クローン病とは?IBDの一種?
クローン病とは、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory bowel disease)のひとつで、日本にはおよそ4万人の患者がいます。
主に10代や20代の若年層の男女が発症しやすい病気であり、中高年以降の発症はほとんど報告されていません。
クローン病は口腔から肛門までの全消化管内に潰瘍や炎症が発生する可能性があり、小腸が特に発生しやすいと言われています。
症状は腹痛や下痢、発熱、食欲・体重減少などがあり、長期化すると腸管悪性腫瘍となることもあります。
原因は解明されていませんが、欧米諸国の患者数が非常に多いことから、免疫異常や遺伝的要因に加えて欧米型の食生活などが関係しているのではないかと考えられています。
現在、日本でも海外でも完治させるための治療法はありません。重症度によって治療の選択は変わりますが、症状を抑えながら日常生活を送れるよう、栄養療法や薬物療法の内科的治療と、必要に応じて外科治療が行われます。
薬物療法では、抗生物質や抗炎症薬、ステロイド薬、免疫抑制剤などが処方されます。またこれらの薬物療法を続けても効果がない場合、炎症を引き起こす特定の細胞の増殖を阻害する分子標的治療が行われることもあります。
一度症状が無くなって完治したように見えても再発する可能性が高く、アメリカでは60〜75%のクローン病患者が、ある時点で大腸切除などの手術が必要とされています。
CBDやCBDオイルはクローン病に効果がある?
体内には、様々な機能を調節するエンドカンナビノイドシステム(ECS)があり、アナンダミド(AEA)や2-AGなどの内因性カンナビノイドがCB1やCB2などの全身に存在するカンナビノイド受容体に作用します。
CBDやCBDオイルは大麻草などから抽出されるカンナビノイドという種類の天然成分ですが、摂取すると内因性カンナビノイドの量を増加させたり、体内の様々な受容体に作用したり、反対に阻害したりする作用があります。
これらの作用によって鎮痛作用や抗炎症作用、心身をリラックスさせる作用など体にとって様々な良い効果があります。また、数々の難病への有効性も確認されています。
CBD以外のカンナビノイドでは、精神を興奮させるTHCが知られていますが、THCもCBDと同じく様々な病気の症状や治療に有効であるとされています。
アメリカでは多くの州で医療大麻が解禁となっていますが、クローン病患者を含む多くのIBD患者が疼痛や炎症などの症状を緩和する目的で、医療用大麻やCBDオイルなどを使用した経験があります。
ほとんどの患者は医療大麻やCBD、CBDオイルによって症状が緩和されたと感じているようです。
しかし、過去に行われた人を対象とした研究では、CBDやTHCなどのカンナビノイドはIBDの症状を軽減するようですが、炎症を示す血液検査の数値や内視鏡の所見では改善の兆候は見られていないことがほとんどです。
実際に、腸の炎症が持続していても、腹痛や下痢などの症状は改善されることがあるようです。
現在も研究は続けられており、CBDが腸の炎症を改善する手がかりは、マクロファージから産生されるTNFα(腫瘍壊死因子)を抑制する作用と、活性化により抗炎症作用を示すPPARγへの作用だと考えられています。
また、全身の臓器にはGPR55と呼ばれる受容体が存在しています。GPR55はまだ解明されていない部分が多いですが、消化器官にも存在しており、活性化すると腸管の炎症を引き起こすとされています。
CBDはこのGPR55を阻害する作用が確認されています。これにより、消化管組織の炎症を引き起こすマクロファージの活性化や移動を抑えることが研究により報告されています。
他にも、CBDアイソレートと呼ばれるCBDだけを単体で摂取するよりも、フルスペクトラムやブロードスペクトラムなど、ビタミンや他のカンナビノイド類などが含まれたCBDオイルの方が効果があるとのことです。
ある研究では、CBDやTHCよりも別のカンナビノイドであるCBGの方がIBDの治療に効果があったとする報告もあります。
現段階での50以上に及ぶ動物と人を対象とした実験では、3分の2の研究でカンナビノイドはIBDに有効であるとしています。また、炎症の早い段階でのカンナビノイドの摂取がより良い結果につながると結論づけています。
しかし、まだカンナビノイドがクローン病などのIBDに効果があるという確証はありません。そのため、CBDやCBDオイルによって症状の軽減を感じたとしても、医師の指示なしに治療を中止することは危険です。
CBDやその他のカンナビノイドの研究は、まだ十分に数があるとは言えない状態であるにも関わらず、その人気は急速に広まっています。一部の医師はそれらが万能薬であるかのように過信されていると警鐘を鳴らしています。
必ず医師の診察を受けて指示に従うようにしてください。
CBDやCBDオイルに副作用はある?
CBDやCBDオイルは副作用は少ないとされています。現在確認されている副作用は下痢や口渇、食欲の増加などがあります。適量の摂取であればほとんど副作用の心配をする必要はないでしょう。
しかし、病気の治療等で大量に摂取をすると肝臓の機能を低下させることも報告されています。
また、副作用ではありませんが、CBDは催眠効果があるため日中に摂取すると眠気やふらつきなどを感じる場合もあります。CBD摂取後は機械の操作や車の運転などはなるべくお控えください。
また、他の薬との相互作用を示すことがあります。CBDは肝臓内でシトクロム450(CYP450)という薬の代謝に関わる酵素の働きを阻害し、薬効を増強します。
CYP450はおよそ80%の薬の代謝に関わっていると言われています。そのため、医師から処方された薬を内服しながらCBDやCBDオイルを摂取すると危険な副作用なども増強される恐れがあります。
内服薬がある場合は医師の診察を受けてからCBDやCBDオイルの使用を開始するようにしてください。
CBDやCBDオイルの最適な摂取量の見つけ方を解説します!
CBDやCBDオイルの必要な摂取量や効果の現れ方は個人差があります。そのため、CBD製品には目安の量が書いてありますが、少なくても効果を感じる方もいますし、さらに多くの量が必要な方もいます。
初めてCBDやCBDオイルを摂取をされる方は、一日10mgから摂取するようにしてください。摂取後すぐに効果を感じる方もいますが、効果が現れるまでに数日から数週間かかる場合もあります。
すぐに効果が出ない場合は数日続けて、10mgから少しずつ増量を試みてください。
また、10mgでもふらつきが出たり眠気が強いなどの不調を感じたら、減量するようにして下さい。
安倍元首相もCBDオイルを摂取している!?
クローン病と混合されやすい疾患に、IBDのもう一つの病気である潰瘍性大腸炎(UD:Ulcerative disease)があります。
症状などはクローン病と似ていますが、潰瘍や炎症が大腸に限局しています。また、中高年の発症も近年では増加してています。UDも原因や治療法が確立されておらず、厚生労働省によって特定疾患に指定されています。
現内閣総理大臣の安倍晋三氏が2007年、第一次安倍内閣の任期途中で辞職をした際に、この病気の名前を聞いたことがある方も多いと思います。この時はステロイドを使って治療を行ったそうです。
2018年の週刊誌の記事で、安倍元首相が海外から輸入したCBDオイルを使用していると報道されました。安倍元首相自身は2012年に再就任以降、持病やCBD製品の使用については一切公表していません。
しかし、首相夫人の安倍昭恵氏は医療用大麻の解禁や産業用ヘンプの栽培などに対し積極的に支持する発言を行ってきました。医療用大麻によるてんかんや糖尿病の治療効果についても訴えています。
また、CBD製品の製造・販売会社である某海外企業の創始者とも交流があり、「首相夫人が夫の病気治療のためにCBDを選んで光栄である」と発言しています。
以上のような記事から推測して、安倍元首相が現在CBD製品を使用していても不思議ではありません。
UDの発症には強いストレスも関わっていると言われています。再就任から今年で8年ですが、ストレスが非常に多いと想像できる環境で、一度もUDが再発していないことから、CBD製品の使用については信憑性があります。
関連文献
- 難病情報センター_クローン病(指定難病96)
- Marijuana Use Patterns Among Patients with Inflammatory Bowel Disease
- Cannabis Induces a Clinical Response in Patients With Crohn's Disease: A Prospective Placebo-Controlled Study
- Cannabidiol Reduces Intestinal Inflammation through the Control of Neuroimmune Axis
- An update on PPAR activation by cannabinoids
- The GPR55 antagonist CID16020046 protects against intestinal inflammation
CBDとクローン病に関して皆様から頂いた質問
緊張する場面でよくお腹を下してしまいます。CBDはそのようなときでも役に立つでしょうか?(20代男性)
CBDにはリラックスさせる作用があることから、緊張する場面でも気を和らげることによって下痢を抑えることができる可能性があります。ただし、その下痢が緊張によって引き起こされたものとは限らないため、一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。
慢性的な下痢に悩まされています。CBDを摂取してみたいのですが、注意するべき点はありますか?(30代女性)
慢性的な下痢の場合、なにかの疾患を患っている可能性があります。まだまだCBDに関する研究の例は少ないため、CBDを摂取するのではなく、一度医師に相談してみることをおすすめします。