CBDやCBDオイルはIBS(過敏性腸症候群)に効果的?

CBDやCBDオイルはIBS(過敏性腸症候群)に効果的?

緊張するとお腹が痛くなったり、トイレに行きたくなったりする症状を経験したことがある方は多いと思います。本記事では、心身の様々な症状に有効であるCBDやCBDオイルの、IBS(過敏性腸症候群)への治療効果や使用上の注意点について解説します。

IBS(過敏性腸症候群)とはどんな病気?

IBS(過敏性腸症候群)は主に先進国に患者が多く、20〜40歳代の若い世代に発症しやすい病気です。また、男性よりも女性に多いとされています。日本ではおよそ10〜20%の人が患っていると推測されています。

神経質な性格やストレス、生活習慣の乱れ、自律神経の乱れなどが要因として指摘されていますが、原因ははっきりと解明されていません。

近年では腸内の過剰なセロトニンの分泌が下痢や腹痛を引き起こしているているのではないかと考えられています。

IBSは病院で検査などを行っても、潰瘍や炎症などの身体的な異常は一切見られないことが特徴です。似ている疾患にIBD(炎症性腸疾患)がありますが、こちらは消化器官などに病変が発現します。

IBSの症状は、腹痛や下痢、場合によっては便秘などを長期間繰り返す腸の症状がメインですが、不安や睡眠障害、頭痛、めまい、動悸などを付随することが多いとされています。

また、IBSはパニック障害と似ているとも言われています。

外出先などでトイレに行きたくても行けなかった経験を脳が記憶してしまい、それ以降自動的に不安を予期するようになります。それが余計にストレスとなり神経を刺激して腹部症状を引き起こすことも多いようです。

治療には下痢止めや便秘薬、セロトニン拮抗薬などの腸を改善する薬に加え、精神症状を改善する抗うつ薬、抗不安薬などが投与されることもあります。

CBDやCBDオイルとは?

CBDは大麻草などから抽出されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一種です。CBDオイルは植物由来のCBDをオリーブオイルなどのキャリアオイルと混合したCBD製品です。

体内には元来、神経系や免疫系などを調節することによって疼痛、炎症、不安、ストレス、睡眠などを緩和したり正常にしたりするエンドカンナビノイドシステム(ECS)が存在しています。

アナンダミド(AEA)や2-AGといった内因性カンナビノイドや植物由来のカンナビノイドが、CB1やCB2などの全身に存在するカンナビノイド受容体に作用することで様々な効果をもたらします。

CBDはカンナビノイド受容体への直接の作用はほとんどありませんが、内因性カンナビノイドの分泌量を増加させたり、体内の様々な神経伝達物質の受容体を活性化させたり抑制したりする作用があります。

また、CBDは大麻由来の物質ですが精神を興奮させる作用はありません。

CBDやCBDオイルはIBSに効果的?症状を緩和する?

IBSは身体の病変や炎症を示す血液検査の異常などがないため、下痢や腹痛などの症状を抑えることや原因となるストレスや刺激、自律神経の乱れを改善するなどの対処療法が基本となります。

まず、IBSの主症状は急に引き起こされる腹痛や下痢です。CBDやCBDオイルはこれらの腹部症状を改善できる可能性があります。

疼痛のコントロールを行う脳や神経の部位にCB1が多数存在しています。これが内因性カンナビノイドによって活性化されることで疼痛の軽減効果があります。

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CBD摂取による鎮痛効果は様々な実験において立証されています。したがってIBSの腹痛や付随して起こる頭痛などにおいても有効である可能性は高いです。

次に、体内のセロトニンの90%は腸に存在しています。腸でのセロトニン分泌が過剰になると、腸の動きに乱れが生じて下痢の原因となるとされています。

CBDは消化器官に存在するセロトニン受容体(5-HT3)を阻害することで、セロトニンの腸への分泌を抑制する作用があります。

現在、IBSの治療薬として5-HT3受容体拮抗薬が投与されています。しかし、腸の動きを強制的に抑制する薬であるため、副作用として便秘や腹部の張り、吐き気などが起こることがあります。

薬の副作用である便秘や硬い便が続くと、ひどい場合には腸閉塞(イレウス)となることもあり手術が必要になります。CBDやCBDオイルはこのように健康を損なうような副作用の心配がほとんどありません。

そして、CBDやCBDオイルはIBS発症の最大の要因とも言えるストレスを緩和することができます。

セロトニンは、腸の動きを活発にして下痢の原因となることがありますが、精神を安定させるために脳内においては欠かせない神経伝達物質です。また、GABAも不安や興奮を鎮めて精神をリラックスさせる効果があります。

また、頻繁にストレスを感じる方は神経を過敏にさせる交感神経が常に優位になっており、自律神経のバランスが乱れている状態です。

CBDは脳内のセロトニン受容体(5-HT1)やGABA受容体へ直接作用して、脳内神経伝達物質の分泌を活性化することで精神や自律神経バランスを安定化させることができるとされています。

加えて、強い不安や自律神経の乱れは睡眠障害を引き起こし、それが自律神経の乱れやストレスをさらに悪化させます。

CBDやCBDオイルを摂取すると、体をリラックスさせて入眠を容易にし、質の良い睡眠を得ることができます。

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このように、CBDやCBDオイルは多岐にわたって心身に作用するため、IBSの治療に有効であると考えられています。しかし、実際に有効性を検証する正式な研究は行われていません。

また、日常的に腹痛や下痢があっても、それが当たり前になってしまい一度も受診をしたことがない方もいると思います。IBSの症状はIBDや大腸癌などと似ていることもあり、自己判断は危険です。

CBDやCBDオイルの使用を開始する前に、必ず医師の診察を受けるようにしてください。

IBSのためにCBDやCBDオイルを摂取する際の注意点は?

CBDやCBDオイルは、処方薬のように体内で過剰に作用することはほとんどありません。そのため一般的な薬と比較すると副作用が起こりづらいです。

WHOもCBDやCBDオイルを安全な物質であると認めていますが、IBSの症状に対して摂取する上で注意するべき点がいくつかあります。

まず、すでに病院などで下痢止めや抗不安薬などの内服薬などを処方されている場合、CBDやCBDオイルを同時に摂取すると薬の効果を増強することがあります。

CBDは肝臓で代謝されますが、その際に肝臓内に存在するシトクラム450(CYP450)というグループの酵素の働きを阻害します。

この酵素は多くの薬の代謝や排泄に関わっているため、CBDやCBDオイルと同時に摂取した薬剤が体外へ排泄されるまでに時間がかかることになります。

IBDの治療薬である5-HT3拮抗薬や抗不安薬、睡眠導入剤などはCYP450によって代謝されます。処方薬を中止してCBDやCBDオイルの摂取を開始したい場合は必ず医師の指示に従うようにしてください。

次に、CBDやCBDオイルは単体で摂取するよりもテルペン類やビタミン類、CBD以外のカンナビノイド成分など、ヘンプの全成分が含まれているフルスペクトラムやブロードスペクトラムが理想とされています。

それぞれの成分の相互作用により、相乗効果が得られるためです。しかしヘンプには、大麻取締法によって違法となる成分である向精神作用のあるTHCが含有されていることがあります。

海外では0.3%以下のTHCの含有は許可されていることが多いため(特にフルスペクトラムのCBDは要注意)、そのまま輸入されてしまう可能性はあります。

CBDやCBDオイルを購入する際には、成分表示をしっかりと確認し、信頼できる販売元を選択して購入するようにしてください。

また、製品によってはヘンプを栽培する土に含まれる重金属や農薬などの化学物質が残留していることがあります。

CBDやCBDオイルにこれらの危険な物質が含まれていないかどうか、第三者機関によって検査が行われていることを確認することも安全なCBD製品を選ぶ上で大切です。

最後に、IBSはCBDやCBDオイルだけで治せる病気ではありません。ストレスをコントロールし、睡眠や自律神経の乱れを改善するほかに、消化器官の刺激となるような生活習慣を改善することも欠かせません。

特に、ニコチンやアルコール、カフェイン、カプサイシン、冷たい物などの刺激物の摂取を控え、健康的な食事を心がけるようにしてください。

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