CBDやCBDオイルは記憶障害を引き起こす?認知症に効果的?

CBDやCBDオイルは記憶障害を引き起こす?認知症に効果的?

近年注目されているCBDやCBDオイルですが「CBDは大麻成分の一種なので記憶障害を引き起こすのでは?」「認知症にも効果がある?」といったさまざまな疑問の声があります。今回は、CBDが脳神経にどう影響を与え、認知症に対して作用するのかを解説します。

CBDやCBDオイルは記憶障害を引き起こす?

CBD [Cannabidiol; カンナビジオール] は近年日本でも注目されている物質であり、それを配合したCBDオイルは徐々に世間での認知度が上がっています。

しかし「CBDやCBDオイルが認知症に効くって本当?」「むしろ記憶障害の危険があるのでは?」と考える人も多くいます。

その理由は、CBDが大麻成分 (カンナビノイド) の一種であることから来ているようです。

大麻といえば、多くの方がマリファナを思い浮かべます。

マリファナの主成分は、THC [Tetrahydorocannbinol; テトラヒドロカンビノール] というカンナビノイドで、「ハイ」になるといった精神作用を引き起こすため、日本を含めた多くの国で規制されています。

また、THCには、認知や記憶にも問題が生じることが知られています。

大阪大学医学部の研究では、大麻が脳の神経回路を破綻させることを示し、大麻や危険ドラッグが脳に悪影響を及ぼすと警鐘を鳴らしました。

本来、ヒトの脳神経のネットワークは、不必要な部分が刈り取られ体系化されていきます。しかし、大麻はその作用を過剰に起こしてしまい、必要な神経細胞のネットワークまで壊してしまうのです。

このように、THCは人間の脳の認知や記憶の機能に障害を与えてしまうことが広く知られています。しかし、同じ大麻成分でも、CBDは人体への作用機序が異なります。

THCは摂取すると、神経細胞のカンナビノイド受容体 (CB1) に直接結合するため、大きな精神作用や脳機能への影響を与えます。

一方で、CBDはTHCと違ってCB1に直接作用せず、体内の内因性カンナビノイドを活性化することで、間接的に関わることが知られています。そのため、脳への影響がそこまで劇的ではありません。

また、内因性カンナビノイドは身体のさまざまな部位に存在し、身体の恒常性維持や機能調節を行っています。CBDは複数のタイプの内因性カンナビノイドを活性化するため、心身さまざまな面に良い影響を与えます。

そして、近年CBDが認知機能の改善にも有効であることが知られるようになってきました。ではCBDはどのように認知症に作用するのかを解説します。

そもそも認知症とは?

CBDの効果・効能について紹介する前に、認知症とは何かについて説明します。

加齢によって老化が起こると、脳機能も若い頃に比べて衰えていきます。そのため、特に高齢者には、過去の体験の一部を忘れてしまう「物忘れ」の症状が出ることがあります。

しかし、認知症は単なる物忘れとは異なります。

老化による物忘れの場合、忘れてしまったことによる不都合は起きますが、忘れてしまったこと自体を理解していたり、その他の記憶には問題なかったりするため、生活に大きな支障はないとされています。また、症状が進行することもありません。

一方で認知症は認知機能自体の障害であり、体験そのものを覚えていない、本人が症状を自覚できないといった兆候があり、日常生活に大きな支障が出ます。また、時間が経つにつれて症状が著しく進行していくこともあります。

認知症の主な症状は?

認知症には様々な種類がありますが、どのタイプの認知症にも共通する症状があります。

  • 記憶障害 (直前の行動を忘れてしまう。覚えていたはずの人や物の記憶が抜けてしまう)
  • 見当識障害 (自分の居所や状況、現在の日時、周囲の人間関係などが分からなくなる)
  • 判断能力の低下 (簡単な作業の手順が分からない、服のコーディネートができない、善悪の判断がつかない、など)

これらの症状と併せて、個々の性格や環境変化によって、徘徊や暴力・暴言、妄想、睡眠障害、うつなど行動や心理面に異常をきたす場合もあります。

認知症の原因と種類

認知症は脳細胞の損傷や脳構造の萎縮が原因で起こります。

しかし、そのような異常が脳に起こる理由には、さまざまなものがあります。

それぞれの脳に異常を与える原因によって、認知症は以下のタイプに分類されます。

アルツハイマー型認知症

脳にアミロイドβやタウタンパクとうタンパク質が長年にわたり蓄積されることで、脳細胞が破壊されたり神経伝達物質の減少が引き起こされ、徐々に脳が委縮していくことで発症・進行すると考えられています。

60代以上になって発症する場合が多いですが、若い人でも発症する場合があります (若年性アルツハイマー) 。

原因は詳しくは分かっていませんが、特に若年性のものは遺伝的要因が大きいとされています。

認知症のうちの半数以上がこのアルツハイマー型認知症であると言われています。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症とは、脳内にα-シヌクレインと呼ばれるタンパク質が異常に沈着することが原因で起こる認知症です。脳内に沈着した堆積物をレビー小体といい、これが脳神経細胞を破壊することで認知症が発症、進行していきます。

また、レビー小体はパーキンソン病の原因でもあるとされています。そのため発症初期は認知症の症状より、手足が震える、筋肉が硬くなるといったパーキンソン症状が目立って現れます。

また睡眠障害が出て、眠っている最中に大声を出す、暴れるなどの行動に出たり、いないはずのものが見える幻視といった症状も起こります。

脳血管性認知症

脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血といった脳卒中が原因で、脳の血管が詰まったり破裂したりなどの脳血管障害を起こし、脳細胞が死滅することで発症します。

糖尿病・高脂血症・高血圧といった習慣病を抱える人がなりやすいと言われています。

症状は代表的な認知症の症状の他に、身体麻痺や言語障害の併発も起こりやすいとされています。

女性より男性の方が2倍近く発症率が高いことも知られています。

認知症に根本的な治療法はない

認知症は脳神経の損傷が原因で起こるため、根本的な治療法はありません。

認知機能改善薬を処方したり、脳トレやゲームなどのリハビリテーションを通じて、進行を抑えるのが主な治療法になります。

認知症の方に処方される薬には、コリンエステラーゼ阻害剤やメマンチンがあります。しかし、これらを服用すると、吐き気や頭痛などの副作用が起こる可能性があります。

また、認知症を発症することにより、不安やうつなど精神が落ち込むこともあるため、向精神薬を併用することもあります。

いずれにせよ、認知症を根本的に治すことはできず、症状の進行を抑えたり、本人やそのご家族の精神的負担を少しでも和らげるのが、治療の主な目的になります。

CBDやCBDオイルは認知症に効果あり?

では、そのような認知症に、CBDはどのような効果をもたらすのでしょうか。

実は、さまざまな研究結果によって、CBDが認知症の治療に有効であることが示されています。

ここからは、CBDの認知症治療に対するポイントを紹介していきましょう。

CBDは認知症の薬を服用した際に起こる副作用を引き起こさない

認知症の方の治療には、コリンエステラーゼ阻害剤やメマンチンといった薬が処方されます。しかし、これらの薬を服用すると、吐き気や頭痛などの副作用が起こる可能性があります。

一方で、CBDオイルにはそのような副作用はありません。

実際に、CBDには吐き気や嘔吐を抑制する効果があることが報告されています。

CBDは神経の炎症を抑え、脳を保護する働きをもつ

認知症は脳の神経回路が破壊されてしまうことで起こります。

神経回路の破壊の大きな要因のひとつに、活性酸素によって神経に炎症が引き起こされてしまうことがあります。

また、脳内の免疫系が過剰に働いてしまうことで、脳神経の炎症が引き起こされてしまいます。このプロセスが、アルツハイマー型認知症の発症や進行の大きな要因になっていることが知られています。

CBDは免疫系に働き、炎症を抑える作用があることが知られています。

2017年の報告では、CBDが酸化ストレスと神経炎症を抑制することで、アルツハイマー型認知症の治療に役立つ可能性があると示されています。

また先述の通り、レビー小体型認知症の原因ともなるレビー小体は、パーキンソン病の原因ともなります。

CBDの神経保護作用は、パーキンソン病の治療にも効果があることが知られています。

そのため、レビー小体型認知症においても、パーキンソン病のような症状を緩和するなど、治療に効果が期待できます。

CBDは神経の再生にも関わる

かつては、大人の脳神経は新たに作られることはないと言われていました。

しかし、近年では、成人であっても神経幹細胞から神経発生が行われ、新たな神経細胞が生成され得ることが明らかになっています。このメカニズムは、記憶障害や認知症、精神疾患への応用が期待されています。

CBDは新たな神経の生成にも効果があると考えられています。

2017年、ブラジルの研究者らは、脳虚血傷害により認知障害、情動障害を起こしたマウスにCBDを投与しました。その結果、神経細胞の傷害の軽減と併せて、神経発生が行われたことが確認できました。

CBDが神経発生を促進することにより、認知症の進行を止めるばかりでなく、脳機能そのものの回復が見込めるかもしれません。

CBDは高血圧や脳卒中など、認知症の間接的要因にも効果がある

CBDの関与は、単に脳神経のみにとどまりません。

CBDはさまざまな身体の機能を改善し、病気の治療に効果があることが知られています。

高血圧や虚血性脳卒中はその中の代表例と考えられています。

脳血管性認知症は、脳卒中などによって脳が損傷し、損傷が広がっていくことで発症・進行していきます。

CBDによって、高血圧など脳卒中の原因となり得る症状の改善、または脳卒中の予後改善に関わることで、脳血管性認知症の発症・進行を食い止める効果も期待できます。

CBDは認知機能・記憶障害の改善を図る

CBDには、神経炎症の抑制や神経発生などの効果があることが明らかになりました。

では、そのような作用によって、脳機能にどのような影響を与えるのでしょうか。

2017年の報告では、CBDが統合失調症、ならびに神経障害、神経変性疾患、脳マラリアなどの神経炎症性疾患のある人々の認知改善に効果的であることが示されています。

また、マウスを使った実験において、CBDを8ヶ月間経口投与させると、社会認識障害に関する記憶障害が改善されるという結果が出ました。

このように、CBDはさまざまな要因で起こる脳機能に関する障害を軽減することが示されています。もちろん、認知症にも同様の効果が期待されています。

CBDやCBDオイルを摂取する際の注意点を解説します!

CBDには、脳神経の保護や新生を促すなど、認知症の治療にも効果があることが示されました。

しかし、CBDやCBDオイルには使い方を間違えると、思わぬ副作用や身体への悪影響が出てしまう可能性もあります。

ここで、CBDを摂取する上で踏まえるべき、注意点について紹介します。

薬を処方されている、持病があるという人はまず医師に相談する

CBDは一部の薬と薬物相互作用があると言われ、特に肝臓で代謝されるタイプの薬と飲み合わせると、大きな副作用が起こりやすいことが知られています。

その理由は、CBDがシトクロムP450という酵素ファミリーの働きを阻害することに起因します。

シトクロムP450は肝臓に存在し、薬の成分を分解する働きをもっています。この働きが阻害されると、薬効が抑えられずに毒性や副作用が起こる可能性があります。

したがって、薬を処方されている方は、まず医師に相談し、CBDを摂取しても安全かどうかを確認するようにしましょう。

また、持病をお持ちの方も同様です。

CBDが思わぬ副作用をもたらす可能性もあります。

実際に、CBDを摂取することで、口渇や眠気、立ちくらみといった症状が現れるという報告もあります。

特に持病をお持ちの方については、CBDが病気の症状に悪影響を及ぼさないとも限りません。

そのため、必ず医師など専門家に相談し、使ってもよいかどうかなどのアドバイスを受けるようにしましょう。

使い過ぎに注意し、最初は少ない量から試す

CBDはTHCと違って、精神作用などの悪影響がなく、多量に使用してもそれほど害はないと言われています。

しかし、先述したような副作用は確認されており、個々人での効き方も異なります。

また、多量のCBD投与が肝臓に害を与えると示唆するデータもあります。

そのため、CBDを使用する際には、使い過ぎないように注意することが肝要です。

まず、お使いになるCBDオイルによって、CBDの量が異なりますので、必ず製品ラベルを見て、CBD配合量を確認するようにしましょう。

また、初めてお使いになる方は、少ないCBD量 (10~15mg程度) から試して、徐々に量を増やしていく方法が良いです。

例えば、10mlのCBDオイルに660mgのCBDが配合されている場合(濃度6.6%)、1日10mgのCBDを摂取するとしたら、CBDオイルをスポイト3〜4滴分摂取すると良いことになります。1回で3〜4滴摂取してもよいですし、2回以上に分けても問題ありません。

そして1週間ごとに摂取量を5mgずつ増やしていきます。効果が実感できたタイミングで、それがその人の最適なCBD量ということになります。

最初から多量に使うのではなく、少ない量から徐々に上げていく方が、CBDの思わぬ悪影響を防ぎ、最も効果や効率が良い量を知ることにつながります。

安全・安心にCBDやCBDオイルを摂取するために、このような注意点はしっかり頭に入れておきましょう。

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