医者はCBDやCBDオイルを処方できる?CBD製品の選び方は?

医者はCBDやCBDオイルを処方できる?CBD製品の選び方は?

CBDは大麻草などに含まれる天然成分で、高揚感を引き起こさないカンナビノイドの一種です。近年日本でも認知されつつあります。ここでは医師によるCBDやCBDオイルの処方、またCBD製品を選ぶ際の注意点について説明していきます。

CBDはどんな病気に効果を示す可能性がある?

CBDやCBDオイルの作用とECS
私たちの体内にはエンドカンナビノイドシステムと呼ばれる特殊な構造が存在します。これにより睡眠や食欲、感情、痛み、免疫システムなどを調整し、体がストレスに晒されてもある程度正常な状態を保つことができます。

エンドカンナビノイドシステムは複雑で、現在でも完全には解明されてはいません。

カンナビノイドの一種であるCBDはこのエンドカンナビノイドシステムに働きかける内因性カンナビノイドの役割を果たします。通常は体内で作られ外部からCBDを摂取せずともエンドカンナビノイドシステムは機能します。

CBDの病気の治療への適応は次のようなものがあります。

多発性硬化症やリウマチ性関節炎などに起因する症状の緩和

いくつかの海外で行われた実験からCBDとTHC(向精神作用のあるカンナビノイド:日本では違法)を混合で使用することで多発性硬化症とリウマチ性関節炎の治療に有効であることがわかっています。

47人の多発性硬化症患者を対象にした研究で、一ヶ月間サティベックス(CBDとTHC混合の薬)を服用させた結果、痛みの緩和や歩行および筋肉の痙攣が改善されたことが報告されました。

他にも58人のリウマチ患者にも同様にサティベックスを服用させた結果、体動時および休息時の痛みや睡眠の質の改善があったという結果になりました。

CBD(およびTHC)は痛みの軽減と痙攣の抑制に効果があると専門家は見ています。

不安神経症やうつ病を軽減する

うつ病や不安神経症の治療薬は副作用が大きく、さらには中毒となる可能性が指摘されています。2018年にブラジルで行われた57人の男性を対象とした研究でCBDオイルの使用により不安の軽減が確認されました。

またPTSDの10歳女児に対して不眠や不安に対する安全な治療方法としてCBDオイルが使用されたケースもあります。こちらも一定の効果がみられました。

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癌に起因する症状の緩和および癌細胞を死滅させる可能性がある

177人の癌患者を対象とした実験で、THCとCBDを混合して治療することでTHCのみを使用するよりも大幅に痛みの軽減につながったという結果があります。

加えてCBDは抗がん剤の副作用である嘔気や嘔吐にも有効であるとされています。

さらには癌細胞自体を消失させる効果も期待されています。2011年に行われた実験では、濃縮したCBDオイルが人の乳癌細胞に対し細胞死を引き起こすことを発見しました。

2007年にはマウスの進行性乳癌の抑制に効果があったという結果があります。

しかし安全性に関してはデータが少ないないため今後さらなる研究が求められます。

ニキビを軽減する

CBDの炎症を抑制する効果と皮脂の量を減らす効能によりニキビの治療に有効であるとされています。

2014年に行われた実験ではCBDオイルが皮脂腺からの過剰な皮脂の分泌を抑え、抗炎症作用を示すことが分かりました。

他にも同様の実験が行われCBDオイルはニキビの治療に安全であるとされていますが、やはりさらなる人を対象とした実験データは必要であると言えます。

脳神経障害を抑える

CBDの持つ神経保護作用や抗炎症作用が、様々な神経変性疾患の治療に役立てられることが期待されています。

てんかん発作

214人の重篤なてんかん発作のある患者にCBDオイルを摂取させたところ、平均で36.5%の患者の発作が抑えられたということです。

またドラベ症候群という、小児期に何度もてんかんを繰り返す難病の子供の治療にもCBDオイルの有効性が確認されています。

パーキンソン症候群

いくつかの研究において、パーキンソン症候群の患者の治療にCBDを使用したところ、患者のQOLおよび睡眠の質の改善が見られました。

アルツハイマー病

まだ動物実験の段階ですがCBDが抗炎症作用と神経変性を予防することから、アルツハイマー病の進行を軽減し認知レベルの低下予防に有効であるとされています。

心疾患を予防する

高血圧は心筋梗塞や心臓発作など様々な疾患を引き起こす原因になります。最近の研究からCBDは高血圧の予防にも有効であることが分かりました。ストレスを緩和する作用に関連していると考えられています。

医者がCBDやCBDオイルを処方できる?日本では?

麻やCBDに関する法律
CBDやCBDオイルを医師が処方できるかどうかは国や州によって取り決めが違います。

以下にいくつかの国の例を挙げます。

ニュージーランド

2019年現在、ニュージーランドでは医療用大麻は合法ですが、CBDやCBDオイルにも医師の処方が必ず必要となります。医師の処方なしで購入・使用した場合は違法となります。

カナダ

カナダでは嗜好用大麻および医療用大麻が全土で合法であり、CBDやCBDオイルは医師の処方なしで購入ができます。

しかし医療目的でCBD(および医療大麻)を使用したい場合は医師の診察を受けて処方箋が必要となります。カナダでは医療目的の大麻製品は登録制となっており、処方箋なしでは正規の製品を買うことができません。

嗜好用大麻が合法化した現在でもCBDやCBDオイルを処方する医師は多くありません。ごく一部の専門のクリニックなど以外は、安全性や効果を示すエビデンスの少なさから処方を避ける傾向にあります。

アメリカ合衆国および海外領土

アメリカ合衆国における大麻に関する法律は非常に複雑です。そもそも連邦政府の法律では大麻は一律「違法薬物」扱いですが、各州や自治領域では合法化とする法律が同時に存在しています。

嗜好用大麻および医療用大麻ともに違法である州や地域があることはもちろん、州や地域によって医療用大麻に含まれるTHCの量の規制があります。

ごく少数ですが嗜好用大麻のみが合法で医療用大麻が違法となる地域もありますので注意が必要です。

基本的には嗜好用大麻および医療用大麻が違法となる場所でもTHCの含まれていないCBDやCBDオイルは処方箋なしで自由に買うことができます。

現在のところアメリカの医療機関で医療用CBDオイルが処方される症例は、小児のてんかん発作であるドラベ症候群とレノックス・ガスト症候群の2例だけとなっています。

日本

日本ではCBDやCBDオイルは処方箋なしで購入することができます。一部治療目的でCBD製品を勧めるクリニック等はありますが、まだ症例数や認知が少ないため医師による処方は一般的ではありません。

最後に、全ての国や地域において言えますが大麻および大麻製品に関する法律は日々変わります。したがって旅行等で訪れる際は必ず事前にその地域の法律についてお調べください。

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CBDやCBDオイル製品を購入する際の選び方や注意点は?

CBD製品
販売されているCBDオイルを比較してみると値段や濃度が様々です。原料が高価であるため基本的には濃度が高いほどオイルの値段も高価となります。

CBDやCBDオイルの適正使用量や効果は個人差があり、濃度や内容量に関する目安は一概には言えません。少ない量から摂取し始めて効果が現れる量を自身でご確認ください。

購入の際に最も注意しなければならないことは信頼できる販売元・代理店を利用することです。日本にはCBD製品の監査機関が存在していないため、品質や表記の基準が曖昧です。

例えばインターネットで検索すると「日本製」と謳っているCBDオイルがあります。しかし日本では大麻取締法によって大麻栽培が規制されているため国産の原料でCBDやCBDオイルを製造することは不可能です。

おそらくCBDを何らかの形で輸入後に「日本国内」で加工したものだと思われます。

また輸入品のCBD製品からTHC成分(大麻取締法に違反する)が検出された事例もあります。

前述した通り、医療用大麻が合法のニュージーランドでCBDやCBDオイルの使用に処方が必要となっている理由の一つが粗悪なCBD製品の取り締まりです。

自由な販売を許可することで粗悪なCBD製品が高額で販売される可能性や効果がない、もしくは健康被害を引き起こす恐れもあります。そのような事態を予防するために処方薬として管理しています。

日本ではCBD製品を自由に購入ができますが、CBDやCBD製品の安全・品質の管理に関してはまだ取り決めが十分にされていないことを覚えておいてください。

持病がある人や薬を服用している人はどうすればよい?

CBDやCBDオイルは世界的にその効果が認められつつありますが、まだ研究途上にあります。健康への有効性や人体への害の少なさをWHOも認めていますが、日本では大麻取締法の影響からほとんど研究がなされていません。

まずはかかりつけ医にCBDを使用したい旨を相談してください。残念ながらそこで答えが得られなかった場合は、CBDを処方した記録のあるクリニックにセカンドオピニオンを求めてみてください。

関連文献

CBDの医師による処方に関して皆様から頂いた質問

医師がCBDを処方することは可能なのですか?(30代女性)

日本ではCBDの症例数や認知が少ないため医師による処方は一般的ではありませんが、一部では治療目的でCBD製品をすすめるクリニックはあるようです。CBDは、日本では処方箋なしで購入することが可能ですので、CBDの摂取を考えている方は、CBD製品の安全性を確かめた上で自分で購入するのも良い選択であると言えます。

CBDを処方する病院もあるのですか?(40代男性)

そのような病院もありますが、日本では、CBDの症例数や認知が少ないため現在は一般的ではありません。しかし、海外ではCBDを処方する病院の事例も多くあり、例えばニュージーランドでは、ニュージランドで合法となっている医療用大麻を含めてCBD製品も医師の処方が必ず必要です。このように、国や地域、時代の流れによって、大麻製品に関する法律は日々変わっていますので、今後の動向に注目しましょう。

現在薬を服用しておりCBDの摂取はやめた方が良いと医師に言われました。守った方が良いですか?(20代女性)

守るべきです。CBDには他の薬と相互作用(必要以上に薬の効果が現れたり、逆に十分な効果が得られないこと)を起こす可能性があります。CBDの摂取の可否は必ず医師の指示に従いましょう。

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