今アメリカで話題のHHC(ヒドロキシヘキサヒドロカンナビノール)とは?生成方法や9-THCとの違いも徹底解説!
数年前より世界でも日本でも大麻由来の成分である「カンナビノイド」の美容や健康への効果が注目を集めています。今回のテーマであるHHCもカンナビノイドの一種です。
カンナビノイドには、体内で分泌されている「内因性カンナビノイド」、植物から抽出される「植物性カンナビノイド」、そしてフッ素などの化学物質から人工的に作られた「合成カンナビノイド」の3種類があります。
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HHCは、植物性カンナビノイドであるCBD(カンナビジオール)やTHC(テトラヒドロカンナビノール)を「水素化」することで作られます。植物性カンナビノイドと合成カンナビノイドのハイブリッドのような物質です。
植物オイルに水素を化合することでできるマーガリン(トランス脂肪酸)をイメージすると分かりやすいかもしれません。
トランス脂肪酸は自然界にほとんど存在しない脂質ですが、HHCについても同じで植物体内で自然に生成される量はごくわずかです。
そのため、現在販売されているHHC製品には全て化学的に合成されたHHCが使用されています。
アメリカでは2018年の農業法の改正によりヘンプが一般農作物として扱われるようになったため、現在ではヘンプから抽出されるCBDやTHCなどから作られるHHCが一般的となっています。
HHCはこれまでほとんど知られていませんでしたが、2021年末ごろからアメリカで少しずつHHC製品などが販売されるようになり、マーケットが拡大し始めました。日本では2022年に入ってから注目され始めました。
実際には、HHCは近年新しく合成されたカンナビノイドという訳ではなく、1940年代にアメリカの科学者であるRoger AdamsがTHCを水素化することで初めて作り出されました。
しかし、これまでにHHCの臨床研究はほとんど行われていないため、現段階で身体や精神への影響がどの程度あるかはあまり分かっていません。
HHCはカンナビノイドの一種ですので、私たちの身体にある「エンド・カンナビノイド・システム(ECS)」に働きかけます。
ECSとは、元々体内で分泌されているAEA(アナンダミド)や2-AGなどの内因性カンナビノイドがCB1やCB2などのカンナビノイド受容体に作用することで様々な身体機能の調節を行う仕組みです。
CB1は脳や中枢神経系に多く、CB2は末梢神経や皮膚などの末梢組織に多く分布しています。
HHCはECSにどのように作用するのでしょうか。また、メジャーなカンナビノイドであるTHCやCBDと比較して、どのような作用の違いがあるのでしょうか。
CBD
CBDはCB1やCB2への親和性が低く、直接的にECSを活性化することはほとんどありません。CBDはAEAや2-AGを破壊する酵素を抑制することで体内での分泌量を増加させるため、穏やかな効果が期待できます。
また、CBDには精神活性作用は一切ありません。
THC
THCはCBDと違い、脳のCB1に直接結合して受容体を活性化させ、脳を強く興奮させたり神経を過敏にさせたり、陶酔感を引き起こしたりします。
多くの国や地域で大麻が規制物質として扱われているのは、このTHCが多量に含まれているためです。
THCにはΔ8-THCやΔ9-THC、Δ10-THCなど複数の種類があります。これらは似ていますが少し違う化学構造や作用を持っています。
THCの中でもΔ9-THCは、大麻草の中で自然に生成されるのもほとんどがΔ9-THCであり、一般的にはTHCといえばΔ9-THCを指します。
一方でΔ8-THCとΔ10-THCはΔ9-THCよりもCB1への親和性が低く、特にΔ8-THCの効果はΔ9-THCの半分程度と言われています。
Δ8-THCはΔ9-THCほど脳への影響が強くないため、医療への適用が期待されています。
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HHC
HHCの作用は先ほど紹介したΔ8-THCと似ていると言われることが多いです。しかし、これまでにほとんど研究が行われていないため、効果に関しては様々な見解があります。
HHCが他のカンナビノイドから作り出される際に、9R HHCと9S HHCという2種類のタイプが作られます。9R HHCはCB1との親和性がありますが、9S HHCはCB1にもCB2にもほとんど結合しません。
現在の技術では、9R HHCと9S HHCの割合を製造の段階で調節したり、それぞれの成分を分離したりすることは難しく、また莫大なコストがかかってしまうためあまり現実的ではありません。
そのため、製品によって9R HHSと9S HHSの比率が1:1や1:2になったりし、その配合比率によっては当然効果の強さにも影響します。
HHCも今後医療の分野で有用になるかもしれないと期待されていますが、現段階では長期的な効果や安全性などに関するエビデンスは一切ありません。
結論として、HHCの作用は「CBD以上THC以下」ということになりますが、製品によって効果にばらつきがある状態であると言えます。
HHCは日本で合法?HHCに関する法規制を解説!
HHCは2021年末ごろから急に注目されるようになったこともあり、世界でも日本でも法整備が十分ではありません。
そのため、違法とならないかどうかの判断は現在ある法律を基準に判断するしかありません。今後変わることも考えられますが、2022年3月現在の最新の規制情報について解説します。
アメリカ
まず、多くのHHC製品を製造しているアメリカでのHHCの扱いを見てみましょう。すでにご存知の方も多いかと思いますが、アメリカの大麻や大麻由来の製品に関する法律は非常に流動的で複雑です。
アメリカの連邦法では0.3%以上のTHCを含有する大麻や大麻由来の製品は規制物質として扱われていますが、0.3%未満のTHCを含有する「ヘンプ」から作られた製品は連邦法でも合法となっています。
また、38の州においてはTHCの中でΔ8-THCとΔ10-THCは合法扱いとなっています。
HHCはヘンプから作られた物質であること、Δ8-THCと同様の作用があることから、38の州では合法であると考えられますが、Δ8-THCとΔ10-THCが合法ではない州ではHHCも違法となる可能性もあります。
もしも旅行などで訪れる場合はご自身で現地の最新の情報について確認するようにしてください。
日本
日本では、成熟したヘンプの「茎」および「種子」から抽出された成分から製造されたHHCはこれまで大麻取締法の下で合法的に所持や使用をすることが可能でした。
しかし、2022年3月7日に厚生労働省によって公布された省令により、HHCを含む6物質が新たに「指定薬物※」として追加されることが発表されました。
※中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのある物(厚生労働省ホームページより抜粋)
省令は2022年3月17日より施行となります。指定薬物は輸入や販売、製造、所持、使用などが違法となり、違反者には懲役や罰金などが課せられることになります。
それにより、今後HHC製品の輸入や販売、製造、所持、使用などを行うことは犯罪となります。
HHCはヘンプ由来の製品ですが、今回の変更は大麻取締法には関係なく「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という別の法律に違反することになります。
HHCにはどんな効果がある?慢性的な痛みへの作用が注目されている?!
すでに解説したように、HHCには「THCに類似した効果」があると言われています。日本ではTHCといえば「ハイ」になる、「キマる」などの違法薬物としてのネガティブなイメージが強いかもしれません。
しかし、海外ではTHCとCBDの組み合わせによって抗がん剤治療の副作用を抑制したり、疼痛コントロールが必要な患者に使用することで症状が軽減されたりするなど、上手く使うことができればメリットも多い物質です。
HHCは臨床研究が行われていないため、あくまで逸話ベースではありますが、以下のような効果があると言われています。
- 鎮痛作用
- 陶酔作用
- リラックス効果
- 幸福感の増大
- 活力増加
- 吐き気の抑制
- 食欲増進
- 睡眠の質の改善など
しかし一部では「THCの代替品」や「合法のTHC」と言われるほど、製品や摂取量によっては向精神作用が強く引き起こされることもあります。
日本ではHHCの規制が始まったばかりですので、再び日本でHHCを使用できるようになるかはわかりません。今後さらに研究が進められてメリットやデメリットが明確になることが待たれます。
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