CBDやCBDオイルはADHDに作用する?子どもが摂取してもよい?

CBDやCBDオイルはADHDに作用する?子どもが摂取してもよい?

ADHDは子供から大人まで幅広く見られる疾患です。本記事ではADHDの症状や治療法、治療薬について説明した上で、CBDやCBDオイルがADHDに効果があるのか、CBD製品をADHDを患う子どもに使っても安全なのか、またCBD製品の副作用や使用方法などについて説明しています。
この記事はこんな方におすすめ!
  • CBDはADHD(注意欠如・多動症障害)に作用するのか知りたい方
  • CBDオイルを子どもが摂取する場合の影響が心配な方
  • ADHDの子どもにCBDの摂取を検討している方

ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?ドーパミンと関連している?

ADHD(注意欠陥多動性障害)とは、先天的な脳の障害で、その名の通り注意力が低かったり多動性の症状が現れたりする発達障害の一種です。

ADHDの症状

ADHDと一口に言ってもその症状は、人によって、また年齢によって変わります。

ADHDの症状には以下のタイプがあります。

  • 不注意によるミスが多かったり、居眠りをしたり、忘れ物が多かったりするなどの不注意性が強く見られるタイプ
  • 長い時間じっと座っていられなかったり、順番を待てなかったりするなどの多動性・衝動性が強く見られるタイプ
  • 不注意性と多動性が混合で見られるタイプ

一般的に子どもの頃は比較的多動性・衝動性が目立ち、大人になると多動性が目立たなくなることが多いため、相対的に不注意性が目立つようになると言われています。

ADHDを患う子どもは、不注意性や多動性などの症状から能力的に劣っている、真剣さが足りないと誤解されたり罵倒されたりすることが多いため、二次的にうつ症状を引き起こしたり、反抗や非行に走ったりする子どもが少なくありません。

また、子どもの時にADHDの症状が目立たなくても、大人になり協調性が必要な社会に出ることにより、自分が社会に適合できないことを自覚し始め、ADHDの症状に気付く人も多いです。

ADHDのメカニズム

ADHDのメカニズムは、まだはっきりと解明されていません。

分かっているのは、ADHDが先天的な脳の機能的障害で、脳内の神経伝達物質であるドーパミンとノルアドレナリンの働きが生まれつき低下していることでADHDの症状が起こっているということです。

ドーパミンは、自分が今するべきことを正しく判断するときに分泌される物質です。ドーパミンの働きが低下すると待つべき時に待てなかったり、寝てはいけない時に寝てしまったりなどの症状が現れます。

また、ノルアドレナリンは衝動性を抑制する作用があり、計画を立てて目的を達成するときにドーパミンとともに分泌される物質です。

ドーパミンやノルアドレナリンの働きが低下すると、衝動的になったり、仕事や宿題の優先順位を考えられなかったり、計画を立てて実行できなかったりという症状につながります。

ADHDの治療(行動療法と薬物療法)や治療薬

ADHDの治療法には大きく分類すると、行動療法と薬物療法に分けることができます。それぞれ具体的な治療法も含めて解説します。

認知行動療法や家族療法を含む行動療法

ADHDの治療は、周囲の認識と自分自身に対する認識を変えることから始めるのが一般的であり、このような治療法は行動療法とも言われています。

たとえば、ADHDは本人の不真面目さや両親からのしつけのせいではないことを周りに認識させることで、不当に叱ったり罵倒したりすることによる二次的な障害を起こさないための環境を作ります。

ADHDのお子さんを持つ場合、親は家庭内コミュニケーションを心がけて本人の行動を管理したり、1人で悩みを抱え込まないようにサポートする家族療法が大切です。

また、本人がADHDという障害を持っていることを認識し、ネガティブな思考・行動パターンを変えることに意識を向けてみたり、人との関係や社会との関わりを少しずつ学んでいく等の認知行動療法も症状改善にとても効果的です。

薬を服用することで改善を図る薬物療法

次に、薬物治療も考慮して症状をさらに抑えられるように検討します。

一般的に使われているADHDの治療薬は、コンサータ、ストラテラ、インチュニブという薬です。

コンサータは脳内のドーパミンの働きを強める薬で多動性や衝動性、日中の眠気や集中力の低さなどを改善する作用があります。

それに対してストラテラとインチュニブはノルアドレナリンの働きを主に強めることで、不注意性や多動性、衝動性に効果がある薬です。

中でもインチュニブは感情に対する効果も期待でき、機能不全の状態の脳を良い方向に導く働きがあります。

CBDはADHDに対して作用する仕組みとは

CBDがADHDに作用する仕組みを解説します。

CBD(カンナビジオール)とは?精神的依存性はある?

CBD(カンナビジオール)とはカンナビス(麻)に含まれる成分であり、不安の軽減やリラックス効果、痛みの緩和など幅広い効果があるため、近年日本でも注目度が高まりつつあります。

麻や大麻と聞くと、薬物として危険な印象があるかもしれません。
しかし、CBDにはTHC(テトラヒドロカンナビノール)のようなハイになる(高揚感を引き起こす)ことも中毒症状や不安を誘発することもないとされているため、日本でCBDは大麻取締法で規制対象にはなっておりません。(2024年11月現在)

規制対象になっていない=法の下で安全に使用できるということですから、CBDにはもちろん精神的依存性はありません。

THCとの違いやCBDの違法性・安全性

THCとCBDは同じ大麻草から採れるにもかかわらず、化学的構造と性質が異なっており、全く別の成分です。この化学構造の違いがそれぞれがもたらす効果の違いであり、安全性や違法性においても差が生まれるのです。

先ほども説明した通り、THCには精神活性作用や依存性があるため、日本では違法性がある成分として販売や所持・使用は禁止されています。

一方で、CBDにはTHCが持つような危険な作用はありませんので、処罰対象にはなりませんし、安全に使用することが許されています。

一般的に期待できるCBDの効果

CBDには、人間の気分やストレスなどの感情を調節する役割を果たす受容体(エンドカンナビノイドシステム: ECS)や、セロトニン受容体と相互作用する働きがあります。

そのため、CBDは不安・ストレス軽減や睡眠の質改善といった精神的・感情的健康に効果的です。

また、CBDは抗炎症作用があり、体内で炎症を引き起こすサイトカインやプロスタグランジンの生成抑制効果も持っています。関節炎や筋肉痛などの痛みの緩和のほか、ニキビや湿疹など肌の不調を含む身体的な健康にも効果を発揮します。

CBDのADHDに対する効果について

CBDがADHDの症状緩和に効果がある可能性がありますが、残念ながらこのことを裏付ける科学的証拠はまだ十分にありません。

2017年に行われた小規模研究では、大麻によって自己治療している成人を調査していますが、衝動性や多動性にわずかな改善はあったものの、大麻が効果的にADHDを改善しているとは言えない結果になりました。

また、この研究のようにADHDとCBDに関する現在の研究のほとんどは、CBD単体ではなく大麻を使用した研究です。

つまり、衝動性や多動性にわずかな改善が見られてもそれがCBD自体の効果ではなく、CBD以外の大麻成分による効果という可能性も十分に考えられます。

CBDがADHDと関連していると考えられている理由は?

現段階では研究が十分でないのにもかかわらず、なぜCBDがADHDと関連していると考えられているのでしょうか。

その理由の1つ目は、ADHDにCBDオイルを使ったところ落ち着きのなさなどの症状が改善されたという人々の口コミです。これはあくまでも噂に過ぎませんが、CBDのADHDに対する効果を期待するきっかけになっています。

そして2つ目は、ADHDの症状の一つとされる不安をCBDが軽減すると考えられていることが挙げられます。

2016年の研究によると、実際にCBDが子供の不安や睡眠を改善することが報告されています。

これらの理由によりCBDとADHDの関連性が注目されているのですが、その証明のためにはさらなるCBD単体での研究が必要です。

少なくとも現時点では、CBDのADHDに対する研究が不十分であることから、ADHDの治療を勝手にCBDに置き換えることは絶対にしないでください。

CBDをどのくらい摂取すればADHDに効果があるのか

ADHDの治療に必要なCBDの適正摂取量は人によって異なりますし、効果をどの程度感じられるのかにも個人差があります。

CBDは比較的人間の身体に安全な成分であり劇薬ではありません。つまり、摂取したからといってすぐに劇的な変化を感じられるとは限りません。適正量を長期的に摂取し続けることで効果を感じられるものです。

摂取量が多ければ多いほど効果を感じられるわけではありませんので、CBD製品やCBDオイルのラベルに記載されている推奨摂取量を守りましょう。

CBDやCBDオイルに副作用はある?

CBDやCBDオイルは安全性が高く、深刻な副作用は報告されていません。

どんなに安全な薬でも必ず副作用があるのと同じようにCBDにも副作用があるとされています。しかし、報告されているCBDの副作用は、強い眠気や口渇、下痢や食欲・体重の変化、倦怠感など軽度な副作用が主です。

また、これらの副作用はCBDを摂取したからといって必ず起こるものということではありません。副作用が起こる可能性は低いので過剰に心配する必要はないと言えます。

万が一副作用が起こってしまった場合は、CBDの摂取量を減らしたり、CBDの摂取を一旦中止したりして様子を見ましょう。重度の副作用が出てしまったときや、CBDを中断しても症状が治まらない時は医師の診察を受けてください。

また、ADHDを患っていたり、すでに薬を服用している場合には、CBDを摂取する前に医師に相談してアドバイスをもらいましょう。

CBDオイルは未成年に害はある?ADHDの子どもが摂取してもよい?

CBDと子ども

CBDオイルは安全性の高いものですが、CBD自体がADHDに効果があるかどうかは研究が不十分なためまだ分かりません。

また、CBD自体の研究もまだ日が浅いことから、特に子どもが摂取すべきCBDの用量を決めることがまだ難しい状態である上に、子どもが服用している薬とCBDが相互作用を起こしてしまう恐れもあります。

このような理由から、ADHDの子供に対してはまだCBDオイルを与えないほうがよいと言えるでしょう。

何歳からCBDやCBDオイルを安全に摂取できるのか?

日本では2024年時点で、CBDに法的に定められた年齢制限などはありません。

先ほども説明した通り、CBD製品の子供への使用は推奨できないですが、一般的には成人(18歳以上や20歳以上)であれば使用しても安全性に大きな問題はないでしょう。

CBDやCBDオイルは何歳から摂取 しても大丈夫?年齢制限はある?未成年や子供のCBDオイルやベイプの使用は可能?何歳から大丈夫なの?

CBDオイルの使用方法を解説します!

CBDオイル

CBDオイルの使用方法は主に、経口摂取、舌下摂取、VAPE(ベイプ)による摂取が挙げられます。

経口摂取は内服薬と同じように口から飲む方法です。経口摂取は一番簡単にCBDを摂取できる方法ですが、CBDの体内吸収率が悪いというデメリットもあります。

舌下でのCBD摂取は舌の下にCBDオイルを垂らして90秒から2分間維持して摂取する方法で、舌下から吸収されなかったCBDオイルは経口摂取と同じように飲み込みます。

CBDの舌下摂取は、CBDが舌の裏側の太い血管から直接吸収されるため、経口摂取よりもCBDの吸収率が高いですが、舌の下にCBDを滴下しなければならないためスポイトが見にくく、CBDを摂取しにくいと感じるかもしれません。

舌下摂取に慣れるまでは洗面台などの鏡を見ながら摂取することをおすすめします。

ベイプは電子タバコやアークペン、気化器などを使って、気化したCBDを直接肺に吸収させる方法です。ベイプでCBDを摂取すると吸収率が高く即効性があるというメリットがあります。

ただし、ベイプを使用できる場所が限られていますので吸入する際には注意しましょう。

関連文献

CBDのADHDへの作用に関して皆様から頂いた質問

CBDはADHDに作用するのでしょうか?不安なためエビデンスもお聞きしたいです。(30代男性)

CBDがADHDの症状緩和に作用する可能性はありますが、裏付ける科学的証拠はまだ十分にありません。そのため、証明のためにさらなるCBDの研究が必要です。少なくとも現時点では、CBDのADHDに対する研究が不十分であるので、ADHDの治療を勝手にCBDに置き換えることは絶対にしないでください。

CBDは、ADHDの子供が摂取することはできますか?(30代女性)

CBDは安全なものだとされていますが、CBDがADHDに作用するかどうかは研究が不十分なためまだ分かっていません。また、CBD自体の研究もまだ日が浅いことから、子どもが摂取すべきCBDの用量を決めることがまだ難しい状態です。子どもが服用している薬とCBDが相互作用を起こしてしまう恐れもあります。このような理由から、ADHDの子供に対してはまだCBDオイルを与えないほうがよいでしょう。

CBDには何か副作用はないのでしょうか?(20代男性)

CBDは深刻な副作用は報告されていませんが、CBDによって強い眠気や口渇、下痢や食欲・体重の変化、倦怠感などの軽度な副作用が現れることがあります。これらの副作用はCBDを摂取したからといって必ず起こるものということではありません。副作用が起こる可能性は低いので過剰に心配する必要はないと言えます。万が一副作用が起こってしまった場合は、CBDの摂取量を減らしたり、CBDの摂取を一旦中止したりして様子を見ましょう。重度の副作用が出てしまったときや、CBDを中断しても症状が治まらない時は医師の診察を受けてください。