CBDやCBDオイルとメラトニンは組み合わせられる?睡眠にも良い?

CBDやCBDオイルとメラトニンは組み合わせられる?睡眠にも良い?

メラトニンとCBDは両方とも睡眠障害を改善するために広く使用されています。どちらの方がより効果的なのでしょうか。本記事では、メラトニンとCBDの睡眠への作用についてや、メラトニンとCBDは同時に摂取する事ができるのかどうかを解説します。

メラトニンとは?どんな働きをするの?

体内時計
メラトニンは脳の松果体という部位から分泌される神経ホルモンで、私たちの睡眠と覚醒のサイクルをコントロールしています。

メラトニンの分泌は「体内時計」と連動しており、夜間になると分泌量が増加し眠気を生じさせます。

メラトニンの産生量や分泌量は様々な要因によって減少します。その一つが「光」です。日中にメラトニンの分泌量が下がるのは外の光を浴びるためですが、夜間でも光を浴びるとメラトニンの分泌に影響します。

例えば、遅い時間までスマートフォンなどを見て、ブルーライトを長時間浴びるとメラトニンの分泌量は低下します。そのため、スマートフォンなどを見ながら「寝落ち」をすると、睡眠の質が悪く睡眠障害に繋がります。

そのほかにも、ストレスや不安、寝不足、飲酒、時差ボケ、加齢などもメラトニンの分泌量を下げる要因になります。

このようなメラトニン不足の方に対して、メラトニンはサプリメントや薬などで補充する場合があります。

アメリカでは、メラトニン入りのサプリメントなどはドラッグストアやオンラインストアなどで処方箋なしに手軽に購入することができます。

長期フライトによる時差ボケ防止や、手術前に不安で眠れない場合に摂取されています。

メラトニンはアメリカ食品医薬品局(FDA)によって認可された医薬品ではないため、睡眠薬として医師が処方することは推奨されていません。あくまでも健康食品の扱いになります。

一方日本では、メラトニンは「メラトベル」という名前の厚生労働省が認可した医薬品であり、使用の際には医師の処方が必要です。

メラトベルが処方される例は限定されており、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥障害(ADHD)などの神経発達障害がある6〜15歳の小児で、睡眠障害が認められる場合だけです。

メラトニンは少量では副作用が起きづらいとされていますが、摂取量が増えると日中の眠気が強くなったり、量によっては腎臓や肝臓に負担がかかり障害が出たりすることが報告されています。

また、身体が未成熟な子どもにホルモンを投与することによる影響(初潮の遅れなど)も懸念されています。

日本では手軽に購入できるサプリメントではありませんが、海外からメラトニン入りのサプリメントなどを個人で使用する目的で輸入したり、海外旅行先などで購入したりすることは許可されています。

睡眠によく作用するのはCBDとメラトニンのどっち?

CBDとメラトニンはどちらも睡眠を改善することで広く知られていますが、どちらの方がより効果的なのでしょうか。

CBDやCBDオイルとは?

CBDは大麻草などの植物内で生成されるカンナビノイドという天然成分の一種です。カンナビノイドには様々な種類があり、中でも大麻の主成分であるTHCには陶酔作用や向精神作用があり、日本では所持が禁止されています。

CBDとTHCは体内で全く違う作用をするため、CBDを摂取しても「ハイ」になることはありません。

CBDは疼痛や炎症、不安、ストレス、睡眠、食欲、吐き気などを調節するエンド・カンナビノイド・システム(ECS)を活性化します。

ECSはもともと、内因性カンナビノイドと呼ばれるアナンダミド(AEA)や2-AGなどが、CB1やCB2などのカンナビノイド受容体や体内の様々な神経伝達物質の受容体に作用することで機能しています。

CBDはCB1やCB2には直接的に作用しないとされています。

CBDはAEAや2-AGなどを破壊する酵素(FAAH)を抑制することで分泌量を増加させたり、様々な神経伝達物質受容体を活性化したり阻害したりする働きがあります。

CBD製品の中で、原料となる麻などの植物から抽出されたCBDを、ココナッツオイルやオリーブオイルなどのキャリアオイルと混合したものがCBDオイルです。

メラトニンの睡眠への作用は?

メラトニンが効果的である睡眠障害は、以下に示す例のように睡眠の質や睡眠時間には問題がないものの、睡眠サイクルがずれてしまった睡眠障害(概日リズム睡眠障害)に限定されています。

  • シフト勤務(交代勤務睡眠障害)
  • 長時間フライト(時差症候群)
  • 継続的な徹夜での作業(睡眠後退症候群)など

夜間に何度も目が覚める「中途覚醒」や朝早くに目覚める「早朝覚醒」、眠りが浅いために長時間寝てもしっかりと休んだという満足感が得られない「熟眠障害」などには、メラトニンはあまり効果がないとされています。

つまり、仕事のために夜ではなく昼間に寝なければならない場合や徹夜などが続いて睡眠リズムが狂った場合などは、メラトニンを摂取することで眠気を誘発して眠りたい時に眠ることを助けます。

しかし、睡眠の質を改善したり睡眠時間を長くしたりしたい場合などにはメラトニンを摂取しても睡眠改善の効果はあまり期待できません。

CBDの睡眠への作用は?

CBDと睡眠
CBDの睡眠に対する作用はどうでしょうか。

CBDは体内で様々な作用によって睡眠を助けますが、CBDが作用する神経伝達物質受容体の中で最重要とも言えるのがセロトニン受容体(5-HT1)です。

CBDは5-HT1に作用してセロトニンの分泌量を増加させます。

セロトニンは心身をリラックスさせ、緊張を和らげたり血管を広げて血圧や心拍数を下げたりすることで知られています。近年、うつ病の予防などでもその重要性が注目され「幸せホルモン」とも呼ばれています。

CBDの摂取によってセロトニンの分泌が多くなることで、副交感神経を優位にして身体を「休息」の状態にします。

また、覚醒作用のあるヒスタミンを抑制し眠気を引き起こす神経伝達物質である「アデノシン」もCBDとの関わりが大きい事がわかっています。

アデノシンは「エネルギーの燃えかす」とも呼ばれ、日中にエネルギーを消費して疲労することによって産生され脳に蓄積されます。そして眠る事でアデノシンは脳内で使用され、アデノシンを使い切ると覚醒します。

内因性カンナビノイドであるAEAはアデノシンの分泌量を増加させる事がラットを使用した研究で報告されています。

また、通常分泌量が増加して使われない物質は「再取り込み」と呼ばれる回収が行われます。しかし、CBDはアデノシンの再取り込みを阻害する役割があり、アデノシンの血中濃度を高いまま維持します。

この作用が長時間の睡眠を助けると考えられています。

他にも、CBDはREM睡眠(浅い眠り)の時間に身体が動いたり、悪夢を見たりして睡眠の質を低下させる「REM睡眠行動障害」を改善することも報告されています。

2019年の研究では、不安障害と睡眠障害を抱える18歳から72歳までの成人患者72人が3ヶ月間CBDを使用して、不安のレベルや睡眠の質の評価が行われました。

3ヶ月後の評価で、72人の患者のうち不安が軽減した患者は79.2%、睡眠が改善した患者は66.7%でした。しかし同時に、20%前後の患者が不安、もしくは睡眠障害が悪化したとも報告されています。

同研究において疲労感や眠気などの副作用が見られたのは数人のみでした。

別の研究では、性的暴力被害や親の監督不行き届きによりPTSDを抱える10歳の患者にCBDオイルを使用して、不安の軽減や睡眠障害が改善されたことが報告されています。
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メラトニンとCBDはどちらの方がより効果が高いのか?

メラトニンは睡眠のリズムを整えることの一点に長けていると言えます。一方のCBDは入眠を助け、睡眠の質を改善し、さらには睡眠時間を伸ばす事ができるといった幅広い効果が期待できます。

人によってはメラトニンだけで十分な方もいるでしょうし、CBDでも睡眠改善の効果が得られない方がいることも事実です。メラトニンもCBDも万人に対して有効ではありません。

利便性においては、日本ではメラトニンの処方に規制があったり海外からの輸入が必要となったりするためアクセスが容易ではなく、店頭や国内のオンラインショップなどでも購入できるCBDの方が使用しやすいでしょう。

そして、補足するとメラトニンはセロトニンから生成されるホルモンです。つまり、CBDによってセロトニンの分泌量を増加させることは、間接的にメラトニンを増加させることに繋がる可能性が高いです。

総合的な評価として、現段階ではCBDの方が手に入れやすい上、より多くの効果が期待できる睡眠補助のサプリメントと言えるのではないでしょうか。

CBDとメラトニンの組み合わせってどうなの?

結論からいうと、CBDとメラトニンを組み合わせることは「絶対に禁忌」ではありません。

海外では、CBDとメラトニンの両成分を配合した製品が数多く販売されています。CBDもメラトニンも「適量」であれば副作用が起きづらいとされており、組み合わせる事で両方のメリットを得られると考えられています。

しかし、現段階ではCBDとメラトニンを組み合わせることで特に良い効果があるというエビデンスはありません。

日本ではメラトニンを睡眠障害の治療に使用する場合、睡眠前に摂取するのではなく医師が検査を行った上で摂取時間を決め、「毎日必ず同じ時間」に摂取をする事が必要と言われています。

メラトニンは体内のリズムを整えるホルモンです。そのため、メラトニンを摂取する時間が日によって数時間単位でずれてしまうような事があると「毎日時差ボケ」の状態になり身体への負担が大きくなると言われています。

一方のCBDは、特に決まった時間に摂取する必要はありませんが、睡眠の改善に使用するにはCBDの摂取方法(舌下摂取、経口摂取など)によって変わってきますが、基本的には入眠前に使用される事が多いです。

仮に「毎日必ず決まった時間」にメラトニン入りCBDを摂取することで、睡眠障害を改善する効果はあるのかもしれません。

しかし、CBDだけを摂取するように「寝る数十分前に摂取」というアバウトな方法でメラトニンとCBDを同時に摂取しても、メラトニンの特性を考えると本当に睡眠障害に対して有効な摂取方法であるかどうかは疑問です。

繰り返しになりますが、個人輸入などでメラトニンの「サプリメント」を購入したとしても、日本ではメラトニンは医薬品扱いになります。必ず医師や薬剤師にCBDや他の薬との飲み合わせを確認するようにしてください。

絶対に自己判断でCBDとメラトニンを同時に摂取することは避けましょう。そして病院や薬局などで受けた指示は遵守するようにしてください。

CBDやCBDオイルを摂取する際の注意点を解説!

CBD摂取時の注意点
CBDやCBDオイルは副作用が起きづらい物質ですが、初めて摂取する際には摂取量に十分に注意する必要があります。CBDの副作用には下痢や口渇感、強い眠気、疲労感、食欲や体重の変化などが報告されています。

CBDは適量を摂取する限りはほとんど問題がないとされていますが、初回は5〜10mgなどの微量から使用を開始して副作用が起きないことを確認してください。

CBDやCBDオイルの効果の感じ方は個人差があり、適量は人によって違います。また、すぐに効果を感じる場合もあれば、数日から数週間後に変化を感じる場合もあります。

CBDの摂取量が少なすぎてもなかなか効果を感じられませんが、増量は少しずつ様子を見ながら慎重に行いましょう。

そして、睡眠障害を改善するには食事や運動を含め生活習慣や環境を見直す事が欠かせません。

特に多くの方が習慣化してしまっている、寝る直前までスマートフォンやパソコン、テレビなどを見たりゲームをすることをやめるだけでも睡眠の質を改善する効果がある場合があります。

また、日中にしっかりとセロトニンを分泌させることで夜にメラトニンが合成されやすくなります。セロトニンの分泌には、太陽光を浴びることや運動、食事をよく噛んで食べることなどがあります。

睡眠障害は長引くと様々な疾患を引き起こす原因にもなります。生活習慣を改善したりCBDやCBDオイルを摂取したりしても睡眠障害が改善しなかったり、不調が続いたりする場合などは早めに医師に相談しましょう。

関連文献

CBDとメラトニンに関して皆様から頂いた質問

CBDとメラトニンを飲み合わせても大丈夫ですか。(40代男性)

現在、CBDとメラトニンを組み合わせることで効果が得られたというエビデンスはありません。そのため、自己判断でCBDとメラトニンを同時に摂取することは避けましょう。そして病院や薬局などで受けた指示は遵守するようにしてください。

CBDと睡眠はどのような関係があるのですか。(30代女性)

CBDは体内で様々な作用によって睡眠を助けると言われていますが、CBDが作用する神経伝達物質受容体の中で最重要とも言えるのがセロトニン受容体(5-HT1)です。CBDは5-HT1に作用してセロトニンの分泌量を増加させると考えられています。CBDの摂取によってセロトニンの分泌が多くなることで、副交感神経を優位にして身体を「休息」の状態にすると考えられているのです。ただし、まだエビデンスが不足しているのも事実のため、今後の研究に期待しましょう。

CBDとメラトニンはどちらがよいのでしょうか。(30代男性)

メラトニンは睡眠のリズムを整えることが期待できると言えます。一方のCBDは入眠を助け、睡眠の質を改善し、さらには睡眠時間を伸ばす事ができるといった幅広い作用が期待され海外で研究が行われています。ただし、人によってはメラトニンだけで十分な方もいるでしょうし、CBDでも睡眠改善の作用が得られない方がいることもあります。メラトニンもCBDも万人に対して作用するものではないため、ご自身に合うものを使用してみることをおすすめします。