CBDってヘンプ(麻)から抽出されるの?どんな抽出方法がある?

近年注目を集めているCBDやCBDオイルですが、大麻成分にもかかわらず危険はないのでしょうか。また、CBDの抽出原料であるヘンプとは一体何なのでしょうか。さらにCBDの抽出のされ方、ヘンプオイルとCBDオイルの違いについても解説します。

CBDやCBDオイルって何?ヘンプ(麻)から抽出されるの?

ヘンプの畑
近年、CBDやCBDオイルが健康に良いと注目を集めています。

CBDは正式名称をカンナビジオール (Cannabidiol) といい、主に麻の植物から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる天然成分の一種です。

CBDの抽出に主に使われる麻の品種をヘンプと呼びます (後に詳しく解説します) 。

CBDオイルは、ヘンプから抽出したCBDをオリーブオイルやMCTオイルなどのキャリアオイルに配合し、摂取しやすくしたCBD製品の一種です。

CBDは危険ではない? 安全に使用するには?

「CBDは大麻に含まれる成分である」と説明しましたが「危険な物質では?」と警戒心をもった方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、大麻という言葉には、危険なニュアンスがつきまといます。

日本では大麻取締法によって、大麻は厳密に規制されています。

にもかかわらず、有名人が大麻を所持・使用していて逮捕されたというニュースが、頻繁にお茶の間に流れます。

そのため「大麻=危険」という認識が世間に浸透しているのは当然のことです。

しかし、CBDについては、まったくそのような問題はないと断言できます。

ただしそれはCBDについて正しい知識や使い方をすればという前提での話です。

大麻はなぜ危険なの?

まず、大麻がどうして危険なのかについて説明しましょう。

よく大麻を摂取すると「ハイ」になるといわれます。

気分を高揚させ、自己陶酔に陥る感覚を求めて、大麻を使用する人は多くいます。

この「ハイ」になる作用をもたらしているのが、テトラヒドロカンナビノール (Tetrahydrocannabinol; THC) というカンナビノイドです。

THCは摂取すると、脳神経に働きかけ精神を高揚させる精神活性作用があります。

しかし、THCを使用しすぎると、精神に異常をきたすとも言われています。

認知や記憶に障害が出たり、幻覚や被害妄想 (パラノイア) の兆候が出たりすることもあります。

2016年の大阪大学の研究では、大麻が脳の神経回路を破綻させるリスクがあることが示されました。

このように大麻使用には大きなリスクがありますが、さらに大麻には脳内の報酬系という機能に働きかけて依存性をもたらすという性質もあり、やめられなくなってしまうという危険性も存在します。

これらの問題を鑑みて、世界的に大麻は警戒されています。

日本では大麻取締法によって、大麻を許可なく所持しているだけで違法となってしまいます。

大麻は危険なのに、CBDは大丈夫なの?

このように、健康面でも法律面でも、大麻は非常にリスクが高いと言えます。

しかし、ここで留意しておきたいのは、このような作用をもたらす成分は主にTHCであるということです。

カンナビノイドにすべて「ハイ」になる作用や依存性があるわけではありません。

特にCBDはTHCのような精神活性作用や依存性がなく、そのうえさまざまな健康上のメリットがあることが徐々に明らかになっています。

また、もう一つ特筆すべき点は、法律上の位置づけです。

まず、大麻の中でも主に問題視されている成分はTHCです。

さらに、大麻草の中で日本で規制対象になっているのは、THCが多く含まれる花穂や葉の部分であり、THCが少ないとされる成熟した茎や種子・それらを原料に作られた製品は規制対象からは外れています。

このような背景から、CBDの成分自体は禁止されておらず、THCが含まれていない限りCBDが含まれる製品を所持しても問題はありません。

さらに付け加えると、CBD抽出に主に使われるヘンプは、CBDがごくごく微量に抑えられた麻の品種です。

とはいえ、THCがまったく含まれていないわけではないので、CBDオイルの中にはTHCが微量に含まれている可能性があるものもあります。

購入前にはしっかりとラベル等を見てTHCが含まれていないことを確認する必要があります。

CBDやCBDオイルの成分は何?危険性は?安全な製品の選び方も紹介CBDやCBDオイルの成分は何?危険性は?安全な製品の選び方も紹介

CBD以外にヘンプ由来の成分で大丈夫なものはある?

テルペンの種類
前述したように大麻の中でも特に問題視されているのはTHCです。

CBD以外の麻の成分の中にも、法律上問題がなく、生体へのメリットがあると考えられている成分はあります。

ヘンプには、植物性カンナビノイド、テルペンといった物質が含まれています。

植物性カンナビノイドとしては、CBDやTHC以外にもCBC (カンナビクロメン) 、CBG (カンナビゲロール) 、CBN (カンナビノール) など100種類以上が確認されています。

テルペンは植物や菌類などから作られる生体物質で、リモネンやリナロールなどがあります。

これらカンナビノイドやテルペンの利点は、CBDと同時摂取した時に生体への効果の効率を上げてくれるアントラージュ効果をもたらすことです。

このアントラージュ効果を期待しこれらの成分を配合しているCBDオイルもあり、ブロードスペクトラムと呼ばれます。

同じくアントラージュ効果が得られる製品にフルスペクトラムというものもありますが、こちらはTHCが含まれている可能性があるため、おすすめはできません。

つまり、THCの存在を除けば、麻に含まれる成分にはCBDをはじめ生体にメリットをもたらしてくれるものが多いのです。

CBDにはどのような作用があるの?

このように、健康に良いとされ法律面もリスクがないCBDですが、一体具体的にどのような作用があるのでしょうか。

CBDには実に多くの作用があると言われています。

その理由は、生体のさまざまな部位で働き、あらゆる機能の調節や恒常性維持を行うエンド・カンナビノイド・システム (ECS) にCBDが関与するためです。

THCもECSに働きますが、脳神経のECSに直接働きかけるため、劇的な精神作用をもたらすと言われています。

一方で、CBDは脳内の内因性カンナビノイドと呼ばれる因子を促進することでECSの働きを調節するため、その効果は間接的で穏やかです。

実際に、CBDが精神に与える影響は、精神活性とは対照的に「リラックス作用」です。神経伝達物質の受容体の働きを促進するなどして、不安を解消したり気持ちを前向きにしたりする作用もあることが、2015年に報告されたアメリカでの研究で示唆されています。

さらに、2019年にオーストラリアで報告された論文によると、ECSは全身に機能しているため、CBDは脳神経のみならず、身体のさまざまな部分に働くことが報告されています。

痛みやかゆみの緩和、炎症の抑制、血圧の低下、内臓機能の調節、自律神経の調節など効果は多岐に渡ります。

そのため、日常生活で起こる頭痛や腰痛、便秘、慢性的なかゆみ、血圧対策などにも作用が実感できるでしょう。

さらに、このようなCBDの作用は、医療分野でも注目を集めています。

うつや不安障害、不眠症、てんかん、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎などさまざまな病気の症状にCBDが効果的ではないかと言われています。
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CBDを摂取したい時はどんな製品を選べば良い?

非常に多くのメリットを私たちにもたらすCBDですが、摂取するにはどうしたら良いのでしょうか。

実は、CBDオイルをはじめとしたさまざまなCBD製品が開発されています。

CBDオイルは先述の通り、CBDをキャリアオイルに配合したもので、摂取には口の舌の下部に垂らし30~90秒程度置いてから飲み込むという、舌下摂取を用います。

その他のCBD製品として代表的なものは、VAPEなどの電子タバコで摂取するCBDリキッド、皮膚に直接CBDを塗りこむCBDクリーム、CBD入りの食品や飲料を指すCBDエディブルなどがあります。

それぞれで摂取方法が異なり、それに応じたメリット・デメリットもありますので、自身の目的に合ったCBD製品を選ぶのが良いでしょう。

ヘンプやマリファナ、カンナビスの違いは?

CBD製品について情報を得ようとした時、よくヘンプやマリファナ、カンナビスという言葉を見聞きするかと思います。

これらは、どれも大麻の意味合いをもつ言葉です。

にもかかわらず、なぜこのように違った用語が散見されるのかというと、それぞれ微妙に言葉のもつニュアンスや使われ方が異なるためです。

そのため、それぞれの言葉の意味を混同していると、思わぬ誤解をしてしまったり説明が理解できなかったりすることもあります。

そこで、ここではヘンプ、マリファナ、カンナビスという言葉の意味について解説します。

ヘンプとは?

まず、ヘンプ (Hemp) から解説しましょう。

ヘンプは、産業用に用いられる麻の品種のことを指します。

麻の植物の利用価値は非常に高く、繊維用品や食用などさまざまな用途に用いられます。

しかし、THCが含まれていることが大きな問題にもなります。

そこで、品種改良によりTHCが極力少ない株が開発され、それを産業用ヘンプと定義し、アメリカなどの国で農作物として栽培できるよう法整備がなされるようになりました。

産業用ヘンプのTHC含有量の基準は各国で異なりますが、アメリカでは0.3%以下、ヨーロッパでは0.2%以下といずれも低い基準値に設定されています。

このように世界的に産業用ヘンプが認可される動きがあります。

ただし、今の日本では産業用ヘンプは認められておらず、大麻の栽培は厳しい審査を経て都道府県の知事の認可を得る必要があります。さらに、1年ごとに栽培許可の免許を更新しなければ栽培を続けられません。

このようなハードルの高さから、現在日本で大麻を栽培している農家はごくごく少数です。

そのため、CBD製品などの製造で日本産の大麻が用いられることはほとんどなく、原料のほとんどを輸入に頼っているのが現状です。

マリファナとは?

マリファナ (Marijuana) は、麻の植物の花冠や葉を乾燥・樹脂化・液体化させ摂取しやすくしたものです。

マリファナの特徴として挙げられるのは、THCという成分をたくさん含むことです。

そのため、精神作用が大きく、嗜好品として使われる傾向があります。

もっとも、嗜好目的ばかりではなく、医療大麻として病院などで使用している国もあります。

つまり、マリファナは個人で使うことについては多くの国で問題視されていますが、医療用としてのメリットは世界的に認められる傾向にあるということです。

ただし、日本では現在、嗜好目的、医療目的問わずマリファナは規制されています。

なお、THCが多く含まれる大麻は、産業用ヘンプと区別して「マリファナ株」とも呼ばれます。

カンナビスとは?

カンナビス (Cannabis) は、ヘンプやマリファナのように人間の用途などによって定義された区分とは違い、大麻という植物自体を指す英名です。

なお、このカンナビスという言葉は、正式な学名にも使用されています。

学名は「属名」と「種小名」に分けられ、基本的にラテン語が用いられますが、他の言語をラテン語に模して使われることもあります。

カンナビスという言葉は、この中で属名として使われています。

例えば、主にCBDオイルなどの大麻製品やマリファナの原料としてよく使用される大麻は、学名ではカンナビス・サティバ (Cannabis Sativa) といいます。

また、それ以外にも中東にみられるカンナビス・インディカ (Cannabis Indica) という種もあります。

このように、カンナビスという言葉は麻の植物を示す英名であり、麻の植物種を示す属名でもあります。

ただし、便宜上大麻やマリファナとほぼ同義に使われることもあるため、前後の文脈やニュアンスで、どのような意味をもつのか判断しなければならない場面もあるかもしれません。

CBDはどのようにヘンプから抽出される?おすすめの抽出方法は?

CBD製品の製造では、原料のヘンプからCBDを抽出する必要があります。
では、CBDの抽出にはどのような方法があるのでしょう。また、おすすめの抽出方法はあるのでしょうか。

実はCBDの抽出にはいくつか方法があります。

オリーブオイル抽出、アルコール抽出、超臨界二酸化炭素抽出 (CO2抽出) などです。

オリーブオイル抽出は安全かつ安価でCBDを抽出できる手法ですが、日持ちがしないため、抽出後は冷暗所に保管しなければならないなど、保存が大変という一面があります。

アルコール抽出は、麻を食用アルコールであるエタノールに浸してCBDを分離する方法です。

こちらもオリーブオイル抽出と同じく低コストで行え、素早く大量に抽出できるというメリットもあります。しかし、抽出後のCBDに微量のエタノールが残留してしまう可能性があるというデメリットもあります。

超臨界二酸化炭素抽出は、高圧・低温下で超臨界状態 (気体と液体両方の性質をもつ状態) にした二酸化炭素を用いて、溶解度の差を利用して物質を分離する方法です。

高温下で抽出を行う亜臨界二酸化炭素抽出法もありますが、高温下では抽出した成分が分解されたり変性してしまう可能性もあります。

一方で、低温下で行う超臨界二酸化炭素抽出法は、目的の抽出物であるCBDを壊しません。さらに、抽出後二酸化炭素は気化してしまううえに、他の不純物が混じるリスクもありません。

よって、超臨界二酸化炭素抽出では安全かつ高品質なCBDを抽出することができます。

一方で、超臨界二酸化炭素抽出のデメリットを挙げると、設備投資にお金がかかる点でしょう。そのため、この方法で作られたCBD製品は高価になる傾向があります。

以上のように、それぞれの抽出法でメリットやデメリットがあります。

しかし、多少コストがかかっても高品質なCBDを摂取したいというのであれば、超臨界二酸化炭素抽出法のものが断然おすすめです。

とはいえ、他の抽出法が必ずしも良くないわけではありません。

例えば、アルコール抽出はアルコールの成分がわずかに残る可能性はあるものの、安価で大量に抽出できる側面があるため、CBDオイルなど口から摂取するタイプの製品でなければ有効な抽出法と言われています。

そのため、VAPEなどの電子タバコで気化して摂取するCBDリキッドや、皮膚から摂取するCBDクリームなどにはよく用いられています。

以上のことから、それぞれの製品の性質も鑑みて、どの抽出法のものが良いかを判断するのが良いでしょう。

CBDオイルはヘンプオイルとは違うの?

CBDオイルとヘンプオイルの違い
CBDオイル以外にヘンプオイルというものがあります。

どちらも麻を原料に作られるオイルタイプの健康食品ですが、両者でどのような違いがあるのでしょうか。

前述した通り、CBDオイルとは抽出したCBDを食用のキャリアオイルに配合したものです。

一方で、ヘンプオイルは麻を原料に作られたオイルのことを指します。

また、ヘンプオイルの原料も日本で規制されていない麻の種子から作られます。そのため、ヘンプシードオイルとも呼ばれます。

ヘンプオイルはとても健康に良いと言われ、麻の種子から作られるためTHCは含まれませんが、CBDは含まれていると考えられます。

一時期、有名人がヘンプオイルを愛用していると話題にもなりました。

こう説明すると、ヘンプオイルとCBDオイルは同じようなものだと思われるかもしれません。

しかし、両者には大きな違いがあります。

それはCBDの含有率の問題です。

CBDオイルは抽出したCBDを後入れして作るため、CBDの含有率を高くすることができます。一方で、天然の麻の種子を原料にして作るヘンプオイルに含まれるCBDの含有量は、あまり多くはありません。

また、CBDオイルの中には、キャリアオイルにヘンプオイルを使っているものもあります。麻の成分が含まれるヘンプオイルは、アントラージュ効果を得やすく、その意味でCBDオイルの製造に適しているといえます。

以上のことから分かるように、ヘンプオイルはCBDオイルとはまた別物です。

食用オイルとしてはヘンプオイルはとても良い製品といえますが、主にCBDの効果を期待したいのであれば、CBDオイルと銘打った製品を購入するようにしましょう。

CBDオイルとヘンプオイルについての解説は、こちらの記事で詳しくしていますので、よければ参考にしてください。
CBDオイルとヘンプオイルは何が違う?効果や含まれる栄養素も紹介!CBDオイルとヘンプオイルは何が違う?効果や含まれる栄養素も紹介!

関連文献

CBDの原料の抽出方法に関して皆様から頂いた質問

CBDは麻から抽出されると聞きますが、どのような方法で抽出されるのですか。(40代男性)

抽出方法としては、オリーブオイル抽出、アルコール抽出、超臨界二酸化炭素抽出 (CO2抽出) などがあります。

ヘンプを日本で栽培することは可能なのですか。(30代男性)

今の日本ではヘンプの栽培に関しては都道府県の知事の認可を得る必要があり、厳しい審査を経ることが条件となっています。さらに、1年ごとに栽培許可の免許を更新しなければ栽培を続けられません。

ヘンプオイルは、CBDオイルと同様の作用が期待できますか。(30代女性)

ヘンプオイルはCBDオイルとはまた別物です。CBDオイルは抽出したCBD成分を後入れして作るため、CBDの含有率が高いのが特徴です。一方で、天然の麻の種子を原料にして作るヘンプオイルに含まれるCBDの量は、含まれていたとしてもほんのわずかです。CBDを実感したい方は、CBDオイルと銘打った製品を購入することをおすすめします。