そもそもビタミンDにはどのような作用がある?
ビタミンDは、小腸からのカルシウム吸収を高めて骨を作りやすくしたり、骨を丈夫にしたりするビタミンとして有名です。
骨を丈夫にする作用を期待して、骨粗しょう症の治療でビタミンDの錠剤やカプセルを使うことがあります。
最近では、ビタミンDは骨に対しての作用だけではなく、閉経後の女性の癌の発病リスクを減少したり、前立腺癌の発病を抑える作用がある可能性も示唆されています。
また、ビタミンDは自己免疫による膵臓のβ細胞の破壊を抑えて、1型糖尿病の発病リスクを減少したり、血圧を下げて心血管疾患を抑えたり、アルツハイマー型認知症などに対する脳神経を保護したりする可能性もあります。
さらに、ビタミンDが脳内のセロトニンやドーパミンの合成に関与し、ビタミンDが不足するとうつ病を発症することも報告されました。
このようにビタミンDは、健康を維持するために必用不可欠で重要なビタミンであり、多くの利点を身体にもたらす可能性が高いことが分かってきました。
そのため、今後のビタミンDの研究に大きな関心が寄せられています。
ビタミンDが欠乏するとどうなる?ビタミンD欠乏症とは?
日本内分泌学会から発表されている血液検査での診断基準は、ビタミンDが0.03μg/ml以上を正常値、0.02μg/ml以上0.03μg/ml未満をビタミンD不足、0.02μg/ml未満をビタミンD欠乏としています。
ビタミンDは骨を丈夫にするビタミンのため、欠乏すると骨の形成異常になります。
乳幼児や小児の場合は骨の変形になったり、くる病を発症したりし、成人では骨粗しょう症を発症したりします。
また、前述したようにビタミンDは健康維持に不可欠なビタミンである可能性が高いため、ビタミンDが欠乏することで、癌やうつ病、心血管疾患、感染症などにかかりやすくなることも考えられるでしょう。
ビタミンDは、日本人の8割が不足していて4割が欠乏していると言われています。
想像以上にビタミンDが不足している日本人が多いという印象ではないでしょうか。
なぜこれほどまでにビタミンDが不足している人が多いのか理由を見ていきましょう。
紫外線に当たるのを避けるようになった
ビタミンDを摂取する一般的な方法は2つあります。
一つ目は、ビタミンDが含まれるいわしや鮭などの食品を食べる方法、もう一つは日光浴をして紫外線を浴びることで、皮下でビタミンDを生合成する方法です。
しかし、最近ではオゾン層の破壊などで以前よりも紫外線が強くなったため、紫外線を浴びすぎることで皮膚癌や神経障害などの病気を招く危険性が高まり、ビタミンDの合成に必要な紫外線を浴びることが少なくなっています。
その上、紫外線による老化が進む恐れがあるとして外出するときに日焼け止めクリームや日傘を使用して紫外線を防ぐ人が非常に多くなりました。
また日本では、特に女性は小麦色の肌よりも白い肌を好む人が多いため、日光を過剰に避ける傾向があります。
このようなことから、以前に比べて日光によるビタミンDの皮下での合成が十分にできなくなっていることが分かります。
ビタミンDを皮下であまり合成できなければ食品から摂取するしかありませんが、食品から得られるビタミンDの量はせいぜい3.75μgほどで、一日に必要なビタミンDの量の58.75μgにはとても足りません。
諸外国のようなビタミンD不足を対処する政策が行われていない
ビタミンD不足が起こりやすいという背景から、アメリカやカナダ、インド、フィンランドなどではビタミンD不足を解消するため、牛乳などの食品にビタミンDを入れて販売されています。
しかし、日本では牛乳を表記するためには生乳以外のものを加えてはいけないという規制があることから、牛乳として販売されている製品にはビタミンDが入っていません。
要するに日本人がビタミンDを補充するためには、日常的に摂取する牛乳などからではなく、ビタミンDを含む乳製品やサプリメントを積極的に選んで摂取する必要があるということになります。
以上のようなことが特に日本人がビタミンD不足・欠乏になりやすい理由として挙げられます。
CBDやCBDオイルはビタミンD欠乏症に効果がある?
大麻草の種子100gあたりにはおよそ56.94μgのビタミンDがある可能性があることが報告されています。
このことから、大麻成分が全て入っているフルスペクトラムのCBDや大麻成分からTHCのみを取り除いたブロードスペクトラムのCBDにはビタミンDが含まれていることになります。
ビタミンD欠乏症を予防するためにビタミンDが含まれているCBDやCBDオイルを摂取する人も中にはいます。
また、フルスペクトラムやブロードスペクトラムのCBDにはビタミンDを含む様々なビタミン、ミネラル、アミノ酸、抗酸化物も含まれているため、一般で市販されているマルチビタミンよりも多くの栄養素が含まれていると注目されています。
しかし、フルスペクトラムなどのTHCが含まれてしまっているCBD製品は日本では違法になっています。
THCが含まれていない製品であることを第三者機関の検査などで確認した上でCBD製品を購入するようにしましょう。
CBDやCBDオイルを摂取する際の注意点は?
CBDには肝臓の酵素であるCYP450を阻害する作用があるため、医薬品と相互作用を起こす可能性がありますが、CBDによるビタミンDへの悪影響はあまりありません。
ビタミンDの補給としてCBDを摂取する場合ですが、ビタミンDがきちんと含まれている製品を信頼できるメーカーで購入するようにしてください。
成分に確信が持てない場合は、購入したCBDやCBDオイルのメーカーにビタミンDが含まれているかどうか直接問い合わせると良いでしょう。
ビタミンDは現代の日本で不足しやすいビタミンの一つのため、CBDや他のサプリメントなどから補給することは理にかなっていると言えます。
しかし、ビタミンDの欠乏症を防ぐには、CBDなどからの補給と同時に、食品からビタミンDを補給したり、日光を適度に浴びてビタミンDの生合成をしたりすることも非常に重要です。
CBDとビタミンDの関係に関して皆様から頂いた質問
CBDにはビタミンDが含まれていますか?(20代女性)
大麻草の種子100gあたりにはおよそ56.94μgのビタミンDがある可能性があることが過去の研究で報告されています。そのため、大麻成分からTHCのみを取り除いたブロードスペクトラムのCBDにはビタミンDが含まれています。
CBDやCBDオイルはビタミンD欠乏症の予防に作用しますか?(30代女性)
海外の研究では、ブロードスペクトラムのCBDにはビタミンDを含む様々なビタミン、ミネラル、アミノ酸、抗酸化物も含まれることが報告されています。これらの研究結果から、一般で市販されているマルチビタミンよりも多くの栄養素が含まれているのではと注目されています。しかし、CBDのビタミンD欠乏症予防への作用はまだ研究段階であるため、今後の研究結果に期待しましょう。
CBDやCBDオイルを購入する際の注意点はありますか?(30代男性)
THCや農薬などが含まれているリスクを抑え、成分を詳しく確認するために、第三者機関の検査などをチェックするようにしましょう。