タイでCBDやCBDオイルは合法?大麻専門クリニックとは

タイでCBDやCBDオイルは合法?大麻専門クリニックとは

タイでは大麻法が改正されたり、大麻専門クリニックが開設されたこともあり、大麻やCBDに対する関心度が上がっています。タイでの大麻事情 (CBDを含む) や、タイで生産されたCBDオイルを日本に持ち込めるのかといった疑問について解説します。

そもそもCBDやCBDオイルとは?ハイにならない?

CBD [Cannnabidiol; カンナビジオール] は、大麻草 (Cannabis Sativa) などの植物に含まれる成分 (カンナビノイド) です。

“大麻”という言葉から、違法性を疑う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、CBDは大麻から連想されるような心身への悪影響はなく、日本でもこの成分自体は規制対象になっていません。

大麻が日本を含む多くの国で警戒され規制されるようになった背景には、マリファナという麻薬の存在があります。

実際に、大麻草の中でもマリファナの主成分が多く含まれるものは“マリファナ株”と呼ばれ、大麻とマリファナが切っても切り離せないものであることを物語っています。

マリファナの主成分となる物質は、THC [Tetrahydrocannabinol; テトラヒドロカンナビノール] と呼ばれるカンナビノイドです。

CBDもマリファナに含まれてはいますが、THCのような「ハイ」になる作用や、常用すると依存性や中毒性が出てしまうなどの悪影響は確認されていません。

それどころか、CBDには心身へのさまざまな点でメリットがあることが、基礎研究や臨床研究を通して解明または示唆されています。

THCの作用とは対称的に心にリラックス効果をもたらしたり、免疫機能の調節、炎症の緩和といったプラスの作用があります。

さらに、そのような心身への効果から、うつ、不眠症、てんかん、関節炎・リウマチ、高血圧、がん治療などにも効果があると言われ、医療分野でも注目されています。

そのようなCBDを気軽に摂取できるよう、さまざまな形でのCBD製品が販売されています。

特に、オリーブオイルやMCTオイルなどの天然由来のキャリアオイルにCBDを配合したCBDオイルは、さまざまな目的・用途に対応しやすく、汎用性の高いCBD製品として知られています。

タイと大麻の歴史を解説!CBDやCBDオイルは合法なのか?

日本では大麻は禁止なものの、CBD自体は合法であるとお伝えしました。

では、海外ではどのような考え方や法律の敷かれ方をされているのでしょうか。

実は、近年になって大麻やCBDについてめざましい動向がみられている国があります。

その国とは、日本と同じアジアの一国であるタイです。

もともと、タイは大麻について寛容的でした。インドから持ち込まれたといわれる大麻は、14世紀から18世紀まで続いたアユタヤ王朝時代にはすでに使用されており、ハーブと同様の位置づけだったそうです。

また、薬として筋弛緩薬や傷を癒す目的でも使われていました。

しかし、世界各国で大麻が麻薬として問題視されるに伴い、1930年代には生産や売買が厳しく制限されるようになり、近年まで規制対象になっていました。

ところが2018年、タイは大麻に対して大舵を切る決定をしました。

大麻法を大幅に緩和すると発表したのです。

医療用途や研究対象としての大麻使用を合法化し、研究者、赤十字職員等に加えて薬用マリファナが必要な外国人も所持可能としました。

ただし、嗜好品としての大麻やクラトム (葉に健康や刺激効果があるとされる常緑樹) の使用は依然として禁止する、としています。

認可されていない範囲で大麻を所持すると、最大で10年の実刑が適用される重罪になりますので、ご注意ください。

また、このような大麻法の改正に伴い、CBDへの認識にも変化が出ています。

現に、タイの規制当局は「純粋なCBDおよび、THC含有量が0.2%未満のCBD製品」「ヘンプ (THCが含まれない、または少ないとされる麻) のシードやオイル」はタイのカテゴリー5と呼ばれる麻薬分類から除外する、としています。

元来タイではCBD自体が規制対象ではなかったものの、大麻に対する法律が変わることで、CBDに対する姿勢もより寛容なものになるかもしれません。

ただし、タイでは電子タバコが禁止されています。

CBD製品の一種であるCBDリキッドは、VAPEなどの電子タバコで気化して摂取するタイプのものですが、タイでこちらを使用した場合は処罰の対象となるのでご注意ください。

東南アジア初?大麻専門のクリニックとは?

このように、大麻への取り扱いが大きく変化したタイですが、2020年1月6日についに「医療大麻」による治療を専門とするクリニックがオープンしました。

大麻専門クリニックとは、文字通り大麻治療を前提としたクリニックで、大麻の専門知識をもつ専門の医師が診察し、必要に応じて大麻成分を含むオイルを処方します。

オープンにあたり、クリニック専用のゆるキャラを登場させるなど、政府が先陣を切って医療大麻を推奨する姿勢がみられました。

さらに、クリニックのオープン初日には患者が殺到し、大麻は政府だけでなく国民からも高い注目度を集めていることが物語られました。

欧米などでは、大麻を医療目的で扱う国は多くありますが、アジアでは多くありません。東南アジアではタイが初めてとなります。

ゆえに、今回のタイの政策を皮切りに、アジア諸国でも医療大麻に対して寛容になる動きが出てくるのではないか、と推察する人もいます。

このように、今後の大麻に対する動向には注目せざるを得ない状況であるといえるでしょう。

日本において現在は医療大麻の使用は認可されていませんが、近い将来、CBDを含む大麻成分が医療の現場で使われる日が来るのかもしれません。

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タイで買ったCBD製品を日本に持ち込んでよい?

大麻に対する規制を緩めたことから、タイではTHCやCBDといった成分を含む製品が広く販売されるようになりました。

先述の通り日本ではTHCは禁止されていますが、CBDは原則的に合法です。そのため、タイに旅行に行かれた際にCBDオイルなどを店頭で見て、買って帰りたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ここで気になるのが「タイで製造や販売されているCBD製品を日本に持ち込むことに問題はないのだろうか」という点です。

大麻の規制のされ方は国によって異なります。そのため、A国で合法的に作られているCBD製品が、B国では違法であった、というケースはよくあります。

とりわけ、大麻に対する規制が緩くなったタイに比べて、日本での大麻の規制のされ方は依然として厳しい状態です。

果たして、タイのCBD製品を日本に持ち込むことはできるのでしょうか。

結論を申し上げると、日本で法に触れない製品であれば、タイで生産されたCBD製品でも持ち込むことができます。

CBD製品が日本で合法となる条件~THCフリーであるかどうか~

日本では、大麻取締法によって大麻の扱いは厳しく制限されています。

ただし、日本は古くから麻の恩恵をかなり受けており、神事や伝統行事、衣類や食品に至るさまざまなものに麻由来の製品が使われています。

そのため、大麻のすべてを規制することはできません。言い換えれば、大麻を原料にした製品でも、大麻取締法の規制に引っかからないものであれば合法になります。

逆に言えば、その製品が法律の範疇に合致するか逸脱するかは、消費者が自ら確認し判断しなくてはなりません。

それを見極めるポイントとは「THCフリーであるかどうか」です。

THCフリーとは、THCがまったく含まれていない、という意味になります。

先述の通り、タイではTHC含有量が0.2%未満のヘンプから作られた製品は合法となります。しかし、日本の法律では「THCがわずかでも検出できれば違法」となります。

そのため、THCが含まれる製品を日本に持ち込んだことが分かれば、そうと知らずに購入していたとしても逮捕されてしまうおそれがあります。

そうならないためにも、購入を検討しているCBDオイルのラベルやメーカーのウェブサイトを見て、THCフリーであることを必ず確認するようにしましょう。

特に、現在のタイでは医薬品としてTHCを含む製品が普通に売られていますので、間違えてそのような製品を購入してしまわないよう、より気をつけた方が良いかもしれません。

CBDとTHCの違いは?相乗効果はある?そもそも日本で合法なの?CBDとTHCの違いは?相乗効果はある?そもそも日本で合法なの?

空港や飛行機への持ち込み条件を確認する

日本で使用できるCBDオイルであったとしても、空港や飛行機に持ち込めなければ日本に持って帰ることはできません。

とりわけ現在では、2001年にアメリカで起こった同時多発テロの影響から、空港での持ち物検査はかなり厳しく行われています。

アメリカではTSA (アメリカ合衆国運輸保安庁) が厳密な基準を設けており、国によって基準の違いはあるものの、基本的に同等の厳しい検閲があります。

そのため、海外からおみやげ等を購入し帰国する際にも、飛行機に搭乗するための条件に該当していることをきちんと把握しておかなくてはなりません。

さもなくば、せっかく購入したCBDオイルが没収されてしまった、という事態にならないとも限りません。

CBDやCBDオイルはクルーズ船や飛行機に持ち込める?国際線は?CBDやCBDオイルはクルーズ船や飛行機に持ち込める?国際線は?

タイにおいては、液体は容器ひとつにつき100ml以下であり、全量は1L以下、透明なジッパーバッグに入れることがルールです。

CBDオイルのボトルは50mlまでのものが多いので、1本あたりの容器の容量については問題はないでしょう。

ただし、せっかくだからと大量に購入してしまい、全量が1Lを超えてしまった場合や、保管しておくバッグを忘れてしまった場合、飛行機に持ち運べなくなります。

そのため、購入前に全量が基準を超えないかどうかを確認し、検閲までに透明なジッパーバッグを準備しそこに入れておくようにしましょう。

より安全に使用するために~第三機関の検査結果を確認する~

THCフリーであることが法に触れないための必要条件ですが、ただメーカーが製品のラベルやウェブサイトでそのように表記していても、それが証明になるとは言い難いでしょう。

あるいは、安全に使用するという意味では、そのCBDオイルにTHCの他にどのような成分が含まれているのかを知ることも重要です。

そのため、優良なメーカーは自社のCBDオイルの品質や安全性について、第三機関に検査を依頼し、その検査結果をウェブサイトなどで公表しています。

THCが含まれていないことはもちろん、体に悪い添加物や汚染物質が含まれていないか、原料となるヘンプが有機栽培であるか、CBDが適正量含まれているかどうかなどの情報は確認するようにしましょう。

このような第三機関の存在によって、そのCBDオイルが合法で安全に使えるものであるかどうかという判断ができるようになります。

法律を遵守するのは前提ですが、そのうえで自身の健康にもマイナスにならないよう、CBDオイル選びは慎重に行ってください。