CBDやCBDオイルは子宮内膜症の症状を軽減できる?エビデンスは?
子宮内膜症はそもそもどのような病気で、現在ではどのような治療が主に行われているのでしょうか。
子宮内膜症について理解する上で、まずは月経のメカニズムを知ることが大切です。
女性ホルモンと月経周期
月経には卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)と、排卵後の卵から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の重要なホルモンが関わっています。
月経が終了すると、脳の下垂体から「新しい卵(卵胞)を育てる指令を出すホルモン(FSH)」と「黄体を作る指令と排卵を引き起こす指令を出すホルモン(LH)」が分泌されて、卵巣は「卵胞」を育てはじめます。
卵胞を育てるとともに卵巣はエストロゲンを分泌します。エストロゲンの分泌によって、子宮の内側では赤ちゃんのベッドとなる子宮内膜が作られ始めます。
卵胞が成熟に近づくにつれてエストロゲンの分泌量はさらに増加し、子宮内膜も比例して厚くなっていきます。
そして、卵胞が完全に成熟を迎えて排卵できる状態になると下垂体からのLHが急激に強くなり、排卵が引き起こされます。飛び出した卵から次にプロゲステロンが分泌されます。
プロゲステロンはエストロゲンによって育った子宮内膜を柔らかくしたり、内膜に血管を作ったりして受精卵を着床しやすくする役割があります。
プロゲステロンが分泌されることでエストロゲンの分泌量は一時的に減少し、その後再び増加します。このホルモンバランスの急激な変化は心身の多大な影響を与えるPMS(月経前症候群)などを引き起こします。
受精卵が着床するとエストロゲンとプロゲステロンの分泌は持続しますが、妊娠が成立しなければ「ベッド」は不要になるため、両ホルモンの分泌量が低下し自然に子宮内膜が剥がれ落ちて月経が起こります。
子宮内膜症とは
子宮内膜症は、通常であれば先述したように子宮の中で増殖し月経によって体外へ排出されるはずの子宮内膜が、子宮の以外の部位に増殖しそのまま定着してしまう病気です。
なぜ子宮外に子宮内膜が増殖するかという根本的な理由については、現段階ではわかっていません。
子宮内膜症が生じやすいと言われている部位は、子宮周辺の臓器である卵巣や腹膜(お腹の内壁を覆う膜)、子宮と直腸と間(ダグラス窩)などです。珍しい例では肺やへそなどに増殖することも報告されています。
このような特徴から、子宮内膜症は子宮以外への影響が大きい病気です。例えば、卵巣内に子宮内膜が増殖すると「チョコレート嚢腫」という卵巣の病気を引き起こします。
また、お腹の中に増殖すると臓器同士や臓器と腹壁を癒着させてしまい慢性的な痛みや炎症などが生じたり、癒着によって臓器の動きが悪くなるため臓器の機能低下を招いたりすることもあります。
癒着がひどい場合は、腸閉塞となって手術が必要になることもあります。
子宮内膜症の兆候や症状
子宮内膜症の代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 激しい生理痛
- 下腹部痛
- 腰痛
- 月経過多
- 排便痛
- 腹部の張り
- 疲労感
- 頭痛
- 消化器症状(下痢や便秘など)など
子宮内膜はエストロゲンが分泌されると増殖するため、月経を迎えるごとに症状が酷くなることは珍しくありません。
上記の中で最も訴えが多い症状は激しい生理痛です。人によっては月経のたびに動けなくなるほど重症な場合もあります。
しかし中には、子宮内膜症を抱えていても無症状ということもあります。また、生理痛が酷く他にも当てはまる症状がいくつかあるような場合でも全く問題がない「機能性月経困難症」という場合もあります。
痛みや症状の有無だけでは子宮内膜症と診断できないので、定期的に婦人科で検診を受けることは大切です。
そして、子宮内膜症は不妊症の原因の一つでもあります。子宮内膜が卵巣や卵管に増殖して癒着を起こしたりすると動きが悪くなったり、腹腔内の炎症が排卵や受精を妨げてしまう可能性もあります。
子宮内膜症の治療法
子宮内膜症の治療は、大きく分けて薬物療法(対処療法、ホルモン療法)と手術療法があります。
治療法の選択は症状の重さや年齢、妊娠希望の有無、妊娠を希望する時期などによって様々であるため、医師と慎重に相談することが大切です。
対症療法
薬物療法のうち、対症療法とは薬や漢方によって子宮内膜症の症状を緩和する治療法です。子宮内膜症の治療はほとんどがこの対症療法から始めます。
鎮痛剤によって子宮内膜症の症状を改善させるだけなので、子宮内膜の増殖を抑えたり縮小させたりする効果はありません。
ホルモン療法
痛み止めや漢方薬などで症状の軽減が見られなかった場合や、子宮内膜の増殖が拡大した場合などはホルモン治療を行います。
子宮内膜症はホルモンの変動を伴う妊娠や閉経をきっかけに症状が改善することが多いため、ホルモン剤によってわざと身体のホルモンの状態を妊娠時や閉経と同じに近づける治療を行います。
施設や医師によって分類の違いなどはありますが、ここでは「偽妊娠療法」と「偽閉経療法」に分けて見ていきましょう。
まず、偽妊娠療法では「低用量経口避妊薬(ピル)」や「ジエノゲスト(ディナゲスト)」というホルモン剤が主に使用されます。施設によってはジエノゲスト療法と偽妊娠療法は別物として分けられている場合もあります。
ピルやディエナゲストを服用すると体内の女性ホルモンの濃度が上昇するため、身体は女性ホルモンの量がすでに十分だと判断をし、FSHやLHといった脳から卵巣への指令が無くなります。
それにより、子宮内膜を増殖するエストロゲンの分泌を抑制し、卵胞の発育および排卵をさせないといった作用があります。それでは、両者には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
まず一つ目の違いは、ピルにはプロゲステロンとエストロゲンが配合されていますが、ディナゲストにはプロゲステロンのみが配合されています。
開発された当初のピルはプロゲステロンのみで作られていましたが、エストロゲンの分泌量が極端に低下することで更年期症状や男性ホルモンの増加による副作用などが強く出たため、少量のエストロゲンが加えられました。
その結果、副作用が減っただけでなくエストロゲンによってさらに排卵抑制作用が増強されたため、配合するホルモンの全体量を減らすことができ、より安全性が高くなりました。
また、ピルにはエストロゲンとプロゲステロンがバランス良く配合されているので、毎日摂取するとホルモンバランスが安定し、肌が綺麗になったりPMSなどがなくなって精神的に落ち着いたりといった副効果も期待できます。
プロゲステロンのみが配合されたディナゲストは、ピルと同じように排卵を抑制する作用がありますが、エストロゲンが配合されていない分、より多くの量を摂取しなければならず、その分副作用が起きる可能性は高くなります。
また、エストロゲン配合の有無は副作用にも違いがあります。ピルの代表的な副作用としては、頭痛や吐き気、不正出血などががあります。
そして、エストロゲンには血液を凝固させる物質を活性化する作用があるため、ごく稀に血栓症となることが報告されています。
一方のディナゲストにはエストロゲンが含まれていないため、ほてりや発汗、抑うつなどの更年期症状が起こるとされています。
しかし、エストロゲンの分泌そのものを止めるわけではないので、そこまで心配する必要はないという情報も見受けられます。
様々な情報があって混乱するかもしれませんが、2008年より開始された新しい薬ですので、まずは担当の医師の話を聞くようにしてください。
また、エストロゲンが配合されていないディナゲストは血栓症のリスクはピルよりも低いとされているため、喫煙習慣や肥満などの血栓ができやすい要因がある方にとってはより安全と言えるでしょう。
ピルとジェノゲストの違いの2つ目は月経継続の有無です。
ピルは子宮内膜の増殖を抑制することで月経時の出血量を減少させたり月経痛を軽減させたりしますが月経自体を止める作用はありません。ホルモンバランスが安定しているので規則的に月経が生じます。
一方のディナゲストは、個人差はありますが基本的には月経がストップするとされています。
そして3つ目の違いは、ディナゲストは子宮内膜の増殖を抑制するだけでなく、病巣(子宮内膜組織)に発現するプロゲステロン受容体に作用して、増殖した子宮内膜組織を小さくする働きがあります。
しかし、この子宮内膜を縮小する作用により、ジェノゲストは子宮内膜を薄く保つ作用がピルよりも強く、月経はないにも関わらずピルよりも大量の不正出血を起こしやすいとされています。
次に、偽閉経療法について見てみましょう。
閉経を迎えると卵巣の機能が低下して子宮内膜を増殖させるエストロゲンの分泌が減少し、排卵も起きなくなります。偽閉経療法は卵巣の機能を閉経後と同じ状態にすることで女性ホルモンの分泌や排卵を抑制する治療です。
偽閉経療法の一つが「GnRHアゴニスト療法」です。GnRHとは下垂体からFSHやLHが卵巣に出されるさらに前の段階で、視床下部から下垂体に分泌される「視床下部ホルモン」です。
GnRHアゴニスト(作動薬)は通常脳内で分泌されるGnRHよりも何倍も作用が強く、服用を開始すると最初は急激に血液中のホルモンの濃度が高くなります。
しかしGnRHアゴニストの服用を続けると「脱感作」が生じます。脱感作はアレルギーの治療などでも用いられますが、常に一定以上の濃度の物質が身体に存在すると、身体が慣れてしまい反応しなくなる状態です。
この脱感作によって、初めは効果の強いGnRHアゴニストに反応していた視床下部も、最終的にGnRHをほとんど分泌しなくなります。
その結果、卵巣の機能はストップしてエストロゲンの分泌が無くなり子宮内膜が増殖しません。また、卵胞が育たないため排卵や月経を起こらなくする作用があります。
子宮内膜症には効果が高い治療ですが、エストロゲンの分泌が低下するとのぼせや発汗などの更年期症状が出現したり、骨密度の低下などが起こることがあります。
もう一つの偽閉経療法がダナゾール療法です。ダナゾールは男性ホルモン様の作用があるホルモン剤です。男性ホルモンがエストロゲンやプロゲステロンの分泌を抑制する作用によって排卵や生理を止める治療法です。
副作用としては体毛が濃くなったり肝機能に影響が出たりします。また、血栓症のリスクも報告されています。
手術治療
子宮内膜症の手術には、子宮や卵巣を残す「保存手術」と卵巣や子宮を摘出してしまう「根治手術」があります。
保存手術はお腹の中で癒着している臓器を剥がしてを正常に動くようにしたり、内膜が増殖している部位だけをレーザーで焼いたりします。
卵巣にチョコレート嚢腫がある場合はがん化のリスクもあるため、大きければ手術によって腫瘍部分のみ摘出します。近年では腹腔鏡でできる傷が小さく身体への負担が少ない手術法もあります。
一方の根治手術は、ホルモンを分泌して内膜を増殖させる要因となる卵巣や卵管、場合によっては子宮そのものを摘出する手術です。
対処療法、ホルモン療法、そして手術療法のいずれの治療を行うにしてもリスクはあり、医師や家族などとしっかりと話合うことが大切です。デリケートな問題ではありますが妊娠や出産にはタイムリミットがあります。
施設の方針や医師による見解の違い、そして他の病気との合併などもあるため、治療に納得がいかないと思う場合はセカンドオピニオンを求める方が良いでしょう。
CBDやCBDオイルの子宮内膜症へ期待される作用
CBDやCBDオイルには非常に多くの効果・効能があることから、近年世界中で注目されています。どのように子宮内膜症に対して作用するのでしょうか。
CBDやCBDオイルとは?
CBD(カンナビジオール)はカンナビス ・サティバ ・エル(産業用大麻)やカンナビス ・インディカ(マリファナ)などの植物から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる生理活性物質の一種です。
CBDは脂溶性で、その特性を活かしMCTオイルやオリーブオイルなどのキャリアオイルに溶解した製品はCBDオイルと呼ばれます。
大麻は精神活性作用をもたらすことで知られていますが、それはTHC(テトラヒドロカンナビノール)という別のカンナビノイドの作用によるものです。THCを含む製品や植物は日本では所持が禁止されています。
CBDとTHCの体内での作用は全く違うものであるため、CBDのみを摂取しても「ハイ」になることはありません。
CBDやTHCなどのカンナビノイド類は、私たちの身体にあるエンド・カンナビノイド・システム(ECS)という身体の恒常性を保つための仕組みに働きかけることがわかっています。
ECSは体内で分泌されているアナンダミド(AEA)や2-AGなどの内因性カンナビノイドが、CB1やCB2などのカンナビノイド受容体を活性化することで、正常から逸脱した状態を元に戻そうとする働きがあります。
CB1は脳や中枢神経などに多く、CB2は末梢神経や免疫細胞などに多く発現します。
ECSが機能することによって鎮痛作用や抗炎症作用、ストレス緩和作用、抗不安作用、睡眠の質を改善する作用、食欲促進・減退作用、制吐作用などをもたらします。
CBDはAEAや2-AGの代わりとしてCB1やCB2に直接作用することはほとんどありません。
CBDによってAEAや2-AGなどを破壊するFAAHやMLGといった酵素の働きが阻害されることで、AEAや2-AGの体内での分泌量を増やしECSの活性化を助けます。
近年では、CBDやCBDオイルは難病への治療効果も期待されていますが、子宮内膜症には作用するのでしょうか。
ここでは標準治療の流れと同じようにCBDやCBDオイルが子宮内膜症の症状を改善できるのか、そしてホルモン療法のように症状の改善と病巣の縮小が期待できるのかどうかということに注目して見ていきましょう。
CBDやCBDオイルは子宮内膜症の症状を改善する?
対症療法は子宮内膜症の治療で一番最初に行われる治療法です。子宮内膜症の症状で最も厄介な症状といえば、月経痛や腰痛、下腹部痛、そして頭痛など生理の時だけでなく慢性的に引き起こされる痛みでしょう。
上述したECSには複数の経路で疼痛を緩和する作用があり、CBDが子宮内膜症の痛みにも有効である可能性が高いと見られています。
また、CBDやCBDオイルはECSに作用する以外にも疼痛を緩和する作用があります。
月経時には炎症や子宮収縮作用をもたらすプロスタグランジンという物質が子宮内膜から分泌されます。プロスタグランジンは血流にのって全身に広がるため、子宮だけでなく全身に様々な疼痛を引き起こします。
CBDにはプロスタグランジンの原料となるシクロオキシゲナーゼという酵素の一つであるCOX-2を抑制することでプロスタグランジンの産生量を減少させる作用があります。
シクロオキシゲナーゼには炎症性物質を産生するCOX-2だけでなく、普段から胃粘膜の細胞に発現して胃粘膜保護作用をもたらすCOX-1もあります。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの鎮痛剤はCOX-1も抑制してしまうため副作用として胃炎が生じます。
CBDにはCOX-1を抑制する作用がないため胃が荒れてしまう心配がありません。
海外ではすでにCBDやCBDオイル、そして医療用大麻を子宮内膜症の疼痛緩和や他の症状の改善などに用いることは浸透しているようです。
2019年に報告された海外での調査では、347人の子宮内膜症患者が医療用大麻もしくはCBDを使用し、どの程度症状の改善が見られたかの評価が行われました。
この調査において、CBDのみを摂取した患者の半数以上の患者は、子宮内膜症の症状の改善にとても効果的であった、もしくはそれなりに効果的であったと回答しています。
2020年のニュージーランドで行われた調査では、子宮内膜症に対して医療用大麻を摂取している患者のうち、95.5%が痛みと睡眠の質が改善したと答えています。
また、約60%は吐き気にも効果があったり、半数以上の患者は医師から処方される治療薬が必要なくなり、約80%の患者は減薬ができたと報告されています。
2019年のオーストラリアの調査では、参加した子宮内膜症の女性たちが月経時に行なっている鎮痛剤以外の痛みを緩和する方法による鎮痛効果について10段階で評価しています。
そのうち、最も評価が高いのは医療用大麻で10段階評価で7.6±2.0、次に身体を温めることで6.5±1.7、3番目には食事の改善で6.4±2.4、そしてCBDオイルが6.3±3.0という結果でした。
また、同調査ではCBDやCBDオイルは月経中の気分を穏やかにしたり、下痢や便秘などの消化器症状がある場合には食べ過ぎたり食べなさすぎたりする食生活を変える効果などにも触れられていました。
これまでの調査報告を見る限りでは、CBDやCBDオイルの子宮内膜症の症状への効果は期待ができそうですが、CBDやCBDオイルを使用したい場合は必ず最初に医師に相談をした上で使用を開始するようにしましょう。
CBDやCBDオイルは子宮内膜を薄くする?
CBDやCBDオイルは子宮内膜症の症状を軽減するだけでなく、ホルモン療法のように子宮内膜の増殖を抑制したり、増殖した子宮内膜を小さくできる作用はあるのでしょうか。
CBDが子宮内膜の増殖を抑制することができるかもしれないという希望はあるようです。
2020年に報告されたin vitro(生体実験ではない)研究では、CBDはエストロゲンの分泌を抑制することで子宮内膜の増殖を阻害したと報告されました。
また、同研究では精神活性作用で知られるTHCにはホルモンの分泌や子宮内膜の増殖に影響を与える作用はなかったということです。
まだ、人に適応できる段階ではありませんが、今後研究が進められることで子宮内膜症の治療薬として使用されるようになるかもしれません。
今は標準治療が第一選択ですので、医師に指示を受けずに自己判断で多量のCBDやCBDオイルを摂取することはしないようにしましょう。
CBDやCBDオイルは子宮筋腫や子宮頸がんなどのその他の子宮の病気にも作用する?
子宮や卵巣などに発生する婦人科疾患は発生の機序が似ているものも少なくありませんが、CBDやCBDオイルは作用するのでしょうか。
ここでは子宮内膜症と合わせて女性の3大良性疾患と呼ばれる子宮腺筋症と子宮筋腫、そしてワクチンの賛否で話題になった子宮頸がんについて取り上げます。
子宮腺筋症・子宮筋腫
子宮腺筋症は子宮内膜症と発症機序が似ており、本来は子宮の内側に存在する子宮内膜が子宮の壁の中(平滑筋組織の中)に入り込んだ状態で発生する疾患です。
以前は子宮腺筋症も子宮内膜症の一つに分類されていましたが、近年では別々の疾患として分類されています。
そして、子宮筋腫は子宮の組織(平滑筋組織)そのものが腫瘍化して子宮の様々な場所に発生します。大きさは数ミリ程度のものから、巨大化すると人の頭の大きさほどになることもあります。
子宮腺筋症も子宮筋腫も、子宮内膜症と同じように女性ホルモンによって増殖するという特徴があるため、月経時の痛みや月経過多などの症状を抱えている方が大半です。
今のところは、CBDやCBDオイルが子宮腺筋症や子宮筋腫に効果があったというエビデンスはありませんが、2019年にイギリスのレスター大学が発表した論文では、子宮腺筋症や子宮筋腫の発病にはECSが関わっているという研究報告があります。
そのため、CBDやCBDオイルが何かしらの作用を与える可能性は高いと言えるでしょう。
子宮頸がん
子宮頸がんは、9割以上はヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)というウイルス感染によって子宮頸部(子宮下部の膣の近く)に発症するがんです。
HPVは8割以上の女性が生涯で一度は感染すると言われていますが、通常は免疫の働きにより発症には至らず、ウイルスは自然に排除されます。
しかし、疲労やストレスなどで何らかの原因で免疫が低下して発症してしまった場合に子宮頸部の組織に異形成を生じ、それがいずれがんに変化します。
2016年の研究より、CBDが子宮頸がんの細胞の増殖を抑制し、また子宮頸がん細胞を消失させたことが報告されています。
CBDやCBDオイルは子宮の様々な疾患に効果がある可能性はありますが、まだこれからさらなる研究を必要とする状態です。繰り返しになりますが、まずは医師に相談することを忘れないようにしてください。
CBDやCBDオイルは女性の抱える多くの悩みも解消?!
女性ホルモンは、身体機能や精神の安定を維持するために欠かせないホルモンではありますが、多くの女性にとって一生のうちのほとんどの期間を女性ホルモンの変動に振り回されるのも事実でしょう。
初潮から閉経を迎えるまでの間は生理痛やPMS、月経困難症、そして先ほど解説した子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫などエストロゲンによって引き起こされる子宮や卵巣の病気や症状と付き合っていかなければなりません。
閉経後、もしくは閉経前に子宮や卵巣を摘出してしまえばそれまで悩まされていた月経や子宮・卵巣の病気に関する悩みは無くなります。
しかし、卵巣が機能しなくなればエストロゲンが急激に減少するので、今度は更年期障害や骨粗鬆症などに注意が必要となります。
そして、それらに対してエストロゲンを補充する治療をすれば、次は乳がんの発症に注意する必要がでてきます。このように、永遠と言って過言ではないほどに女性ホルモンとの付き合いは終わりません。
CBDやCBDオイルは、女性ホルモンによって引き起こされる痛みやイライラ、不安、ストレス、消化器症状など、女性特有の多くの悩みに対して有効である可能性は高いです。
生理やPMSに悩む女性必見!CBDやCBDオイルの有効性を解説!また、女性ホルモンは女性の人生を大きく変えるイベントある妊娠にも大きく関わっています。
女性の社会進出や生活スタイルの多様化に伴って妊娠や出産の年齢が高齢化しており、不妊治療の話題を聞く機会も多くなったのではないかと思います。
CBDやCBDオイルと妊娠は日本でも海外でも多くの女性にとって気になるテーマであると思われますが、実際にCBDやCBDオイルが妊娠に影響を与えることはあるのでしょうか。
一つ関連がありそうな研究では、CBDがエストロゲンの分泌を抑制することによって子宮内膜の増殖を抑制する作用が、もしかしすると不妊に繋がる可能性があるかもしれないと考えられています。
妊娠を希望している子宮内膜症ではない方が健康維持などのためにCBDやCBDオイルを使用すると、CBDの作用で子宮内膜が十分に厚くならないため、受精卵が着床することができないかもしれないことを示唆しています。
CBDやCBDオイルを摂取し始めてから経血の量が減少したり生理の日数が短くなったりしたなどの経験がある方は子宮内膜がCBDの影響を受けている可能性があります。
妊娠を希望していない場合は特に問題はありませんが、妊娠を希望する場合は産婦人科で検査を受けた方が良いでしょう。
また、2016年のSafety and Side Effects of Cannabidiolという文献より、CBDは受精能力を低下させる可能性があるかもしれないと報告されています。
しかし、これらはあくまでin vitroや小動物での研究の段階です。
身体の大きさが小動物とは全く違う人が、サプリメントとして適量のCBDやCBDオイルを摂取すると不妊症になったり流産したりするというデータがある訳ではありません。
アメリカなどでは妊娠中のつわりや痛みに対するメリットが大きいためCBDやCBDオイルを摂取しているという逸話もあります。
現段階ではCBDやCBDオイルが妊娠や妊娠の継続に影響を与えるというエビデンスはありませんが、安全性を示すデータもないためアメリカ食品医薬品局(FDA)は摂取をしないように警鐘しています。
妊娠を希望する場合や妊娠中の方はCBDやCBDオイルの使用に関しては、医師の指示に従うようにしてください。
実際にCBDを摂取する際の注意点は?どんな製品が良い?
CBDやCBDオイルを摂取する前に知っておくべきことはどのようなことでしょうか。
CBDやCBDオイルの摂取を始める前に
現段階では、CBDやCBDオイルの作用に関するエビデンスはどのような疾患や症状に対しても十分ではありません。
そのため、本記事で解説したような婦人科系疾患や女性特有の症状などにCBDやCBDオイルを使用したい場合は、まずは専門の医師に相談してください。
そして、現在すでに何かの薬を飲んでいる場合は、服薬の中断をするかどうかは医師の指示に従うようにしてください。
継続的に飲むディナゲストなどホルモン剤は急に服薬を中止すると症状が悪化してしまうことがあり危険ですので自己判断での服薬中止は絶対にやめましょう。
そして、CBDは他の薬との相互作用もあるため、医師の指示なしに他の薬と併用することもしないようにしてください。
CBD製品の選び方
医師に確認をした上でCBDやCBDオイルの摂取を開始する場合、どのような製品を選べば良いのでしょうか。
まず、CBD製品を選ぶ際には、THCや有害物質などが含まれていないこと、CBDの濃度に虚偽がないことなどが第三者機関によって検査されていることが証明されている製品を選ぶようにしましょう。
現在最も普及しているCBD製品はCBDオイルですが、CBDエディブル(CBD入り食品)やCBDトピカル(CBDクリームやCBDバーム)、CBDベイプ(吸入用CBDリキッド)などもあります。
効果が現れるまでの速さや持続時間、摂取の手軽さなどに違いがあるため、複数のCBD製品を組み合わせて使用するもの良いでしょう。
近年海外では、生理痛を緩和することを目的としたCBD含有のタンポンが販売されています。膣の粘膜からCBDが吸収されて、CBDがダイレクトに子宮や下腹部に届くことを目的としているようです。
CBDタンポンは、経血を吸収するタンポンでありながら坐薬のような役割を果たします。
CBDの副作用
CBDやCBDオイルは適量を摂取する限りは副作用をあまり心配する必要はありませんが、全く副作用がないわけではなく、口渇感や下痢、強い眠気、食欲や体重の変化、吐き気などの症状は報告されています。
婦人科系の疾患の治療に用いられる鎮痛剤やホルモン剤などと比べると、副作用は軽度であると言えるでしょう。また、CBDの副作用は、摂取量を調節したり、摂取時間を変更することで改善することもできます。
例えば、CBDやCBDオイルは空腹時に摂取すると胃にむかつきが生じることがありますが、そのような場合は食後に摂取するように変更すると胃部不快感を感じなくなる可能性があります。
また、強い眠気が生じる場合は日中に摂取する量を減らし、睡眠前には日中よりも多めに摂取をすることで日中には副作用が生じず、なおかつ睡眠の改善が期待できます。
安全性が高いCBDやCBDオイルではありますが、大量に摂取すると肝機能に影響が出る可能性もあります。必ず用法や用量を守りましょう。
CBDやCBDオイルは薬の効果を妨げる?飲み合わせや相互作用は?
摂取量の決め方
CBDの効果の感じ方には個人差があり、製品に書かれている推奨される摂取量より少なく摂取しても効果が強すぎたり、反対に効果を感じないこともあります。
そのため、様々な摂取量で試してみて、自身にとって最適な摂取量を決める必要があります。
初めてCBDやCBDオイルを摂取する場合は一日に5〜10mgなどの少量から摂取をし、副作用が出ないことを確認しましょう。そして、少しずつ増量をして自身にとって効果を感じる量を見つけましょう。
関連文献
- Safety and Side Effects of Cannabidiol – A review of clinical data and relevant animal studies
- Cannabidiol rather than Cannabis sativa extracts inhibit cell growth and induce apoptosis in cervical cancer cells
- New Insights of Uterine Leiomyoma Pathogenesis: Endocannabinoid System
- Self-management strategies amongst Australian women with endometriosis: a national online survey
- Evaluation of the cyclooxygenase inhibiting effects of six major cannabinoids isolated from Cannabis sativa