CBDやCBDオイルはデパス(エチゾラム)の代わりになりうるか?

CBDやCBDオイルはデパス(エチゾラム)の代わりになりうるか?

デパス(エチゾラム)は飲んだことがない人でも名前を聞いたことがあるほど、病院やクリニックなどで多く処方されている薬ですが、メリットやデメリットは何でしょうか。本記事ではCBDやCBDオイルがデパス(エチゾラム)の代わりになるかを解説します。

そもそもデパス(エチゾラム)はどんな薬?

デパス(エチゾラム)は精神科領域の疾患の治療において広く使われている薬です。向精神薬として知られているベンゾジアゼピン系のうちの一種です。正確にはエチゾラムは「薬剤一般名」で、デパスはその「製品名」です。

現在では多くのエチゾラムのジェネリック(後発薬)が存在しており、必ずしも「エチゾラム=デパス」ではありませんが、デパスが一番最初に開発されたためエチゾラムよりもデパスの名称が一般に広く浸透しています。

ペンゾジアゼピン系の薬は「抑制系の神経伝達物質」であるGABA受容体を活性化することでGABAの分泌を促進し脳の機能を低下させます。

それにより鎮静作用、催眠作用、筋弛緩作用、陶酔作用、抗不安作用などをもたらします。

デパス(エチゾラム)が投与される代表的な疾患にはうつ病や統合失調症、不安神経症などがあり、患者の睡眠障害、不安、緊張などの症状が強い場合に使用されます。

ベンソジアゼピン系の薬を服用するメリット・デメリットは?

ベンゾジアゼピン系の薬は「使い方を間違えなければ魔法のような薬」と言われています。

ベンゾジアゼピン系の薬の特徴として、作用時間は長くはありませんが効果の発現までの時間が短く、非常に強い効果を実感できることがあげられます。

デパス(エチゾラム)は服用から約3時間で血中濃度が最も高くなり、6時間後にほとんどの薬が体外に排泄されると言われてます。このような特性はどのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。

ベンゾジアゼピンの効果を最大限有効活用できる症状は睡眠障害と言われています。

メリット1:催眠作用が強い

上述した薬の特性からデパス(エチゾラム)は様々なタイプの睡眠障害に適応しています。

就寝後すぐに効果が現れるため入眠障害に有効であり、睡眠中に薬の効果が最大となるため中途覚醒が起きにくく、起床後には体外から排泄されるので日中における強い眠気などの副作用が起きづらいとされています。

そのため睡眠薬として「1日に一度」就寝前に使用する分には有効であると考えられています。

メリット2:不安の緩和

ベンゾジアゼピン系の薬は抗不安薬としても効果が高く、パニック障害などの強い不安を緩和することができます。

また、不安が強いと寝付きが悪く睡眠障害を悪化させることがありますが、不安を軽減することで入眠を助ける効果もあります。

メリット3:身体の緊張の緩和

不安や精神的緊張などが強いと肩こりや頭痛などが引き起こされることが多く、これらも睡眠障害の原因ともなります。

ベンゾジアゼピン系の薬には筋肉の緊張を軽減する筋弛緩作用があり、肩こりや頭痛などの改善にも有効とされています。

以上、メリットを挙げていきました。ベンゾジアゼピン系の薬は睡眠補助の目的以外にも使用されています。睡眠に対してはメリットであることも、場合によってはデメリット(副作用)となることがあります。

上述したように、ベンゾジアゼピンは作用時間が6時間程度であるため、日中に服用して効果を得るには一日に複数回の服用が必要となります。

薬を摂取する回数が増えると以下のような様々な副作用が生じる可能性があります。

デメリット1:薬剤耐性ができる

薬剤耐性とは、同じ薬を飲み続けることで身体が慣れてしまい薬の効きが悪くなった状態です。

ベンゾジアゼピン系の薬では、鎮静作用や催眠作用、筋弛緩作用などは早い段階で薬剤耐性ができ、抗不安作用も半年ほど使用すると効果が実感できなくなるとされています。

デメリット2:依存性がある

ベンゾジアゼピン系の薬を摂取すると強い効果を速攻で実感することができますが、作用が長時間持続しません。また上述したように薬剤耐性もできやすい薬です。

このような特性から、強い効果を求めて一日に何度も多量に摂取するようになり、薬物依存症となりやすくなります。

現在日本では睡眠薬・抗不安薬の依存症患者は覚せい剤に次いで多く、その中でも特にデパス(エチゾラム)の依存者は睡眠薬・抗不安薬依存症患者の10人に1人の割合と言われています。

デパス(エチゾラム)は幅広い作用があるために神経内科や心療内科だけでなく、一般内科や整形外科など様々な診療科で簡単に処方されることも背景にあると言われています。

デメリット3:離脱症状がある

非常に作用の強い薬であるため、多量のデパスを服用した後に急に服用を中断したり、急に大幅に薬減量してしまうと心身に激しい「離脱症状」が生じます。

頻繁に生じる離脱症状は、睡眠障害や不安、筋肉のけいれん、消化器症状、震え、幻覚、妄想、認知障害、記憶障害などが報告されています。

デメリット4:その他多くの副作用がある

デパス(エチゾラム)の代表的な作用である強い催眠作用は睡眠時には効果的ですが、日中に飲むと当然眠気が生じてしまい勉強や仕事などの日常生活に影響を及ぼすことになります。

そのため、抗不安薬として日中に服用すると催眠作用は「副作用」としての側面が強くなります。

眠気以外にも以下のような副作用症状が報告されています。

  • 精神神経症状:不安、倦怠感、ふらつき、頭痛、震え、興奮など
  • 呼吸器症状:呼吸抑制、呼吸不全など
  • 悪性症候群
  • 肝機能障害
  • 横紋筋融解症など

CBDやCBDオイルはデパスの代わりとして摂取することができる?

CBDと医薬品
近年人気上昇中のCBDやCBDオイルは、デパス(エチゾラム)の代わりとして摂取できるのでしょうか。

そもそもCBDやCBDオイルとは?

CBDやCBDオイルの作用
CBDは大麻草などの植物から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一種です。CBDは私たちの身体調節機能の調節に関わるエンド・カンナビノイド・システム(ECS)を活性化します。

ECSは炎症や疼痛、不安、ストレス、睡眠、食欲などを調節する役割があります。

本来ECSは全身に発現するCB1やCB2などのカンナビノイド受容体に、内因性カンナビノイドであるアナンダミド(AEA)や2-AGなどが作用することで機能しています。

CBDはCB1やCB2を直接活性化するのではなく、AEAや2-AGを破壊する酵素を抑制することで体内での分泌量を増加させたり、ECS以外の様々な神経伝達物質受容体を活性化したり阻害したりする役割があります。

CBDオイルは、原料である麻などの植物から抽出されたCBDをオリーブオイルやココナッツオイルなどのキャリアオイルと混合したCBD製品です。

CBDやCBDオイルは一つ前の項目で解説したベンゾジアゼピン系の薬の効果・効能と類似している部分があります。

CBDやCBDオイルの睡眠、不安、緊張に対する有効性について見ていきましょう。

睡眠障害を改善する

現在、日本で医師がデパス(エチゾラム)を処方する症状として最多であるのが睡眠障害ですが、CBDやCBDオイルはどのように睡眠障害を改善するのでしょうか。

CBDは体内の様々な受容体に働きかけますが、デパス(エチゾラム)と同じようにGABA受容体にも働きかけることで鎮静作用や抗不安作用などをもたらします。

他にも心身をリラックスさせたり幸福感を感じさせたりするセロトニンを分泌する受容体(5-HT1)を活性化したり、眠気を生じさせる物質であるアデノシンを間接的に増加させる作用などがあります。

睡眠は一つだけのホルモンや神経伝達物質などによって引き起こされているのではなく、このように多くの物質が関わっています。

睡眠に複数の物質が関わっているのは、病気などで一部の物質などが体内で機能しなくなった場合でも、他の機能で睡眠を補助するためのバックアップとも言われています。

CBDはこれらの睡眠に関する複数の神経伝達物質に働きかける特性があるため、睡眠障害の改善に対して優れていると言えるでしょう。

これまでにCBDと睡眠障害の関係性については数多く研究されています。

CBDによって入眠を容易にしたり、睡眠の質を改善したり、睡眠時間を長くしたり、またREM睡眠(浅い眠り)の間に生じる悪夢や睡眠の質を低下させる身体の無意識の動きを抑制したことなどが報告されています。

不安を軽減する

不安に対してもCBDが様々な物質に作用する特性が関わっています。

上述したような心身をリラックスさせて幸福感を感じさせるセロトニンや鎮静効果のあるGABAもそうですが、他にも内因性カンナビノイドであるAEAは精神科領域において非常に重要な物質と言われています。

アルツハイマー病やうつ病、心的外傷後ストレス性障害(PTSD)などの疾患と関わりが大きい脳の「扁桃体」と「海馬」と呼ばれる部位には、AEAが作用するカンナビノイド受容体であるCB1が多く発現します。

扁桃体は不安や恐怖の感情を司る器官であり、海馬は記憶の整理や高次元の思考、感情、意欲などに関係する部位です。

扁桃体から海馬に不安や恐怖といった情報が伝えられると、海馬はそれらの記憶を大脳新皮質に定着させます。

海馬によって脳に定着した不安や恐怖の記憶は患者の不安をさらに強くさせます。また、精神的ストレスが持続すると最終的に海馬は萎縮したり神経が破壊されると言われています。

扁桃体や海馬に発現するCB1が活性化すると不安や恐怖が緩和されます。また、AEAは海馬のダメージを受けた部位に新たな神経の発生を引き起こし、さらに抗うつ作用があったことが報告されています。

つまり、AEAの分泌量を増加させるCBDやCBDオイルは、精神疾患患者の強い不安や精神的・身体的緊張を軽減することが期待できます。

過去に行われた様々な研究より、CBDやCBDオイルは不安の軽減に有効性が認められ、さらには副作用などの症状はほとんど報告されていません。
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緊張を緩和する

緊張に対してもCBDやCBDオイルが効果をもたらすことが報告されています。

2014年の研究より、心身が緊張状態にある被験者に対してCBDを使用し血圧と脈拍の変化を調べる研究が行われました。その結果、CBDやCBDオイルを使用する前後で血圧や脈拍に有意な低下が見られました。

緊張すると身体は心臓や脳へなどの重要な組織への血流量を増加させます。そのため、末梢の血管を収縮させることになり、末端組織の血流量が少なくなり全身の血流が悪くなります。

CBDやCBDオイルによって血圧が下げられると全身の血流の改善にも繋がり、デパス(エチゾラム)によってもたらされた筋弛緩作用のような身体のリラックスが期待できます。

デパス(エチゾラム)とCBDやCBDオイルの違いは?

CBDやCBDオイルとデパス(エチゾラム)は上述したように作用が似ている部分もありますが違いも多くあります。

摂取方法によって作用時間が違う

CBCの摂取方法
デパス(エチゾラム)の作用時間は6時間ほどですが、CBDやCBDオイルは摂取方法によって作用時間が変わってきます。

例えば、CBDを経口摂取すると効果が発現するまでに最大2時間ほどかかりますが、エディブル(CBD入り食品)などでは最大で12時間の効果持続が期待できます。

また、CBDを舌下などから粘膜摂取する場合は、効果が現れるまでの時間は15分〜1時間ですが、効果持続時間は4〜8時間になります。

CBDの吸収率(バイオアベイラビリティ)は経口摂取の方が少ないため、CBDの効果を得るには舌下摂取するよりも多くのCBDを摂取する必要があります。

CBDやCBDオイルの効果の感じ方は個人差があります。また、適切な摂取量も人によって違います。複数のCBD製品や摂取方法を試して、自身にあった摂取量や摂取方法を見つけると良いでしょう。
 

副作用が少ない

CBDやCBDオイルの副作用
CBDやCBDオイルはデパス(エチゾラム)よりも格段に副作用が少ないです。現在CBDの副作用として報告されている症状には下痢や口渇感、疲労感、強い眠気、食欲や体重の増加などがあります。

デパス(エチゾラム)の副作用と比較すると症状はマイルドなもので頻度は低いと言えるでしょう。

また、デパス(エチゾラム)の大きな問題である薬物依存症や、服用の中止による離脱症状などは、CBDやCBDオイルにおいては報告されていません。

しかし、推奨されている摂取量の何十倍・何百倍もの量を急に摂取したり、製品のパッケージに推奨されている摂取方法以外を試したりすると予期しない副作用が現れたり、肝機能障害を引き起こすことがあります。

安全性の高いCBDやCBDオイルであっても摂取量や摂取方法を守って慎重に使用しましょう。

CBDやCBDオイルは薬の効果を妨げる?摂取時の注意点は?

CBDは肝臓に存在するシトクラム450(CYP450)という薬の代謝・排泄に関わる酵素の働きを阻害することが分かっています。

そのため、CBDやCBDオイルとCYP450によって代謝・排泄される薬を同時に摂取すると、もう一方の薬剤が体内に留まる時間が延長され、薬の効果を増強する作用があります。

CYP450は現在医療現場で使用されている薬剤の60%以上が関わっているとされており、ベンゾジアゼピン系の薬剤も含まれています。

現在何か薬を内服している方は、CBDやCBDオイルと同時に摂取することができるかどうかを必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。

CBDやCBDオイルは薬の効果を妨げる?飲み合わせや相互作用は?CBDやCBDオイルは薬の効果を妨げる?飲み合わせや相互作用は?

CBDやCBDオイルはデパス(エチゾラム)の代用として使用できる可能性が高いです。

しかし、現在デパス(エチゾラム)を内服している場合は、自己判断で急に服薬を中止したり摂取量を減らしたりすると離脱症状などの副作用が現れます。

デパス(エチゾラム)からCBDやCBDオイルへ切り替えを検討する場合は、まず担当の医師に相談して薬をどのように減量するかを確認してください。

そして、医師の許可がでるまではCBDやCBDオイルなどの服用を開始しないでください。

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