はさらに低くなります。

他にも、CBDの原料であるヘンプは土壌に含まれる重金属や農薬などを植物体内に蓄積する性質があります。そのため、汚染されたヘンプから作られたCBDやCBDオイルにも有害物質が含まれている可能性があります。

これらを避けるにはオーガニック栽培されたヘンプが使用されている製品を選択し、さらに第三者機関による検査証でも有害物質の検出がないことを確認するようにしましょう。

さらに、製品の安全性が高いことが確認されたCBDやCBDオイルでも、過剰に摂取すると副作用が引き起こされてしまうことがあります。

CBDやCBDオイルは一般的な薬剤と比較すると副作用が起こりづらく、あったとしても強い眠気や下痢、口渇感、食欲の変化といった軽症であることがほとんどです。

そのため、過度に副作用を心配をする必要はありませんが、自身にとっての適量を意識して摂取するようにしましょう。

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