CBDやCBDオイルはどのような作用が期待できる?
産業用大麻(ヘンプ)などの植物から抽出されるCBD(カンナビジオール)には、多くの健康へのメリットがあることがわかっています。
CBDの原料をMCTオイルやオリーブオイルなどのキャリアオイルに混合したものをCBDオイルと呼び、身体への吸収率の高さや摂取方法の幅広さから、最も普及しているCBD製品です。
CBDは私たちの身体に存在する疼痛や炎症、ストレス、不安、睡眠、食欲などを調節するエンド・カンナビノイド・システム(ECS)という仕組みに働きかけることがわかっています。
また、ビタミンCやビタミンEよりも強力と言われる抗酸化作用があったり、脳組織や神経組織を保護する作用があったりすることから、多くの疾患の治療ができることが期待されています。
そのため、CBDやCBDオイルは日常的に抱えている頭痛や不眠、食欲不振、不安、ストレスといった悩みの改善が期待されていることに加え、アメリカでは難治性の小児のてんかん発作の治療薬として処方されています。
CBDやCBDオイルのみにフォーカスしたエビデンスには限りがあるため、CBDやCBDオイルはてんかん以外には正式な治療薬としての処方は行われていませんが、代替医療としての期待値はすでに高いです。
今後より研究が進めば、CBDやCBDオイルがアルツハイマー病やがんなどの進行性の疾患の治療に使用されたり、副作用が強い治療薬の代わりとなったりすることがあるかもしれません。
CBDやCBDオイルに中毒の危険性や副作用はある?
現段階ですでに期待値が非常に高いCBDやCBDオイルですが、CBDが「大麻」から抽出されるという事実から、健康への影響を懸念される方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、CBDやCBDオイルに依存性はなく、用量や用法を遵守する限り副作用が生じる可能性も少ないです。
CBDの副作用をまとめた文献によると、1日に1,500mgのCBDを数週間続けて摂取しても健康に問題がなかったと報告されています。
通常CBDやCBDオイルの摂取量は1日に5〜50mg程度の摂取ですので、この実験での摂取量は非常に多いことが分かります。
もし病院で処方される薬や市販薬であれば、この程度の量を摂取すると肝臓や腎臓の機能の低下により最悪の場合は死ぬ可能性もあります。いかにCBDやCBDオイルが安全な成分かがわかります。
しかし、健康に問題がないといっても口渇感や吐き気、下痢、便秘、食欲・体重の増加や減退、強い眠気、疲労感などの軽微な副作用が現れることがあります。
CBDの適切な摂取量は個人差があるため、上記のような症状を感じた場合は量を調節したり、また口渇感であれば水分を摂取したりすることで防げることもあります。
そして、CBDの副作用には食欲の「増加」と「減退」、「下痢」と「便秘」など相反する症状があるに気がつくと思います。
この原因には、CBDの役割は身体機能の「調節」であるためどちらも起こりうるということにあります。
副作用とはそもそも「望ましくない作用」であり、ある方にとっては「効能」であっても、ある方にとっては「副作用」になります。
例えば、病気や精神的ストレスなどで食欲がない場合には食欲の増加はCBDの効能といえますが、体重や体脂肪量などが正常でありそれ以上に体重を増やしたくない場合では副作用となります。
いずれにしても健康を逸脱するような範囲でなければ、CBDやCBDオイルの副作用に関して過剰に心配する必要はないでしょう。
ただし、CBDには薬剤相互作用があるため、現在すでに内服薬がある場合は医師や薬剤師に薬との飲みあわせを確認しましょう。
また、日本で大麻といえば麻薬であり、副作用よりも依存症になることを強く心配される方も多いかと思います。
依存症とは、脳内で分泌されるドーパミンによって引き起こされています。
特定の物質を摂取することでドーパミンが脳内で大量に分泌され、神経が興奮して強い快感を感じます。ドーパミンが時間とともに徐々に欠乏していくと、喪失感を感じ始めます。
すると、一度喜びを学習した脳は再び強い刺激を求めて同じ物質を摂取しようと促します。しかし、人間の脳は同じことを繰り返すと徐々にドーパミンが分泌されにくくなるため、さらに摂取量を増やそうとします。
こうして徐々に抜け出せなくなることが、依存症です。
CBDの原料であるヘンプには、主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という別のカンナビノイドが含まれています。
THCは脳神経を直接活性化することで精神を「ハイ」にさせる作用があり、多量に摂取すると一時的に脳内でドーパミンが過剰に分泌されます。
その結果高濃度のTHCを含有する大麻を使用することで、依存症となる可能性はあります。
しかし、日本ではTHCは大麻取締法により規制されている物質であるため、そもそも摂取する機会はないでしょう。
そして、CBDとTHCの作用は全く違うものです。CBDはドーパミンの分泌を促進する作用はなく、反対にドーパミンの分泌を抑制する役割があるセロトニンやGABAの分泌を増加させる作用があります。
そのため、CBDやCBDオイルを摂取すると、セロトニンやGABAの効果によって身体や精神がリラックスした状態になります。
CBDやCBDオイルは貧血症状に作用!?その理由とは?
様々な症状や疾患への作用が期待されているCBDやCBDオイルですが、本記事のテーマである貧血には作用するのでしょうか。そもそも貧血とは?
赤血球は、タンパク質と鉄分から作られるヘモグロビンと合体し、酸素を全身の組織に運搬します。ところが、様々な原因により血液中の赤血球やヘモグロビンの数が少なくなる現象が貧血と呼ばれます。
貧血が生じる原因は非常に幅広いですが、以下に一例を紹介します。
- 栄養の不足:鉄、ビタミンB12、葉酸など
- 大量出血、持続的な出血:月経、出産、大怪我、がん、潰瘍など
- 血液を造る臓器の病気:腎臓病、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血など
- 赤血球が破壊される病気:溶血性貧血など
貧血になると全身に運ばれる酸素の量が十分ではなくなってしまい動機や息切れ、疲れやすさ、めまい、立ちくらみ、頭痛、眠気、耳鳴り、顔面蒼白などの症状が現れます。
貧血の治療は何がある?
貧血の原因が多岐に渡るように、貧血の治療法も原因によって様々です。鉄剤やビタミン剤などの継続的な内服や、がんや子宮筋腫など出血性の疾患がある場合は原因疾患を治療することで改善されることもあります。
他にも、赤血球が破壊されるサイクルが早い場合や、血液を作る機能に異常がある場合などは免疫抑制剤や造血幹細胞移植、輸血、脾臓(古くなった赤血球を破壊する臓器)の摘出などが行われます。
CBDやCBDオイルは赤血球やヘモグロビンの数を増加させる?
現段階で解明しているCBDやCBDオイルの貧血への作用は非常に限定的といえます。
CBDそのものに血球成分を増加させたり、出血を止めたりする作用は現段階では確認されていません。
貧血患者の7割を占める鉄欠乏性貧血を改善するには、鉄分などの栄養素を十分に補給し、出血がある場合は出血源の治療をする以外に治療法がありません。
直接的な作用ではありませんが、CBDやCBDオイルによって食欲を増加させることで食事摂取量が増え、結果的に貧血の改善に必要な栄養素を摂取できるようになるかもしれません。
CBDには食欲を増加させる他にも、吐き気を抑制する作用があるので、食事があまり食べられずに鉄分や葉酸などが不足している場合に限っては効果的であると言えるでしょう。
また、CBDオイルのキャリアオイルとしても使用されるヘンプシードオイルには、鉄分やビタミンE、葉酸などの貧血の改善に必要な栄養素が豊富に含まれています。
成人女性で、貧血ではない場合に必要な1日の鉄分摂取量は10.5mgです。貧血がある場合や妊娠中の女性などはさらに多くの鉄分が必要になります。
そのため、調理用オイルなどをヘンプシードオイルにすることで、貧血の改善に必要な栄養素の補給に役立つかもしれません。100mlのヘンプシードオイルに含まれる鉄分量は8mgの程度です。
ヘンプシードオイルだけで必要な鉄分量が賄える訳ではないため、様々な食材をバランスよく摂取し、必要に応じて鉄剤やサプリメントを利用しましょう。
CBDやCBDオイルは貧血の原因に作用する?
直接的に血球成分を増加させる作用はなくても、貧血を引き起こす疾患や症状などには作用するのでしょうか。
その答えとしては、一部の疾患や症状には効果があるかもしれません。例えば、月経量が多く持続的な不正出血によって貧血が起こりやすい子宮筋腫や子宮内膜症に対して、CBDが作用するのではないかと言われています。
子宮筋腫や子宮内膜症の発症にはESCが関わっていることが報告されています。しかし、現段階のエビデンスではCBDやCBDオイルを筋腫や内膜組織を小さくする治療に適応できる段階にはありません。
今後研究が重ねられることで、将来的にはCBDやCBDオイルを摂取することで子宮内膜症や子宮筋腫を予防したり小さくしたりする効果が証明されるかもしれません。
CBDやCBDオイルは子宮内膜症などの子宮の病気に作用する?しかし今は標準治療を第一に選択することが懸命だと言えます。
貧血を引き起こす他の病気に関しても、現段階ではCBDやCBDオイルの作用は不明ですので、医師の指示に従って治療を受けるようにしましょう。
CBDやCBDオイルは貧血に付随する症状に作用する?
鉄欠乏性貧血の患者は、しばしば鉄分不足によって頭痛や不眠、イライラ、抑うつ症状、食欲不振、免疫力の低下などの症状が起こることがあります。
CBDには鎮痛作用や鎮静作用、抗鬱作用、免疫調節作用、食欲増進作用、睡眠を改善する作用などがあるため、鉄欠乏性貧血に付随して生じる身体的・精神的症状を改善する作用は期待できるでしょう。
鎌状赤血球貧血にも作用する?
鎌状赤血球貧血(鎌状赤血球症)は、鉄欠乏性貧血の症状や治療法とは大きく違います。
遺伝子突然変異によって産生されたヘモグロビンSが、正常であれば円盤状である赤血球を鎌形(三日月形)に変形させることで起こる疾患です。
鎌状赤血球症の発症は日本人には少なく、3,000人に1人程度と言われています。
元々はアフリカ系の人々に最も多く見られる疾患であり、アフリカやインド、中近東などに患者が多くいましたが、国際化が進んで世界的にも見られるようになりました。
鎌状赤血球症は、赤血球が異常な形をしているせいで全身に酸素を運搬する機能が著しく低下します。
そして、通常赤血球は90〜120日で破壊されてるのに対して、鎌状赤血球症の場合はそれよりも早いサイクルで破壊されるため、赤血球の需要と供給が追いつかずに赤血球がどんどん失われます。
また赤血球がいびつな形のせいで通常の赤血球よりも毛細血管内で引っかかりやすく、血管の閉塞を引き起こすことがあります。
そのため、毛細血管に周辺に酸素が送られずに組織や神経が損傷したり、炎症による疼痛が生じたりします。
アメリカでは、鎌状赤血球症の鎮痛に対してオピオイド(麻薬)が投与されることがあります。
アメリカの医学雑誌の「Journal of the Royal Society of the Medicine」によると、鎌状赤血球症患者のオピオイド依存症はアメリカで大きな問題となっています。
鎮痛作用と抗炎症作用、神経保護作用などを持つCBDやCBDオイルの貧血への作用は、この鎌状赤血球症に対して最もメリットが大きいと考えられています。
現段階では、鎌状赤血球症に対してCBDやCBDオイルのみを使用して効果を検証した研究は行われていません。
鎌状赤血球症の患者を対象として医療用大麻を使用した2005年の調査研究によると、調査に参加した被験者86名のうち、58%が何かしらの症状の改善があったと答えています。
また、86名の患者の医療用大麻の使用目的は、52%が疼痛の緩和、39%がリラックス、77%鎮静や感情のコントロールでした。
他にも、2015年のマウスを用いた研究でも、カンナビノイドおよびカンナビノイド受容体は鎌状赤血球症による炎症や疼痛、炎症による神経損傷が引き起こす痛覚過敏の改善において効果があったと報告されています。
CBDやCBDオイルの鎮痛作用や抗炎症作用、神経保護作用などは他の疾患や症状に対する研究・調査で報告されているため、鎌状赤血球症に対して作用する可能性も高いでしょう。
有名米歌手もCBDやCBDオイルで貧血改善の効果を実感?!
アメリカの人気バンドHoleのボーカルであるコートニー・ラブ(56)は今年3月に、自身のSNSを通じてひどい貧血症状の治療のためにCBDオイルを使用したことを公表しました。(現在は削除されています)
彼女によると、以前の彼女の容態は「ほぼ死にかけた」ほどひどいものでした。言い表しようがないほどに激しい痛みが原因で身体は衰弱し、昨年8月には身長178cmの彼女の体重が44kgまで減少しました。
そして、正確な数値はわかりかねますが、通常は11.4g/dl以上あるヘモグロビンの数は「ゼロだった」と話しており、重度の貧血であったことがわかります。
彼女は、ハッシュタグで「クローン病」と書いていたようで、貧血の原因がこの炎症性腸疾患であった可能性があります。しかし、はっきりとは公表していません。
CBDオイルを摂取するまで、9ヶ月もの間たくさんの医師に会ったものの症状が改善されずに苦しんでいましたが、CBDオイルを摂取し始めてからは疼痛を含めほとんどの身体症状が取り除かれたと話しています。
あくまで推測ではありますが、彼女の場合はCBDオイルによって腸管に出血をもたらすクローン病が改善され、それによって貧血の大元が改善されたと考えることもできます。
そして、貧血によって引き起こされる身体的・精神的症状が改善されたことも事実でしょう。
また、彼女はCBDオイルと大麻の違いについても明言しています。
「CBDオイルを使用する以前は、大麻由来の成分が好きではありませんでした。精神活性作用のあるTHCやカンナビス (大麻)自体に不快感があり、現在でもそれらに関して嫌悪感があります。」
しかし、彼女は大麻の作用とCBDオイルの作用は全く別物であると強調しており、CBDオイルを使用した現在は「落ち着くことができている」と話しています。
体調はまだ完全には回復していないものの、いずれ元のように動けるようになれば慢性・急性疼痛に苦しむ人々をサポートしていく意思を示しています。
コメント欄にはCBDオイルの効果に関して賛同するコメントや、ファン自身のCBDオイルに関する体験談などが多く寄せられました。
CBDやCBDオイルの摂取は貧血改善に最も健康で効果的な方法のひとつ!
貧血を改善するには、貧血の原因を突き止めて根本から治療することが最も大切です。
繰り返しになりますがCBDやCBDオイルは直接的に赤血球やヘモグロビンの数を増やしたり、出血を止めたりできるわけでありません。
軽い貧血と考えていると重大な疾患が隠れている場合もありますので、貧血の症状があったり不正出血や月経過多などが見られる場合はまず医師に相談することが大切です。
CBDやCBDオイルは鉄分不足によって引き起こされる様々な症状を改善できる可能性が高いと解説しましたが、それ以外にも健康へのメリットが非常に大きい成分です。
もしかすると、CBDやCBDオイルを摂取することで将来的に貧血を引き起こす病気の予防ができるかもしれません。
副作用が生じたりや健康を損なったりするリスクが少ない成分ですので、貧血だけでなく総合的な健康維持のための習慣として是非取り入れてみてください。
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