CBDやCBDオイルはビタミンEが含まれている?欠乏症に効果あり?

CBDやCBDオイルはビタミンEが含まれている?欠乏症に効果あり?

ビタミンEは私たちの身体に必要不可欠であり、欠乏すると身体に悪影響が出ます。近年、健康に良いと注目を集めるCBDやCBDオイルにはビタミンEは含まれているのか、またビタミンE欠乏症に効果はあるのか、という点について解説します。

そもそもビタミンEにはどのような作用がある?

ビタミンEは、脂溶性ビタミンの1種であり、トコフェロールとも呼ばれています。

トコフェロールには数種類ありますが、その中の1種であるD-α-トコフェロールは自然界に広く普遍的に存在し、光合成生物により合成され、生態系を循環しています。

そのため、ビタミンEは私たち人間の食生活にも身近に存在し、私たちの健康に大きく貢献する物質でもあります。

その機能として挙げられるものが、抗酸化作用です。

代謝によって生じたフリーラジカルは、生体内のDNAやタンパク質を攻撃したり、また脂質を酸化させたりして、がんなどの疾患の原因にもなります。

しかし、ビタミンEはフリーラジカルを消失させることで、生体の酸化を防ぎます。
また、ビタミンEは脂溶性であるため、細胞膜の脂質部分に入り込んで、細胞膜を守る作用もあると考えられています。

このような抗酸化作用が注目され、医薬品やサプリメント、食品添加物の酸化防止剤など、幅広く利用されています。

ビタミンEが欠乏するとどうなる?ビタミンE欠乏症とは?

上に紹介したように生体を酸化から守ってくれるビタミンEですが、欠乏すると身体にさまざまな不具合が起こります。

ビタミンEが不足することでよく生じる身体の不具合は、ビタミンE欠乏症と呼ばれています。

ビタミンEが足りなくなると活性酸素が多く体内に存在することになります。赤血球の膜が損傷し壊れることで、溶血性貧血が起こります。

また、脂肪吸収障害、脳委縮、白内障、不妊や流産の原因にもなり、神経や運動にも不具合が出ると言われています。

また、未熟児において、溶血性貧血、深部感覚異常及び小脳失調の原因にもなります。

このように、ビタミンEの欠乏は身体に重篤な症状をもたらします。

ただし、ビタミンE欠乏症は発展途上国の人に起こりやすいと言われており、先進国である日本では通常の食生活でビタミンEが欠乏することはないと言われています。

ただし、偏食だったり食生活が安定しない傾向がある人は注意が必要です。

CBDやCBDオイルはビタミンE欠乏症に効果がある?

ここまでで紹介したように、ビタミンEは私たちにとって必要不可欠であり、欠乏すると重篤な症状を引き起こしかねない成分です。

心身の健康に良いとされ近年注目を集めているCBDやCBDオイルですが、ビタミンE欠乏症の症状に効果はあるのでしょうか。

CBDにはストレスや活性酸素による傷害から身体を保護する働きがあり、動脈硬化を防いだり脳や神経を保護したりする効果があると言われています。

1998年にアメリカでは、ラットの神経細胞を用いてCBDの抗酸化作用について調べる実験を行いました。

その結果、CBDは過酸化水素によって誘発される酸化損傷を、ビタミンEと同等かそれ以上に修復する効果があることが分かりました。

つまり、CBDにはビタミンEと同様に生体の酸化を防止する、抗酸化作用が期待できます。

また、CBDオイルの中には、ビタミンEが含まれているものもあります。

CBDは、産業用ヘンプと呼ばれる麻の種類から抽出されますが、天然の植物であるヘンプの中にはビタミンEが多量に含まれています。

CBDオイルの種類には、CBD単体(アイソレート)を化学的に抽出したもの、CBDアイソレートにTHC以外のヘンプ由来の成分を配合したブロードスペクトラム、THCを含めたヘンプ由来の成分を全て一緒に抽出したフルスペクトラムがあります。

THCとは日本では大麻取締法で制限されている成分です。

CBD単体(アイソレート)はともかく、ブロードスペクトラムやフルスペクトラムの製品の中には、ヘンプ由来のビタミンEが配合されているものもあります。

すなわち、CBDオイルはその抗酸化作用から、ビタミンEと似た効果をもたらし、また製品によってはビタミンEが配合されているものもあるため、ビタミンE欠乏症にも有効に働くと考えられます。

ただし、THCは所持していると違法となってしまうので購入の際にはTHCが含まれていないCBD製品を選ぶようにしましょう。

CBDやCBDオイルを摂取する際の注意点は?

ここまでで、CBDに抗酸化作用があることや、CBDオイルにビタミンEが含まれている可能性があることをお伝えしました。

しかし、CBDやCBDオイルの摂取はメリットの部分が大きいものの、注意しなくてはならないポイントもあります。

ビタミンEとCBDは相互作用する?

注意点のひとつは、ビタミンEとCBDに潜在的に存在する相互作用です。

ビタミンEは肝臓に多く存在するシトクロムP450という酵素群による代謝を受けます。

マウスを用いた実験では、シトクロムP450の一種である酵素の遺伝子を破壊すると、ビタミンEの代謝に大きな障害が出ることが分かりました。

一方で、CBDはこのシトクロムP450の働きを抑えてしまいます。そのため、原則的に悪影響があまりないと言われるCBDですが、シトクロムP450による代謝・分解を受ける薬剤との同時摂取は控えた方が良いと言われています。

とはいえ、CBDとビタミンEの同時摂取による悪影響は今のところ確認されていませんので、その意味では安心です。

高用量のCBDが肝臓に悪影響を与える?

CBDとビタミンEの組み合わせによる悪影響は現在認められていません。

高用量CBDの摂取による肝臓への悪影響の可能性は、マウスを使った実験では示唆されています。ただし、ヒトではそのような影響は今のところ確認されていませんので、過度に心配する必要はないでしょう。

さらに、文献によるとCBDを最大一日1,500mg摂取しても身体に害を及ぼさないことが報告されています。

CBD1,500mgは、15%・10mlのCBDオイルのボトルで計算すると1本分に相当します。

一度に1本分という高用量を摂取することはほとんどないと思いますので、その点では安心できます。

ただし、むやみに高用量を摂取するのではなく、効果が出る自身の量を知ることが大切です。

CBDの効果の出方は人それぞれであるため適量については個人差があります。個々人の適量の見極め方についてはこちらで紹介していますので、よければご参考いただければと思います。

初心者必見!CBDやCBDオイルの摂取量は?含有量の計算方法も解説!初心者必見!CBDやCBDオイルの摂取量は?含有量の計算方法も解説!

本当にその製品にビタミンEが含まれているか

「CBDオイルでビタミンEも摂取したい」

という方にとってやはり一番注目すべき点は、そのCBDオイルにどのくらいビタミンEが入っているかではないでしょうか。

先述の通り、CBDオイルの種類によってヘンプ由来のビタミンEが含まれているものといないものがあります。

また、天然由来のキャリアオイルには基本的にビタミンEが含まれていますが、オイルの種類やそのCBD製品によっても、含有量は異なる可能性があります。

どのくらいのビタミンEがそのCBDオイルの中に含まれているのか (あるいは本当に含まれているのか) は、消費者が自ら調べておく必要があります。

具体的には、販売メーカーに直接問い合わせたりすると良いでしょう。

CBDオイルのみに頼らず、きちんと日々の食事から栄養を摂取する

CBDオイルにビタミンEがどれだけ入っていたとしても、それで事足りるわけではありません。

やはり日々の食事から栄養を補給することは大切です。

また、一度使用されたビタミンEは、ビタミンCなどの抗酸化物質によりビタミンEに再生されることが知られています。

つまり、ビタミンEは単体よりもビタミンCと同時摂取することで、よりその効果を高めることができます。

このことからも分かるように、ひとつの成分にこだわるのではなく、さまざまな栄養をバランスよく摂取することも健康のためにはとても重要です。

CBDオイルは健康にとても役立つアイテムですが、やはり根底には日々の食生活があり、CBDオイルはサプリメントとして補助的に使うという意識を忘れないことが肝要です。

同じビタミンEでも、ビタミンEアセテートには要注意!

最後に、最近の報道や研究で指摘されていることから、ご注意いただきたい内容をご紹介します。

アメリカでVAPEと呼ばれる電子タバコを使用したことが原因と思われる死亡事故が相次いで起きました。

VAPE使用後数日から数週間で重度の呼吸器疾患になり、2019年11月の報道によれば、これまでに少なくとも42人が死亡、2,200人近くの症例が確認されたということです。

このことを受け、アメリカでは電子タバコに有害な物質が含まれているかどうかの調査が行われました。

調査の結果、電子タバコに含まれ得るある成分が原因物質なのではないかと言われるようになりました。

その物質とはビタミンEアセテートです。

ビタミンEアセテートは、ビタミンEの酸化を防止するために、エステル化という化学修飾を施したものであり、化粧品やサプリメントにも使われています。

吸入しない限り問題はないとされていますが、これを吸入すると肺に悪影響があるという見解が、専門家の間では広がっています。

実際に、ビタミンEアセテートが蒸発すると、有毒なガスが生成され肺を損傷する一因となる可能性があると報告されています。

VAPEなどの電子タバコの中には、このビタミンEアセテートが含まれている製品があります。CBD製品においても、CBDリキッドはVAPEで気化して吸引摂取するものですので、注意が必要です。

しかしながら、日本で販売されているCBDリキッドやその他VAPE製品は、人体に無害とされる成分が使われ、ビタミンEアセテートが含まれている製品はあまり流通していないとの見方もあります。

しかし、当然ながら日本でもそのような製品に出会う可能性がないわけではありません。

ビタミンEアセテートは、私たちが普段食事などで摂取する天然のビタミンEとは別物です。CBDオイルなどに含まれるビタミンEには害はありませんのでご安心ください。

ただし、ビタミンEアセテートは日用品やサプリメントにも使用されており、比較的身近な物質です。特に、CBDリキッドを使用している方は警戒をされた方が良いかもしれません。

関連文献

CBDとビタミンEに関して皆様から頂いた質問

CBDやCBDオイルはビタミンE欠乏症の症状改善に作用しますか?(30代女性)

過去のラットを用いた研究では、CBDにはビタミンEと同様に生体の酸化を防止する抗酸化作用が期待できることが示唆されています。しかし、まだ研究数が少ないため、更なる研究に期待しましょう。

ビタミンEとCBDの同時摂取は相互作用しますか?(30代男性)

ビタミンEは肝臓に多く存在するシトクロムP450という酵素群による代謝を受けます。一方で、CBDはこのシトクロムP450の働きを抑えてしまいます。そのため、シトクロムP450による代謝・分解を受ける薬剤との同時摂取は控えた方が良いでしょう。ただし、CBDとビタミンEの同時摂取による悪影響は今のところ確認されていませんので、心配しすぎる必要はないでしょう。

高用量のCBDは肝臓に悪影響ですか?(40代男性)

ヒトではそのような影響は今のところ確認されていません。また、ヒトがCBDを一日1,500mg摂取しても身体に害を及ぼさないことが報告されています。CBD1,500mgというのは、10ml・15%のCBDオイルで1本分に相当し、普段の生活においてこれだけのCBDを摂取する事は考えにくいため心配しすぎる必要はないでしょう。